『年商対比で、今より10%多くの運転資金を持ち続けることをご提案します。』
※自社の事業を広く世に問う…このような状況の事業計画やプ
レゼンテーションを想定しています。
■事業計画を作成する時には、以下の三つの要諦を組み込んで
ください。
◆要諦1:『事業立地』の優位性の解説
…事業のポテンシャル!
最初に主張すべきは、自社事業の『事業立地』の優位性です。
『事業立地』の優位性、これをわかり易く謳ってください。
『…(高収益企業の研究を通じて)成功例に共通している点は
一目瞭然だった。「事業立地」がよいということだ。仕事の仕
方の工夫や製品開発ではなく、そもそも「何屋さんをやるか」
の選び方が優れている。事業立地の考え方では、ある市場の中
でどこにポジションするかよりもむしろ、そもそもどの市場を
選ぶかが重要になってくる。…』
〔週刊東洋経済、2015年9月12日、「特集経営学の教科書」に
寄稿された、「高収益企業の創り方」(東洋経済新報社、三品
和広氏〔神戸大学大学院・経営学研究科教授〕)の著者である、
三品和広教授の記事を引用して紹介させていただきました。〕
◆要諦2:『アプローチの方法』の実現可能性の解説
…最初の小さな成功!
次に主張すべきは、計画を実現するためのスタートダッシュの
具体的な方法論について、その蓋然性を解説してください。
「ゴールは大きく遠いけれども、このように一点特化して実現
していくのか」と、聴き手が納得できるように説明してくださ
い。経歴を示す、現時点までの進捗を示す、黒字転換までの必
要資金を示す、資金や人員計画を具体的に示す…実績と、整合
性のとれた数値計画を提示(短期間分で可)してください。
◆要諦3:『収益の上げ方』の論理的整合性の解説
…最終的に得られる大きな収益!
誰に何を売って、一方、どんな費用(及び投資)がどれくらい
必要で、最終的にはどんな収支になるのか?この『収益の上げ
方』の解説は極めて重要です。成長と共に一定以上の利益率を
達成できない計画であるならば、聴き手は魅力を感じないでし
ょう。
収益は、さらなる拡大のための原資です。収益力が低いことは、
成長性が低いとみなされます。商流、値決め、投資、コスト…
十分な説明が必要です。
そもそも良い事業立地か、入り口の一点特化を見つけられてい
るのか、最終的には高収益企業を創れそうかどうか、当然容易
ではありませんが、聴き手はその可能性を判断します。これら
の三つの要諦を明示してください。
■プレゼンテーションを行う時には、以下の二つの要諦に注意
を払ってください。
◆要諦4:『自社の事を話す。』
…自社の事:外部の事=8:2!
「目指すべき事業領域が極めて有望である。」…事業立地に関
わる重要なことではありますが、事業立地が有望であることと、
貴社が実現できるかどうかは別の問題です。外部環境の分析は
ほどほどにして、貴社の事を話してください。
インバウンド分野の事業プレゼンで、その大半を海外からの旅
行客数が増加していることの解説に費やしたプレゼンターが居
ました。インバウンドの事業が有望であることは、少しの解説
でわかります。
◆要諦5:
『やりたい事と、出来ていることを明確に分けて話す。』
…正確なトーク!
自社が実現できていることと、出来ればよいと思っていること、
現実と目標は明確に区別して話してください。
「○○社との提携話が進んでいる。」一担当者と世間話をして
いるのか、先方と契約書の文言を詰めているのか…その次元は
全く異なります。
「○○社と提携した。」「○○社と提携したい。」当然違いま
す。「△△ができた。」「△△したい。」は違います。実現し
たいことを、あたかも実現した様な表現で謳う登壇者は、後に
信用を失墜します。正確な説明を心掛けてください。
事業計画作成時に必要な要諦の三つを網羅できているならば、
自社の事をしっかり、正確に話すことを心がけてください。
話の上手下手はあまり関係ありません。(上手い方がよいです
が…)