お金はどこから来るの?子どもに「お金が生まれる仕組み」を教える方法と、家でできる4つのステップ

小学生の商品開発体験とは、だれかのこまったを見つけ、それを助ける物を考えてつくり、売ってみて、よりよくしていく体験のことです。
「商品開発」と聞くと、大きな会社の研究室を思いうかべるかもしれません。でも、やっていることの中身は、子どもにもできるほどシンプルです。だれかのこまったを見つける。助ける物を考える。つくってみる。使ってもらう。直す。
このコラムでは、家庭で進められる商品開発の5つのステップと、7歳のひらめきから大きな会社になった女の子の話を紹介します。
商品開発は「つくる」より「見つける」から始まります
子どもに商品を考えさせると、多くの場合、「自分がつくりたい物」から始めます。それ自体は悪いことではありません。
ただ、売れる商品になるかどうかは、「だれかが本当にこまっているか」で決まります。だから、商品開発のスタートは、つくることではなく、こまったを見つけることです。
この順番を親が知っているだけで、子どもへの声かけが変わります。「何をつくりたい?」ではなく、「だれがこまっていそう?」から始めてみてください。
親が教える、商品開発の5つのステップ
商品開発は、次の5つのステップで進めます。最後まで進んだら、また1にもどってくり返します。
1. お客さんを探す:だれのこまったを助ける?
まず、身近な人のこまったを集めます。家族、おじいちゃんやおばあちゃん、近所の人、クラスの友だち。
「何かこまっていることある?」と、子どもに直接聞いてもらうのがおすすめです。「メガネをすぐなくす」「雨の日にかさがぬれたまま」「プリントがかばんの中でぐちゃぐちゃになる」。小さなこまったほど、商品のたねになります。
2. アイデアを出す:いくつも出して、1つえらぶ
1つのこまったに対して、助ける方法をできるだけたくさん考えます。メガネをなくすなら、「メガネを置く専用の小皿」「首からかけるひも」「置き場所を決めるカード」。
ここでは、よい悪いを言わないのがコツです。たくさん出したあとで、「いちばん喜ばれそうなのはどれ?」「家にある材料でつくれるのはどれ?」と聞いて、1つにしぼります。
3. 試作する:まずは1つ、かんたんにつくる
最初から完ぺきな物をつくる必要はありません。紙や空き箱、ねんど、布など、家にある物で1つつくってみます。
会社でも、この最初の形を「試作品」とよび、何度もつくり直します。失敗してもいい、という空気を親がつくることが大切です。
4. 使ってもらう:お客さんの声を聞く
試作品ができたら、最初にこまっていた人に使ってもらいます。そして、「どこがよかった?」「どこが使いにくい?」と聞きます。
子どもにとっては、少しドキドキする場面です。でも、ここで聞いた声が、商品をよくするいちばんの材料になります。
5. 直して売る:値段を決めて、小さく売ってみる
声をもとに直したら、値段を決めて売ってみます。材料のお金を引いて、いくら残るかも一緒に計算します。
売る相手は、まずは親せきやご近所、地域のフリーマーケットで十分です。売れたら、なぜ売れたのか。売れなかったら、どこを直すか。このくり返しが、商品開発そのものです。
たとえば、「プリントがかばんの中でぐちゃぐちゃになる」というこまったから、牛乳パックでつくるプリント入れが生まれたとします。友だちに使ってもらったら「もう少しうすいほうがいい」と言われ、厚紙に変えた。そんな小さな直しの積み重ねが、売れる商品をつくります。
世界の例:7歳のひらめきから生まれた、歯にやさしいキャンディ
アメリカ:銀行でのひとことが、商品のたねになった
アメリカのミシガン州に住むアライナ・モースさんは、7歳のとき、お父さんと銀行に行きました。窓口の人がキャンディをくれようとすると、お父さんは「あまい物は歯によくないから」とことわりました。
そこでアライナさんは考えました。「歯にわるくないキャンディは、つくれないのかな」。これが商品のたねでした。
台所での試作と、専門家への相談
アライナさんは、家の台所で試作をくり返しました。歯医者さんや歯科衛生士さんに材料のことを相談し、食品の専門家とも一緒に味を整えていったといいます。
こうして生まれた砂糖を使わないキャンディ「ゾリポップス」は、アメリカの2万5,000をこえるお店で売られるようになったと報じられています。利益の一部は、学校で歯の大切さを教える活動に使われています。
こまったに気づく。試作する。専門家の声を聞く。直す。アライナさんの歩みは、このコラムの5つのステップとほとんど同じです。
商品開発を進めるときに、親が守りたいこと
1. 食べ物は家族の中だけで:手づくりの食べ物を外の人に売るには、保健所の許可などが必要になることがあります。外に売る商品は、工作や手芸など食べ物以外の物にしましょう
2. 道具の安全は親が見る:はさみ、カッター、熱い道具を使う作業は、親がそばにつきます
3. SNSで紹介するなら親のアカウントで:多くのSNSは13歳以上でないとアカウントを作れません。顔・名前・学校・住所は出さず、写真は商品と手元だけにします
4. 売り買いの約束は親が:子どもがする売り買いの約束には、親の同意がいるという法律のルールがあります。外の人に売るときは、親が窓口になります
マーケターとして伝えたいこと
私はふだん、コピーライター・マーケターとして、お店や会社の「売り方」や「伝え方」をお手伝いしています。
売れない商品の多くは、つくる人が「いい物ができた」と思ったところで止まっています。売れる商品は、お客さんの声を聞いて、何度も直されています。子どものうちに「聞いて、直す」をくり返す経験は、どんな仕事にも通じる大きな力になります。
親御さんが気になりやすい3つの疑問
何年生からできますか?
こまったを聞いて、工作で形にするところまでは、低学年からでもできます。高学年になったら、値段や材料のお金の計算、お客さんの声のまとめまで任せてみましょう。
アイデアが出ない子には、どうすればいいですか?
「こまったこと集め」から始めると、アイデアが出やすくなります。家族のこまったを3つ聞いてくるだけでも、立派な第一歩です。
試作がうまくいかず、子どもががっかりしたら?
「うまくいかなかったところがわかったね」と声をかけてください。会社の商品も、何度も失敗してから生まれています。直すたびによくなることを、一緒に楽しみましょう。
まとめ
小学生の商品開発体験とは、だれかのこまったを見つけ、助ける物をつくり、売ってみて、よりよくしていく体験です。親が教えるのは、お客さんを探す、アイデアを出す、試作する、使ってもらう、直して売る、の5つのステップです。
アメリカでは、7歳の女の子の「歯にわるくないキャンディはつくれないの?」という疑問が、2万5,000をこえるお店にならぶ商品になりました。最初の一歩は、家族に「何かこまっていることある?」と聞くことから始められます。
「だれの、どんなこまったを助けるのか」を伝える力は、大人の仕事でもいちばん大切な力です。


