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お金を使おう!?日本経済復活のカギは家計の現預金1000兆円

2021年6月26日

テーマ:投資・資産形成

コラムカテゴリ:お金・保険

日本の未来は明るい?暗い?


うれしい

あるデータによると日本人の87.5%が 10年後の日本社会に不安 を感じているそうです。
世界的に見ても日本人が不安を感じやすい傾向があります。

しかし不安があるからリスクに備えて行動することができるとも言えるので、人間の防御本能として必要なものです。

ただ必要以上に不安になって動けなくなってしまってはもったいない。
不安の原因は「知らないから」「わからないから」であることも多いはずです。
原因を突き詰めて課題に変えれば、どう行動するべきかわかってきます。
これを悪用した商売が多いので覚えておくといいです。

さて30年前から日本人は自信喪失して不安になり、経済は長期低迷をつづけています。
不安になる→お金を使わず貯め込む→企業の売上が低迷する→所得が減る→不安になる
といういわゆるデフレ・スパイラルに陥っていたわけです。

お金が巡っていないわけですから、お金を溜め込みすぎずに使えば経済は回復するはずなのですが、日本人の多くがなんとなく不安な状態で止まってしまっています。

私も正直なところ『日本の未来は明るい』とは言い切れません。
少子高齢社会でかつてのような大きな経済成長は期待できません。
しかし大きな成長は期待できないけど、これ以上悪化させずに成熟国家になることは可能だと思っています。

なぜなら我が国の個人金融資産残高はとうとう2000兆円近くあるのです。
これは米国に次ぐ世界2位です。
しかし残念ながらその個人金融資産の50%以上、つまり1000兆円以上が現預金として増えない場所で眠り続けているのです。

この記事を読めば、日本人の一人一人が大事にお金を抱えたままにせず、消費・投資などでお金を循環させることが重要であることがわかります。

結論を言うと、日本に眠ったままの現預金を叩き起こさなければ、ますます貧しい国になっていくということです。

せっせとお金を貯め込む日本人


貯金

過去にも書きましたが、日本人の現預金比率は50%を超えています。
日本銀行のデータによると
米国:12.9%
欧州圏:34%
日本:53.3%
となっており、日本人はお金を大事に貯め込んでいることがわかります。

欧米が正しくて日本が間違っていると言いたいわけではありません。
超低金利であるにもかかわらず、消費も投資も寄付もせず、増やすこともできずに大事に貯め込んでいるのが残念なんです。

預金1000兆円 長期投資に回ればデフレは終わる
この記事でセゾン投信の中野会長が言っているように
『経済成長がなければ所得も増えず、安定した成長軌道に裏打ちされて経済規模が拡大し所得も増えている世界経済全体と比べて、日本経済の遅れが広がっていく。この国は相対的にもう随分と貧しくなっていると言わざるを得ない。』
という状況です。

そう、日本に暮らしていると豊かな生活をしているようで、実はすでに貧しくなっているんです。
よく旅行に行く人ならわかりますよね。
年々物価が上昇して、先進国でレストランでの食事が高くて驚くことも多いはずです。

お金は経済の血液であることを忘れてはならない


血液

このままでは日本は貧しくなり、成長を続けるアジア諸国に出稼ぎに行ったり、安い労働力として使われる日はそう遠くないかもしれません。
世界一安全と言われた治安も、格差が拡大すればこれまでのように暮らすこともできないかもしれません。

ではどうやってこの日本の現状を打破するのか。
一言で言えば眠ったままの家計の現預金1000兆円を使うことです。
具体的には
・安いものを買うのではなく、良い商品、良いサービスを購入(消費)する
・投機(ギャンブル)ではなく、良い商品、良いサービスを提供する企業に投資する
ことです。

お金は経済の血液である、とはよく言われますが、現在の日本はお金の流れが悪く、経済は体調不良を続けています。
デフレ・スパイラルについて上記しましたが

お金を使う・投資する→企業の売上が伸びる→所得が増える→不安が減る→お金を使う・投資する

この循環を取り戻さなくてはいけません。

節約術やお得情報を発信するFPは多いのですが、使うべきところで使わなければ日本は良くなりません。
言ってしまえば無駄遣いや浪費も社会的に見れば経済に貢献しています。
どんどんお金を使ってくれるお金持ちを妬んではいけないんです。
高額納税して高額消費をしてくれるお金持ちほど社会貢献度が高いからです。

あなたはモノやサービスを購入するとき、安さばかり気にしていませんか?
購入することで得られる価値やメリットに目を向けて、気持ちよくお金を使うべきです。
ちょっと高かったけど気に入ったもの購入して使ったり所有したり、気に入ったサービスを購入して快適さを手に入れたほうがお金を払う価値があるはずです。
もちろん高ければいいわけではありません。
価値を見極める目は必要です。

多くの資産があれば消費しても余るお金があるはずです。
その資金の一部でも投資するとどうなるか。
企業は投資家から集めたお金でより良い製品、より良いサービスを研究開発することができます。
世の中の人が便利で快適な商品・サービスを購入し企業の売上が増え、企業価値が高まり株価が上昇、配当が増えます。
その企業に務める社員の給与は増え、消費も増えるでしょう。

つまりあなたが投資をすることでお金が循環し、より良い世の中になるために貢献できる上に資金を増やすこともできるのです。
企業は出資してくれたあなたに感謝の気持ちとして、利益の一部を還元しています。
正しい投資はWin-Winなのです。
頑張ってる企業が苦しいときにこそ、投資で資金を提供する。
それが本来の投資家の役割です。
短期売買と長期投資では考えていることがまったく違います。

あなたが銀行に年利0.002%の定期預金しているなら、1,000万円を1年間銀行に貸したのにたったの200円、税引後160円しかもらえないのです。
これを銀行に感謝してもらってると感じますか?
私は『ふざけるな』と思います。

日本人一人一人が、もっとお金を使うことの意味を考えて、この低迷した経済を脱出していかなければなりません。

まとめ


風景

日本に眠ったままの現預金を叩き起こさなければ、ますます貧しい国になっていくということをわかっていただけたでしょうか。

日本人の一人一人が大事にお金を抱えたままにせず、消費・投資などでお金を循環させることが重要です。

お金にまったく余裕がないのなら、まずは節約と貯蓄からスタートして半年〜1年分の生活費を現預金で確保します。

余裕ができてお金を使う(消費・投資する)ときは「世の中の役に立っている」と思いながら使いましょう。
さらに少額でも寄付をすることもオススメです。
知らないと損するお金の使い方|投資も寄付もしない日本人が残念

お金は便利な道具です。
使わなければ意味がありません。
良い消費、良い投資をしていきましょう。

この記事を書いたプロ

吉井徹

投資歴10年以上、ファイナンシャル・プランニングのプロ

吉井徹(YOC)

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