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創業融資は本当に事業計画書で決まるのか?

2014年11月24日

テーマ:銀行融資・補助金

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 事業計画 立て方事業計画書退職 手続き

「創業融資は事業計画が重要」と言われます。正しい認識です
が、事業計画が一番重要かと問われると答えは違います。金融
機関は将来の計画よりも、これまでの実績を圧倒的に重視しま
す。計画はいくらでも作れますが、過去は決して変えることが
出来ないからです。金融機関の審査担当者のつもりで、下記創
業融資事案の審査をしてみましょう。

【事業計画の内容】
非現実的ですが、最高の事業計画書の例として考えてください。

◆事業プラン:
行先を告げてドアを開くと好きなところに瞬時に移動できる装
置「商品名:どこでもドア」の開発・販売事業

◆開発計画:
瞬間移動理論の第一人者であるマサチューセッツ工科大学の○
○教授を招聘し商品化を行う。

◆マーケットの考察:
全世界のエアライン売上高、鉄道会社売上高、バス会社売上高、
タクシー売上高、自動車販売高・・・合計○○兆円の市場のう
ちシェア10%を見込む。

◆販売計画:
全世界のコンビニエンスストアにどこでもドアを設置し、利用
者から移動距離に応じた利用料を徴収する。初年度売上目標
○○円、経常利益○○円・・・

◆融資申込金額:
事務所の取得費や人件費として創業融資2,000万円の融資
を希望。

細部に渡って矛盾の無い素晴らしい事業計画書で、成功しそう
な雰囲気が漂います。しかし、ご本人のことに話が及ぶと・・・

◆自己資金:
15万円

◆これまでのキャリア:
学校卒業後、正社員として勤めるも1年で退職、以降コンビニ
エンスストアでアルバイト勤務8年間。

◆創業の動機:
コンビニエンスストア勤務時に上記アイデアを発案し、生涯を
かけて取り組む価値のある事業であると感じたため独立を決意。

重要なのは計画書の出来よりも事業実現の可能性です。ご本人
のキャリアを否定するつもりはありませんが、この事業に取り
組むのにふさわしいキャリアではありません。本件は極端な例
ですが、事業計画よりも、その計画を行う人物のキャリアが重
要であることがお分かり頂けると思います。

■ 計画よりも実績が優先します。
既に事業を数年間営んでいる企業であれば、まず、過去の決算
書で融資の審査がなされます。創業融資の場合は、事業の実績
はありませんので、個人のこれまでの実績が判断材料になりま
す。もし、上記の融資を申し込んできた方が、大学教授を30
年間務めており、数々の受賞歴と著書を持ち、自己資金も
3,000万円有していたならば結果は違っていたかもしれま
せん。

創業融資の絶対条件はキャリア(これから取り組む事業の経験
・実績)と自己資金です。この2つのうち、どちらが欠けても
審査に通るのは大変難しくなります。残念ながらどんなに素晴
らしい事業計画書でもこの2つを補完することは出来ません。
今現在独立を目指している方は、既に審査が始まっていると考
えてください。当事務所にて、独立までに準備しておくことを
アドバイスさせて頂きます。

この記事を書いたプロ

石田雄二

会社設立と銀行融資のプロ

石田雄二(石田雄二税理士事務所)

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