経営環境の激変と中小建設業経営
建設業の経営者とお話ししていると、
「今年は売上○億円を目指します」
という言葉をよく聞きます。
もちろん売上目標は重要です。
しかし、会社を安定して継続していくためには、もう一つ重要な視点があります。
それは、
「その売上から、いくら粗利を確保しなければならないのか」
という視点です。
## 売上が増えても資金繰りが楽になるとは限らない
建設業では、売上が伸びているにもかかわらず、資金繰りに苦労する会社があります。
仕事は増えている。
現場も忙しい。
社員も頑張っている。
しかし、思ったほど利益や資金が残らない。
このようなケースは決して珍しくありません。
原因の一つは、売上目標だけで経営を判断していることです。
## 会社に必要な粗利額を把握する
本来、経営で考えるべき順番は、
「いくら売上を作るか」
だけではありません。
会社を維持するために必要な固定費。
将来への投資。
必要な利益。
借入返済を継続するための資金。
これらを考えたうえで、
「年間で最低限いくら粗利を確保しなければならないのか」
を明確にする必要があります。
例えば、
年間固定費4,000万円
必要利益1,000万円
であれば、
会社として確保すべき粗利目標は5,000万円になります。
この数字を把握して初めて、
現在の受注状況で十分なのか。
利益率は適正なのか。
今後資金繰りに問題がないのか。
という判断が可能になります。
## 建設業では工事ごとの粗利管理が重要になる
特に建設業の場合、粗利は会社全体で突然生まれるものではありません。
一つ一つの工事から積み上がります。
そのため、
予定していた工事利益が確保できているか。
原価が予定以上に増えていないか。
完成時にどれだけ利益が残るのか。
こうした管理が重要になります。
そして、その積み重ねが決算書につながり、金融機関への説明資料にもなっていきます。
## 銀行から信頼される会社とは
金融機関が評価するのは、単に売上規模が大きい会社ではありません。
自社の数字を理解し、
利益の見通しを説明でき、
資金計画を示せる会社です。
つまり、日頃から数字を管理できている会社です。
建設業における粗利管理は、単なる利益管理ではありません。
将来の資金調達力を高めるための経営管理でもあります。
## 次回予告
ただし、会社全体の必要粗利額が分かっただけでは十分ではありません。
建設業の場合、その目標を一つ一つの工事管理へ落とし込む必要があります。
次回は、
「会社の粗利目標を工事別管理へどうつなげるか」
についてお話しします。
※本記事は建設業を中心に解説していますが、「必要粗利額から逆算して経営を考える」という考え方は、多くの中小企業経営にも活用できるものです。


