子どもとAIのつきあい方|生成AIが子どもにあたえる、いい影響と悪い影響

子どもにとってのマーケティングとは、「買う人の気持ちを考えて、ほしいものを届ける工夫」のことです。
むずかしく聞こえますが、やっていることは身近です。お店屋さんごっこで「どうしたら買ってもらえるかな」と考えたら、それがマーケティングの入り口です。
一方で、こんな心配をする親御さんもいると思います。「子どもに売り方を教えるのは、まだ早いのでは」「お金のことばかり考える子にならないかな」。
その気持ちは、とても自然です。このコラムでは、マーケティングを「人の気持ちを考える力」として見直します。そのうえで、世界の学び方と、家でできることを紹介します。
マーケティングは「売りつける力」ではありません
マーケティングと聞くと、「じょうずに売りつける方法」を思いうかべる人もいます。でも、いちばん大切なのは、相手を知ることです。
たとえば、こんなことを考えます。
・この人は、何にこまっているのかな
・どんなものがあったら、うれしいかな
・どう伝えたら、わかってもらえるかな
この3つが、マーケティングの中心です。売れるかどうかは、そのあとについてきます。
つまり、子どもが学ぶのは、損か得かではありません。相手の立場に立って考えることです。
学校で学ぶのは「買う人」の立場
小学校の家庭科では、5・6年生でお金の使い方や、買い物のしかたを学びます。よく考えて買う、という「買う人」の立場の学びです。
いっぽう、「売る人」の立場から、買う人の気持ちを考える場面は、学校ではまだ多くありません。
だからこそ、世界では、子どもが小さなお店を開いてみる学びが広がっています。
世界の子どもたちは、こうして学んでいます
イギリス:5ポンドでお店を開く「ファイバー・チャレンジ」
イギリスには「ファイバー・チャレンジ」という、小学生向けの取り組みがあります。ファイバーは、英語で「5ポンドのお札」のことです。
5歳から11歳の子どもが、5ポンド(日本のお金で千円前後)だけを使って、4週間で小さなお店をつくります。何が売れそうかを調べる。商品をつくる。宣伝する。そして、売る。もうけたお金を何に使うか、寄付するかも、子どもが自分で決めます。
運営する団体によると、2014年から2024年までに、35万人をこえる子どもが参加しました。参加した学校の先生の96%が、「本物の暮らしに近い学びになる」と答えています。
アメリカ:レモネードのお店を出す「レモネード・デー」
アメリカでは、2007年にテキサス州ヒューストンで「レモネード・デー」が始まりました。子どもが、自分のレモネードのお店を開く取り組みです。
アメリカでは、子どもが家の前でレモネードを売るのは、昔からよくある光景です。それを、お店づくりの学びとして広げました。団体の発表では、これまでに100万人をこえる子どもが参加したといいます。
アメリカ:子どもサイズの街で働く「JAビズタウン」
アメリカの「ジュニア・アチーブメント」という団体は、小学校の高学年向けに「JAビズタウン」を開いています。お店や銀行、市役所がならぶ、子どもサイズの街です。
子どもたちは、まず学校の授業で準備をします。どんな仕事があるかを知り、働きたいお店に申しこみます。そのあと、この街で1日、仕事をします。
3つの例に共通する「育つ力」
3つの例をならべると、子どもが同じ順番で考えていることがわかります。
1. 相手を知る:だれが、何をほしがっているかを考える
2. 工夫する:どんな商品にするか、いくらにするかを決める
3. 伝える:ポスターや声かけで、よさを伝える
4. ふり返る:売れた理由、売れなかった理由を考える
私はふだん、コピーライター・マーケターとして、お店や会社の「伝え方」をお手伝いしています。
仕事で毎日感じるのは、伝わる言葉は、かっこいい言葉ではないということです。相手のこまりごとを知っている人の言葉が、いちばん伝わります。
これは、大人も子どもも同じです。マーケティングを学ぶことは、相手を思いやる練習でもあるのです。
家で今日からできる3つのこと
1. 買い物で「どうしてこれを選んだの?」と聞く
スーパーやコンビニで、子どもに聞いてみてください。「どうしてこのお菓子を選んだの?」
「箱がかわいいから」「おまけがついているから」。子どもの答えの中に、売る人の工夫がかくれています。
「お店の人は、どうしてこのお菓子を、ここに置いたのかな?」と話を広げると、売る人の目が育ちます。
2. 家族を「お客さん」にして、小さなお店を開く
家族向けの小さなお店を、子どもに開いてもらいましょう。手づくりのしおり、かたたたき券など、なんでもかまいません。
始めるときは、「お父さんは、何があったらうれしいかな?」と、相手を考えるところから。お金は、おもちゃのお金やシールで十分です。
3. 売れなかったときこそ、一緒にふり返る
思ったより売れなかったら、それは大切な学びのチャンスです。
「だれに向けたお店だった?」「何て言ったら、気づいてもらえたかな?」と、一緒に考えてみてください。しかったり、すぐに答えを言ったりしないのがポイントです。
親御さんが気になりやすい3つの疑問
お金もうけばかり考える子になりませんか?
心配はいりません。ここで学ぶのは、相手に喜んでもらう工夫です。
ファイバー・チャレンジでも、もうけたお金を何に使うか、寄付するかを、子どもが自分で決めます。「売れた」は「だれかの役に立てた」ということだと伝えてあげると、お金の見方も変わります。
何歳から始められますか?
ファイバー・チャレンジは、5歳から参加できます。小さいうちは、お店屋さんごっこで十分です。
小学校の中学年や高学年になったら、家族やご近所さん向けに、本当に小さなお店を開いてみるのもおすすめです。
親がマーケティングにくわしくなくても大丈夫ですか?
大丈夫です。必要なのは、むずかしい言葉ではありません。「相手は、どう思うかな?」と一緒に考える、その一言です。
まとめ
子どものマーケティング教育は、売りつける方法を教えることではありません。相手の気持ちを考えて、喜んでもらえる工夫をする力を育てることです。
イギリスやアメリカでは、子どもが小さなお店を開く学びが広がっています。家でも、買い物の会話や、家族向けのお店から始められます。
相手の気持ちを考えて伝える力は、大人の仕事でも大切な力です。


