茄子アンダルシアの夏という映画を見ました。

認印の在庫を、一本ずつ手に取って拭き掃除をしています。
横田印房の壁一面の棚にずらりと並んだ認印には、よくある名字もあれば、なかなかお目にかかれない名字もあります。
掃除をしていると自然と一つひとつ目にとまるのですが、まるで日本中の名字の見本帳をめくっているような気持ちになります。
これが、地味な作業なのですが、けっこう好きな時間なのです。
そして、名字の勉強にもなるので大切にしている作業でもあります。
先日も、そんな掃除の最中に目が止まった名字がありました。
「外村」と書かれた認印。
以前にお会いしたことがある方に「そとむらさん」だと思って、お名前をお呼びしたところ・・・。
「ほかむら」 さんと読むとのこと。
お客様は慣れているらしく「ちゃんと読んでもらえることがほとんどないんです」とおっしゃってくださいました。
「外」という字は、ふだんの暮らしでは「そと」と読むことがほとんどです。
だから、つい慣れた読み方に引っぱられてしまいました。
でも、お名前というのは、その人とご家族が代々大切に受け継いできたもの。
間違えてしまうのは申し訳ないといつも感じてしまうのです。
外村さんの認印は、そのことをあらためて教えてくれました。
こうした経験を重ねるうちに、私たちは必ず読み方をお尋ねするようになりました。
たとえば「山崎」さん。
「やまさき」さんなのか「やまざき」さんとお読みするのか?
漢字はまったく同じでも、読み方が違うとご本人にとっては別のお名前になります。
「ずっと、やまざきって間違えられてきたんです」
そんなお話を伺うこともあります。
だからこそ、印鑑をお作りするときは、最初に読み方をていねいに確認させていただきます。
横田印房では、お一人おひとりの名字やお名前と、そこに込められた読み方を大切にしながら、ひと彫りひと彫り、心を込めてお作りしています。
「うちの名字、珍しいんです」という方は、ぜひお越しください。
名字の奥深さを思い出させてくれた、「外村」さんの認印のお話でした。


