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第2回 ヒートショック対策 全3回

深澤一喜

深澤一喜

テーマ:窓・浴室・脱衣所の3点セットと対策

第2回 ヒートショック対策 段階


浴室だけ暖めても足りません|窓・浴室・脱衣所の3点セットと、対策の3段階


深健工舎の一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜です。群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市、玉村町、高崎市、北群馬郡で、自然素材を使った高気密・高断熱・高耐震の家を手掛けています。

前回は、ヒートショックで危ないのは寒さそのものではなく温度の急変であること、そして0円でできる習慣の話を書きました。今回は、それでも寒さが残る場合の整理です。

対策は窓・浴室・脱衣所の“3点セット


ここは誤解が多いところなので、はっきり書きます。浴室だけ暖めても足りません。危険は、移動するときに生まれるからです。

脱衣所は、服を脱ぐ場所です。体が一番無防備になる部屋です。ここが冷えていると、浴室をいくら暖めても急変は起きます。にもかかわらず、脱衣所には暖房設備がないお宅がほとんどです。

浴室は、湯気で暖まります。ただしタイル張りの在来浴室(ユニットバスではなく、現場でタイルやモルタルを施工してつくる浴室のことです)は、床と壁が熱を奪います。足の裏から冷えていく感覚は、これが原因です。

からは、脱衣所と浴室の熱の多くが逃げていきます。壁には断熱材が入っていますが、窓に断熱材は入っていません。ガラスとサッシ(窓枠)だけです。ここを放置したまま暖房を足すのは、穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。

滋賀県のページにも「窓まわりは熱が逃げやすいので内窓を設置するなども効果があります」とあります。行政の案内と、現場の実感が一致している、数少ないテーマです。

この3つは、どれか1つでは効きません。逆に言えば、3つ揃えば暖房の効き方が変わります。

現地でまず確認する3つ



ご相談をいただいたとき、私が最初に見るのはこの3点です。ご自宅で確認しておいていただけると、話が早く進みます。

1.脱衣所に、暖房の手段があるか。コンセントがあるか、どこに置けるか。ここが決まるだけで、今年の冬の安全度は変わります。

2.浴室は在来工法か、ユニットバスか。工事の範囲が大きく変わります。築年数で見当はつきますが、床と壁がタイル張りなら在来工法です。

3.浴室・脱衣所の窓は、どの種類か。アルミサッシ+1枚ガラスか、複層ガラスか。窓枠を横から見て、ガラスが1枚か2枚かで判断できます。

対策には3つの段階がある


3点セットを、どこまでやるか。ここを段階に分けて考えると、判断しやすくなります。

段階1|習慣を変える(0円)
入浴前の暖房、お湯はりの工夫、湯温と時間。効くのは温度の急変そのもの。今夜から始められます。残る課題は、毎回の手間がかかることです。

段階2|暖房を足す(数千円〜数万円)
脱衣所に小型暖房機、浴室に暖房乾燥機。効くのは脱衣所・浴室の室温。その日から始められます。残る課題は、窓から熱が逃げ続けることです。

段階3|建物を直す(数万円〜数十万円)
内窓、ガラス交換、浴室の入替。効くのは熱が逃げる原因そのもの。調査から工事まで数週間かかります。残る課題は、それでも習慣が依然として必要なことです。

ただし、この金額は費用の保証ではありません。段階3は窓の大きさ、枠の形状、浴室の工法、下地の状態で大きく変わります。あくまで**考え方の目安としての一例**としてご覧ください。実際の金額は現地を確認したうえでのご提示になります。

段階を飛ばさないこと

大事なのは、段階を飛ばさないことです。

段階1で足りるお宅は、実際にあります。そして段階3をやっても、段階1はなくなりません。内窓を入れても、入浴前に脱衣所を暖める習慣は要ります。

順番はこうです。まず習慣、次に脱衣所の暖房機、そのうえで窓、そして浴室そのもの。この順番を飛ばして設備から入ると、費用をかけたのに不安が残ります。

「全部やらないと意味がないですか」と聞かれることがあります。私は、そうは思いません。予算は有限で、暮らしは今日も続いています。脱衣所と浴室の窓だけ直したお宅で、「今年の冬は違った」と言っていただいたことが何度もあります。全部やらないと意味がないという考え方は、結果として何も変わらないことにつながります。


「段取り八分、仕事二分」と昔の大工は言いました。家の仕事は、本当にそうです。暖かいうちに順番を決めておくことが、いちばん効く対策です。

次回は段階3、工事の話をします。内窓という現実的な一手と、浴室そのものの改修、そして補助制度の考え方です。

一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜
深健工舎/大工工務店2代目・一級建築士
群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市・玉村町・高崎市・渋川市、北群馬郡で対応しています。
根拠のある提案と、誠実な対応をお約束します。

参考資料
・滋賀県|ヒートショック対策について
 https://www.pref.shiga.lg.jp/eg00/4000.html
・消費者庁|冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!
 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_013
・政府広報オンライン|交通事故死の約3倍?! 冬の入浴中の事故に要注意!
 https://www.gov-online.go.jp/article/202111/entry-9952.html
・国土交通省|省エネ基準引き上げへ。脱炭素化も。
 https://www.mlit.go.jp/shoene-jutaku/

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深澤一喜
専門家

深澤一喜(建設業)

深健工舎

「断熱性能」「気密性能」「耐震等級」に独自の基準を設け、省エネや耐震を考えた家を設計。できるだけ自然素材を用い、化学物質過敏症などに悩む方に寄り添った家づくりを提案しています。

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