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建築を感じるとは?

テーマ:旅と暮らし



みなさんは、神社へ参るとき、何を求めて行かれますか。

お願い事でしょうか。
感謝を伝えることでしょうか。

私は最近、少し違うことを考えるようになりました。

神社へ参るということは、自分を整える時間なのかもしれない、と。

先日も美保神社へ行ってきました。

私がこの神社へ行く理由は、何かをお願いするためではありません。

この場所の空間を感じたくて訪れています。

朝の祭事では、舞があり、鈴が鳴り、太鼓が響きます。

祝詞も聞こえてきますが、不思議と意味よりも音として身体に届いてきます。

しばらくそこにいると、

からだとこころとあたまが一つになって、

自分の声が聞こえてくるような気がするのです。





何度も通うと見えてくるもの



米子方面で仕事があるたびに、美保神社へ立ち寄ってきました。

何度も訪れていると、少しずつ見るところが変わってきます。

最初は建物全体の雰囲気。

そのうち柱や梁のリズムが気になるようになり、
今回は梁と柱をこえ、枡組や肘木など、
細部に目が自然と行くようになりました。

祭事を見終えて帰ってからも、床のことが頭から離れませんでした。

木の床ではなく、基壇としてつくられていることで、

そこに座ること、柱があることを

空間の一部としてデザインされているように感じました。

建物だけではありません。

海へ続く参道。

木々に囲まれた境内。

蝉の声。

鈴や太鼓の響き。

神社をあとにしてから見る弓ヶ浜や大山の風景。

それらすべてが重なって、一つの空間になっている。

私は最近、

建築は、人を刺激するためではなく、人を整えるためにあるものもある。

そんなふうに思うようになりました。





感じたあとで知る


帰ってから、美保神社のことを調べてみました。

この拝殿の計画には伊東忠太が関わっていることを知りました。

音の神様を祀る神社として、鈴や祝詞の響きまで考えられた空間であることも知りました。

「ああ、だからか。」

そう思いました。

でも、好きになった理由は、建築家の名前を知ったからではありません。

先に身体が、この場所を好きになっていたのです。

建築家の名前や歴史を知ることは、その空間をもっと深く理解する助けになります。

でも、その前に、自分が何を感じたのか。

私は、その順番をこれからも大切にしたいと思っています。

建築は、見るものではなく、感じるもの。

そして町もまた、感じるものです。

みなさんにも、ぜひ一度、自分にとって「ただ過ごしたくなる場所」を探す旅に出てみていただきたいと思います。

それは神社かもしれません。

海辺かもしれません。

商店街かもしれません。

名前のある建築を目指さなくてもいい。

何か特別なことが起こらなくてもいい。

歩く速さを少しゆるめて、その場所の音や風、光を感じながら過ごしてみる。

そんな時間の中で、自分を整えてくれる場所に出会えるかもしれません。

私も、そんな場所を訪ね歩きながら、建築を考えています。

そして、その旅の中で出会った町のことを、
一冊の詩集『まちをまくらに』にまとめました。

町に身をあずけるように歩いていると、
空間は私たちを静かに整えてくれる。

最近は、そんなふうに思っています。

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ねぎもとあやこ
専門家

ねぎもとあやこ(一級建築士)

建築設計 LEFTHANDS 一級建築士事務所

木造住宅や古民家再生の経験を生かし、環境や多様な暮らし方にあう計画を提案。日本の自然環境にある木材を生かし、構造・意匠・素材の木のリズムでととのえ、安心感と温もりに満ちた住空間を実現します。

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