金持ちを貧乏にしても、貧乏な人が豊かになるわけではない

吉井徹

吉井徹

テーマ:投資・資産形成

格差是正のために分配、その方はよく考えるべき


投票

今日は衆議院議員選挙の投票日です。
みなさん投票に行きましたか?
私はもちろん行きました。

さて、今回の選挙でキーワードになったのが「
『分配』ではないでしょうか。

近年の日本では格差が拡大していると言われています。
昔は多くの人が中間層でしたが、現在は富裕層と貧困層が増えてきているからです。
この30年間、日本はデフレに苦しみ、給与所得は増えず社会保険料の増加で手取り収入は減り続けています。

格差是正のために分配を、ということで金融所得課税の増税
が注目されました。
現在は20.315%課税で、NISAを利用すれば非課税です。
これを25%や30%に増税するというのです。
中にはNISAにも課税すると発言した政治家までいて
「それってもはやNISAではないんじゃ、、、」
と失望しました。

私は金融所得課税の増税に反対です。
「金持ちからたくさん税金をとれ!」
と主張する人がいますが、お金持ちを貧乏にして、貧乏な人が豊かになるんでしょうか。

お金持ちを妬(ねた)むよりも尊敬するべき


豪邸

「金持ちを貧乏にしても、貧乏な人が豊かになるわけではない」
というセリフは、英国病を脱却したマーガレット・サッチャー元英国首相のものです。

日本人の多くがお金持ちに対してうらやましいと思うのはいいとして、妬(ねた)む人が多いそうです。

以前、どこかのコラムでも書きましたが、アメリカの映画などのヒーローはお金持ち(民間人)が多いんです。
一方で日本だと主人公が公務員だったりします。
「ウルトラマン」「太陽にほえろ!」「あぶない刑事」「踊る大捜査線」
などなど、これらは警察官ですね。
お金持ちは悪役として登場します。

そんなドラマや映画を見続けていると、いつの間にか
「お金持ち=悪」
のイメージを持ってしまいます。

『清貧」ということばがあります。
ーーーー
貧乏だが、心が清らかで行ないが潔白であること。余分を求めず、貧乏に安んじていること。
ーーーー

やむを得ず貧乏ならこの考え方はいいのですが、お金を稼ぐチャンスがあるのに貧乏であることを正当化する人がいます。
そしてお金持ちを攻撃します。

お金を稼ぎたいなら稼げばいいし、必要ないなら最低限の収入で暮せばいいんです。
日本に生まれたのなら職業選択の自由があります。

国や会社がなんとかしてくれる、と考えるのは甘えです。
確かに日本では生活保護制度があるので、食べられなくて死ぬことはありません。

「自分は働きたくないけど、金持ちからたくさん税金をとってラクして暮らしたい」
なんておかしいですよね。

株などの投資で儲けている人はズルいのでしょうか。
投資でラクして儲けるなんてずるい?
投資はリスクを取ったその対価です。
ラクして儲かる方法ではありません。
お金を銀行に寝かせているよりも、はるかに世の中の役に立っています。

せっかく日本にわずかながらに貯蓄から投資へ進み始めたところに、いきなり一律金融所得課税増税するなんて日本経済をさらに停滞させることになります。

少なくともNISAは『少額投資非課税制度』です。
少ない収入の中からコツコツと投資で資産形成しようとする人に課税するなんて、もはや意味不明です。

金融所得課税を増税するなら、資産額や所得額に応じて段階的なものにするべきでしょう。

できることなら、お金持ちにはどんどんお金を稼いでもらい、しっかり納税してもらい、じゃんじゃん消費してもらうのが健全な状態です。

税率を上げても、お金持ちは別の節税方法を見つけ出すだけです。
結果的に苦しくなるのは国や多くの国民ではないでしょうか。

国民の所得が増え、将来不安が減り、消費が活発になり、企業の売上が増えさらに国民所得が増える。
そしてゆるやかに物価が上昇する。
これが資本主義経済のあるべき姿です。

ところが
日本は30年間ですっかりデフレマインドが定着してしまいました。
安いものを求めて節約する。
企業の売上が減る。
給料が増えない。
という悪循環です。

出生率は減り続け、高齢者比率は更に上昇します。
高度成長期に作ったインフラもどんどん老朽化しています。

多くの日本人が明るい未来をイメージできていません。
だからお金を使わず貯蓄して将来に備えようとしています。

NISAやiDeCoを利用してコツコツ投資することは大切です。
しかし間違った政府が間違った政策を推し進めていては、日本はずっとこのまま停滞、衰退していくことになるでしょう。

なので!
選挙で投票しましょう。
今日、投票所に行って感じたのは、投票に来ているのは高齢の方が多いことです。
もちろん地域や時間帯もありますし、若い世代は期日前投票をしているかもしれません。

しかし年代別にみても、有権者全体に占める若年層は少ないです。
そう考えれば確かに若者の声は届きにくいかもしれません。

だからといって
「どうせ投票に行っても日本は変わらない」
と投票に行かないのでは、日本の政治に文句や不満を言う権利はありません。

たとえ自分の支持政党や候補者が選ばれなくても、政治家が「若い世代の声を聞かないとマズい」と感じさせることが大切ではないでしょうか。

さてさて、選挙結果はどうなりますかね。
日本が再び前を向いて進み始めることを信じて!

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吉井徹
専門家

吉井徹(ファイナンシャルプランナー)

YOC

会社財務と経営者の個人資産を両輪で考え、企業の発展と理想の人生をかなえるお金の仕組みづくりをサポートする「法人顧問FPサービス」を提供。中小企業オーナー経営者のお金の悩みに寄り添い、解消へと導きます。

吉井徹プロは中国新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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