失敗したら、総括して下さい。
■創業時には、適切と考える固定費を算出して、その固定費を
稼ぐための損益分岐点売上高を見つけてください。粗利益率も
想定してください。
・適切と考える固定費
・想定した粗利益率
・必要な損益分岐点売上高
まずは、固定費を無駄に膨らませない、粗利益率を安易に落と
さないで、必要な売上高を確保することに集中しましょう。
そして、この損益分岐点売上高を確保できるまでの赤字期間を
しのげるだけの資金調達を継続して行いましょう。さらに、こ
の期間の資金繰り計画を立てて管理してください。
■ここからが本題ですが…
○短期間で破たんする創業者の特徴は、
・上記の計画を持っていない
・上記の計画を立案すると、整合性がそもそも取れていない
(計画がないから気付かないが、上手く行っても破たんして
いた。)
・損益分岐点売上高を安易に達成できると思い込む
・適切と考える固定費が高すぎるために、損益分岐点売上高が
実力に対して高すぎる
創業融資の計画等で、金融機関が確認したいのは、上記の事柄
です。
○従って、創業融資の計画書では、以下の事を織り込みます。
・損益分岐点売上高の実現可能性の確認(実現できる蓋然性が
高いこと)
・計画上の整合性の確認
・計画が遅れた時の備え(資金余力)
創業計画は、利益計画よりも、資金繰り計画を立案すべきです。
■ここからがさらに本題ですが…
○そもそも計画通りに事業が立ち上がるのか?
・もちろん計画次第ですが、計画通りに進まないのが事業です。
計画通りに立ち上がらないことを想定内として事業を開始す
べきです。
・計画通りに立ち上がらないことへの備えは、資金的な余力を
持つことしかありません。
・もちろん、永遠に立ち上がらない事業なら早めに手仕舞いす
べきですが、事業に自信があれば粘るべきです。そのために
は資金が必要です。
○過度に保守的になって、必要な投資や経費を掛けられない創
業者も事業を立ち上げられません。
・事業に応じた投資や経費は投入しないと事業としての体を成
しません。これができないために立ち上がらない事業もあり
ます。
○計画は計画、適時見直しも必要です。
・やってみないとわからない、これも事業の本質です。
・当初の計画にとらわれ過ぎず、適時修正を加える判断も重要
です。
■いよいよ本題ですが…
「現実的には、ある程度先を考えておきながら適時対応してい
くことになるだろう」
「実現された戦略は最初から明確に意図したものではなく、行
動の一つひとつが集積され、その都度学習する過程で戦略の
一貫性やパターンが形成される」
〔『戦略サファリ』(ヘンリー・ミンツバーグ氏著・齋藤嘉則
訳)より引用〕
※ヘンリー・ミンツバーグ氏は、カナダのマギル大学経営大学
院のクレゴーン記念教授、およびINSEADの組織理論学の
教授。古典的な経営理論を批判する異色の経営学者、欧米では
ピーター・ドラッカーと並び称される経営学の大家です。
計画がなければ始められません。進むべき大体の方向、道しる
べが必要です。また、どれぐらいのペースで進めば、主に資金
が足りるのか、一つの基準としても計画は有効です。
一方、近未来を完全に予見できる程の知見を持ち合わせている
人は稀有です。また、日々の経験と成長は、新しい気付きをも
たらします。当初計画へ固持し過ぎると、新しい気付きを反映
できなくなります。
計画の必要性を認識しながらも、当初の計画にとらわれ過ぎな
い経営が必要です。
ヘンリー・ミンツバーグ教授のメッセージを、再度ご確認くだ
さい。
「現実的には、ある程度先を考えておきながら適時対応してい
くことになるだろう」
「実現された戦略は最初から明確に意図したものではなく、行
動の一つひとつが集積され、その都度学習する過程で戦略の
一貫性やパターンが形成される」