経理を「丸投げ」する経営の時限爆弾
クラウド会計ソフト「freee」の導入効果として「リアルタイムな経営分析」が挙げられますが、実際にはこれが機能していない企業が散見されます。
freeeの再構築・運用設計を専門とする弊社(株式会社Re’れぼ)の視点から、その構造的な原因である「タグ設計の失敗」について解説します。
「補助科目」の思考でfreeeを構築する罠
従来のインストール型会計ソフト(弥生会計など)に慣れ親しんだ税理士や経理担当者がfreeeを構築する際、最も陥りやすい罠が「freeeのタグを、従来の補助科目と同じように扱ってしまうこと」です。
従来型ソフトでは、勘定科目の下に「補助科目」をぶら下げて管理します(例:売掛金という科目の下に、A社、B社という補助科目を作る)。これは階層構造であり、1つのデータに対して付与できる情報は限定的でした。
一方、freeeのデータベース構造は全く異なります。
勘定科目とは独立して、「取引先」「部門」「品目」「メモタグ」といった複数のタグ(次元)を、1つの仕訳データに同時に付与できる「多次元データベース」を採用しています。
経営分析が破綻する具体的なケース
この構造の違いを理解せず、従来型の思考でfreeeを設定すると、以下のような事態に陥ります。
品目タグへの情報詰め込み:
従来の補助科目の代わりに「品目タグ」だけを多用し、「A事業部_商品X」のように複数の意味を持たせた長いタグを作ってしまう。結果、事業部ごとの集計や商品ごとの集計がシステム上で交差してしまい、正しいレポートが出力できなくなります。
部門とプロジェクトの混同:
恒久的な「部門」と、単発の「プロジェクト」を同じ部門タグで管理しようとし、タグの数が膨大になって現場の入力ルールが崩壊するケースです。(本来は、プロジェクトはメモタグや品目タグで管理するなどの設計が必要です)
経営管理のための「データモデリング」が必要
freeeで精緻な部門別採算やプロジェクト別収支を見るためには、税務申告の視点とは完全に切り離した「経営管理の視点」でのデータモデリング(タグ設計)が不可欠です。
どのディメンション(次元)で売上とコストを切り分けるか?
共通費の配賦ルールをどう設定するか?
現場の入力負荷を上げずに、どう正しいタグを付与させるか?
株式会社Re’れぼでは、M&A後のPMI(バックオフィス統合)など、複雑な事業構造を持つ企業のfreee再構築を多数手がけてきました。
「とりあえず導入した」状態から、「経営の意思決定に使えるクラウドERP」へと昇華させるためには、専門家によるアーキテクチャの再設計が必要です。自社の経営分析の精度に課題を感じている場合は、抜本的なタグの再構築をご検討ください。
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