ベンチャーキャピタルからの投資を受けるための条件
ビジネスモデル(わかりやすく『ビジネスの型』と訳します)
について検証してみましょう。
すべての会社が何らかのビジネスモデルを持って経営していま
す。そして、そのビジネスモデルを磨き込みながら成長する会
社もあれば、過去のビジネスモデルを踏襲することのみに甘ん
じて、衰退していく会社も少なくありません。斬新なビジネス
モデルで、急成長を遂げる会社もあります。
様々なビジネスモデルを理解した上で、自社に応用することを
お勧めします。そのためにも、ビジネスモデルの成功例を熟知
することが重要です。経営学を教える経営学修士(MBA)課程
では、徹底した事例によるビジネスモデルの研究に多くの時間
が費やされています。
■代表的なビジネスモデルを紹介します。
『ビジネスモデル教科書』今枝昌宏氏著・東洋経済新報社から
多くを引用させていただきます。ビジネスモデルを短時間で学
ぶのに最適な書籍です。ご購読をお勧めします。
●ブルーオーシャン…『俺のイタリアン』など
1.高級食材を一流のシェフが調理して提供するお店は、相応
の店構え、相応の価格が設定されています。
2.一方、大衆食材・加工済み食材を提供するお店は、それに
応じた店構え、応じた価格が設定されています。
3.高級食材を一流のシェフが、大衆的な店構え・大衆価格で
提供する、この業態が『俺のイタリアン』です。
従来の提供価値の組合せ(1か2)に修正を加え、新たな市場
を創出し、市場を先占しようとする新しいモデルです。
●フリー…『オンラインのゲームメーカー』など
IT企業など提供役務に原価のかかりにくいオンラインのゲーム
メーカなどは、初期のサービスを無料で提供して顧客を引き込
み、一定以上のラインから課金を始めます。無料の役務で引き
込んでおいて、有料サービスに導く、入り口が無料であるため
にフリーと呼ばれています。
役務提供に原価を必要としない業態に最適です。
●ドミナント出店…『コンビニエンスストアー』など
対象エリアに過度な密度で出店することで、競合相手の新規出
店を阻止する方法です。自店間競合による収益悪化を伴うまで
の密度、これがドミナント出店成功のポイントです。直営店に
よる出店が原則とされているモデルですが、FCを多数配するコ
ンビニエンスストアー業界でも多用されています。
●敵の収益源の破壊…『Yahoo Japan』など
物騒な名称ですが、まさに名前通りです。楽天などの有料オン
ラインショッピングに対して、その分野での収益を目論んでい
ないYahoo Japanは、オンラインショッピングの手数料無料化
で対抗しました。自社の収益源でない部分を、そのコストに耐
え得るなら、無料で提供することで、競合相手にダメージを与
え、顧客を自社に取り込もうとする方法です。
●購買代理…『ミスミ』など
金型部品の商社であるミスミは、部品を仕入れて売る販売代理
から、顧客の購買を代行する購買代理に立ち位置をスイッチし
て大成功しました。販売代理から購買代理へのスイッチは容易
ではありません。販売側の利益と購買側の利益、どちらの利益
を代行するかは、その経営方針が180度異なるからです。この
モデルは、市場の成熟化を背景に、広義には家電やGMSの業態
などにも浸透しています。イオングループは、供給者の販売代
理ではなく、消費者の購買代理と言えるでしょう。
●レーザーブレード…『エプソン』など
プリンターを比較的低額で販売して、インクを比較的高額で販
売する、携帯電話本体を低価格で販売して、通信料で稼ぐ、こ
んなモデルです。所有した製品に対して、その製品を使い続け
る期間に支払われる総額を計算して当初価格を設定する、多く
の分野でこのモデルを採用しています。インクだけを安く提供
する競合に、うまみを持っていかれないようにすることがポイ
ントです。また、ひとつ間違えると安売り合戦に陥ります。
●プラットホーム…『Face Book』など
●ソリューション…『IBM』など
この機会に、貴社の『ビジネスモデル』を再考してください。