法人経営者にこそ必要な“お金の伴走者”とは

吉井徹

吉井徹

テーマ:投資・資産形成


「経営者のお金の相談、誰にしていますか?」





法人を経営している方の多くは、「お金のことなら税理士に相談しているから大丈夫」と思われているのではないでしょうか。実際、私のもとにも「税理士さんがいるから、FPは必要ないと思っていた」という声をよくいただきます。

しかしながら、顧問税理士が担っているのは、あくまで「過去のお金の整理」と「税務処理」。具体的に言えば記帳と決算の業務を請け負っている場合がほとんどです。
これに対して、経営者が本当に悩んでいるのは、「これからのお金の使い方」や「事業と人生をどう設計するか」といった“未来のお金の話”ではないでしょうか?

その未来を見据えた相談相手として、いま注目されているのが「法人経営者のための顧問FP(ファイナンシャルプランナー)」です。


税理士は「過去会計」のプロ、でも「未来設計」の専門家ではない


税理士は企業経営に欠かせない存在です。帳簿をチェックし、決算書を作り、税務署への申告を行う。いわば、正しく過去を整理し、法律に則って経営の“守り”を固める専門家です。

しかし、たとえば「この法人保険、本当に必要なのか?」「役員報酬はいくらが最適か?」「資金繰りと投資とのバランスをどう取るか?」といった“将来を見据えた判断”までは、税理士の守備範囲外であることも多いのです。

実際、顧問税理士に言われるまま法人保険に加入していたが、解約返戻率や目的を精査すると非効率だった……という相談も後を絶ちません。
また私の顧問先の社長が税理士にNISA(資産運用)の相談をしたところ「専門分野ではない」とやんわりと断られたそうです。税理士さんの代わりに言わせてもらうと
「ただでさえ忙しいのに月額3〜5万円ほどの顧問料で資産運用のアドバイスもするなんて、とてもじゃないけどできない」
のが本音だと思います。
もちろん「資産運用もお任せください」なスーパー税理士先生もいらっしゃいます。

話題が逸れましたが、経営者が必要としているのは「目の前の節税」だけでなく、「10年後・20年後を見据えた全体最適化」です。ここに顧問FPの価値があります。


法人と社長個人、両方の“お金”を見られる専門家が必要


経営者のお金の流れは、法人だけでは完結しません。
「法人の利益」→「役員報酬」→「社長個人の生活費・教育費・投資・老後資金」と、法人と個人は常に連動しています。

ところが実際には、「法人のことは税理士」「個人のことは自己流で投資や保険を勉強」と、バラバラに管理されているケースが多く見受けられます。

このような状態では、せっかくの節税や資産形成のチャンスを逃したり、法人のキャッシュフローが悪化したりと、部分最適の落とし穴にはまりがちです。

顧問FPの役割は、この法人と個人の“お金の接点”を整理し、人生と経営の両方を視野に入れた設計をお手伝いすることにあります。
そして社長の目指すゴールに”伴走型”でサポートすることに価値を感じていただいています。


経営者こそFPの顧問契約が効く3つの理由


経営者が顧問FPをつけると、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか? 私自身の顧客との実例から、代表的な3つをご紹介します。

① 長期的な資産形成・出口戦略を立てられる

たとえば「退職金をいくら、いつ、どう受け取るのか」「不動産を法人で持つべきか、個人か」など、数年〜数十年単位の視点で戦略が立てられます。

② 投資・保険・不動産の判断を総合的に相談できる

税理士・保険営業・証券マンなど、分野ごとの専門家はいても、横断的に比較しアドバイスできる存在は多くありません。それに商品販売を前提とした営業スタイルでは、どうしても手数料目線になりがちで、顧客本位の提案が難しくなることも少なくありません。私達、顧問FPは「商品を売らない中立な立場」でアドバイスが可能です。

③ 社長一人では得られない“選択肢”を広げられる

「そもそも、こういうやり方もあるのか」と気づけることが、FPを持つ最大の価値です。たとえば、法人クレカ納税による資金繰り改善やマイル活用など、盲点を突いたアプローチもご提案できます。


【事例紹介】顧問FPを活用する経営者の声


ここでは実際の相談事例をもとに、どのような変化があったのかをご紹介します(※プライバシーに配慮し、内容は一部加工しています)。

◉事例①:製造業経営者(年商5,000万円)

法人保険を見直し、効率の良くない保険を整理。余剰資金を社長個人のiDeCoとNISAで運用し直すことで、10年後に約700万円の資産増が見込まれるように。法人カード納税の導入で、年間約8万マイルを獲得。

◉事例②:IT系起業家(30代)

役員報酬を低めに設定し、法人で退職金を積み立てる戦略に切り替え。法人内に留保した資金で将来的な投資用不動産の購入も視野に。セミリタイアを見据えた「お金の時間割」を構築中。

◉事例③:一人社長(FPと定期面談中)

法人資産と個人資産の区分けがあいまいだったが、キャッシュフロー表をもとに整理。生活費の無駄を省き、月10万円の貯蓄・投資余力を創出できた。


結論:税理士とFP、両輪のサポートで“攻守バランスの取れた経


経営者のお金の悩みは、複雑で幅広いものです。

「税理士さんに聞いても、“それは税務と関係ないので…”と対応してもらえなかった」
「将来の出口戦略まで含めて相談できる相手がいなかった」
そうした声が、私のもとには日々届きます。

税理士は“守り”の専門家。
ファイナンシャルプランナーは“攻め”と“未来設計”の専門家。

この二人三脚でこそ、法人経営と個人資産をトータルで見渡すことができ、経営者としての人生もより豊かに、安心して歩んでいくことができるのではないでしょうか。

まだまだ日本では、会社に顧問FPをつけている経営者はごくわずかです。
「そんなサービスがあることすら知らなかった」という方も多いのではないでしょうか。

しかし、だからこそ“知っている人だけが得をする”のがこの分野です。
税務や会計の先にある「お金の未来設計」を、誰かと一緒に考えられる環境があるかどうか──それは、経営者としての意思決定の質を大きく左右します。

顧問FPは、経営と人生の両方に伴走する「第三の視点」。
もしあなたが、「誰に相談すればいいのか分からない」「数字は合っているけど、将来の絵が描けない」と感じているなら、今がまさに最初の一歩を踏み出すタイミングかもしれません。


まずは一度、FPと話してみるところからでも構いません。
「税理士だけでは不安かも」と思われたら、ぜひお気軽にご相談ください。
小さな一歩が、大きな安心につながるかもしれません。

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吉井徹
専門家

吉井徹(ファイナンシャルプランナー)

株式会社グッドウェル

会社財務と経営者の個人資産を両輪で考え、企業の発展と理想の人生をかなえるお金の仕組みづくりをサポートする「法人顧問FPサービス」を提供。中小企業オーナー経営者のお金の悩みに寄り添い、解消へと導きます。

吉井徹プロは中国新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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