お金はどこから来るの?子どもに「お金が生まれる仕組み」を教える方法と、家でできる4つのステップ

子どもの「自分で考える力」とは、答えを教えてもらうのを待たずに、自分で気づき、考え、決められる力です。
この力は、生まれつきの性格だけで決まるものではありません。毎日の会話の中で、少しずつ育っていきます。
「うちの子は、言われないと動かない」「すぐに『どうすればいいの?』と聞いてくる」。そんな悩みを持つ親御さんは多いと思います。
一方で、こんな迷いもよく聞きます。「どこまで手を貸せばいいのか分からない」「放っておくのも心配」。
このコラムでは、世界の研究や学校の取り組みを紹介します。そのうえで、家庭で今日からできることをお伝えします。
学校でも「考える力」が大切にされています
日本の学習指導要領は、育てたい力を3つの柱で示しています。そのひとつが「思考力、判断力、表現力等」です。
知識を覚えるだけでなく、それを使って考え、決めて、伝える。この力を、小学校から育てることになっています。
世界でも同じ流れがあります。OECD(経済協力開発機構)は、これからの教育で大切な力として「エージェンシー」を挙げています。
OECDの説明では、目標を立て、ふり返り、責任をもって行動して、変化を起こす力のことです。日本語では「主体性」に近い言葉です。
世界の研究と学校に学ぶ3つの例
アメリカ:ハーバード大学がすすめる「やりとり」
ハーバード大学の子どもの発達センターは、「サーブ・アンド・リターン(やりとり)」の大切さを伝えています。
子どもが声を出す。指をさす。大人が目を合わせて、言葉で返す。この行き来を、テニスのラリーにたとえています。
センターによると、このやりとりが脳のつながりを育てます。言葉や人と関わる力の土台になり、のちの複雑な考える力の基礎にもなるとされています。
小さいころは、答えを教えることより、子どもの「気づき」に返事をすることが大切だということです。
たとえば、散歩中に子どもが「あ、アリ!」と言ったとします。「ほんとだ、アリさんだね。どこに行くのかな?」と返す。これだけで、子どもの気づきが次の問いへつながります。
アメリカ:「見る・考える・ふしぎに思う」の3つの問い
同じハーバード大学の研究チーム「プロジェクト・ゼロ」は、考える習慣をつけるための問いかけを公開しています。
そのひとつが「シー・シンク・ワンダー」です。絵や写真を前に、3つのことを聞きます。
何が見える? それについてどう思う? どんなことがふしぎ?
ていねいに見ること。自分なりに考えること。次の疑問を持つこと。この3つを、短い問いで練習できます。
イギリス:小学校の「てつがく対話」で学力も伸びた
イギリスには「子どものための哲学(P4C)」という授業があります。正解のない問いについて、クラスで話し合う時間です。
たとえば「うそをつくのは、いつも悪いこと?」。先生は答えを教えません。子どもたちが理由を出し合います。
イギリスの教育財団は、2013年に48の小学校でこの授業の効果を調べました。授業は、おおむね週に1回です。
報告によると、この授業を受けた子は、算数と読解で約2か月分、多く伸びたといいます。とくに、家庭の経済状況が厳しい子どもほど、伸びが大きかったとされています。
考えて話す時間が、教科の学びにもつながった例です。
自分で考える力は4つのステップでできている

ここまでの例には、共通点があります。大人が答えを渡すのではなく、子どもが自分の言葉で考える場をつくっていることです。
自分で考える力は、次の4つのステップに分けられます。
1. 気づく:いつもと違うこと、ふしぎなことに目がとまる
2. 問いを持つ:「なんで?」「どうしたら?」と自分に聞く
3. 決める:いくつかの中から、自分で選ぶ
4. ふり返る:やってみてどうだったか、次はどうするかを考える
私はふだん、コピーライター・マーケターとして、お店や会社の「伝え方」をお手伝いしています。
その仕事で感じるのは、考えがまとまらない人の多くは、頭の中だけで考えているということです。言葉にしてみると、何が分かっていて、何が分からないのかが見えてきます。
子どもも同じです。考える力は、言葉にする機会があるほど育ちます。だからこそ、家庭の会話が大切になります。
この4つのステップが、1日でそろう体験もあります。お店屋さんごっこやフリーマーケットのような、小さなお店づくりです。
何が売れそうかに気づく。どうしたら買ってもらえるかを考える。値段を決める。売れ残ったら、理由をふり返る。遊びの形をとりながら、考える力をひと通り使えるのです。
考える力を止めてしまう、ついやりがちな声かけ
親御さんに悪気はなくても、考える力の芽をつんでしまう声かけがあります。
先回りして答えを言う
子どもが迷っているのを見ると、つい「こうすればいいよ」と言いたくなります。でも、それが続くと、子どもは「待っていれば答えが来る」と覚えてしまいます。
「早くして」と急かす
考えるには時間がかかります。朝の支度など、急ぐ場面があるのは当然です。だからこそ、時間に余裕のある休日などに、ゆっくり考える場をつくってあげてください。
子どもの答えを「正解」で上書きする
子どもが出した考えに、すぐ「それは違うよ」と返すと、次から話してくれなくなります。まずは「そう考えたんだね」と受け止めましょう。そのあとで「ほかの考え方もあるかな?」と広げると、考える楽しさが残ります。
家庭で今日からできる3つのこと
1. 答える前に「あなたはどう思う?」と返す
子どもに「これ、どうすればいい?」と聞かれたら、すぐに答えを出さずに聞き返してみてください。
「あなたはどう思う?」。最初は「わかんない」でもかまいません。「じゃあ、AとBならどっち?」と、選びやすくしてあげましょう。
たとえば、「宿題と遊び、どっちを先にする?」。親が決めたルールを守らせるより、子どもが自分で順番を決めたほうが、続きやすいものです。うまくいかなかったら、「明日はどうする?」と一緒に考え直せば十分です。
2. 小さなことを「自分で決める」場面をつくる
今日の服、週末に行く公園、夕ごはんの副菜。小さなことでいいので、子どもに決めてもらいましょう。
大切なのは、決めたあとに親がひっくり返さないことです。自分で決めたことが、そのまま通る。この経験が、次も考えようという気持ちを育てます。
3. 結果より「どう考えたか」を聞く
うまくいったときも、いかなかったときも、「どうしてそうしたの?」と聞いてみてください。
ほめるのは、結果ではなく考えた過程です。「そこまで考えたんだね」の一言が、ふり返る力を育てます。
親御さんからよくある3つの疑問
答えを教えないのは、かわいそうではありませんか?
教えないのではなく、教える順番を変えるだけです。まず子どもに考えてもらい、そのあとで一緒に答えを確かめましょう。
困っている様子が強いときは、ヒントを1つだけ出すのがおすすめです。
何歳から始めればいいですか?
言葉が出る前から始められます。ハーバード大学の例のように、赤ちゃんの声や指さしに返事をすることも、立派な第一歩です。
「あなたはどう思う?」の問いかけは、会話ができる年齢になれば、いつからでも使えます。高学年になったら、ニュースや身近な出来事について「あなたならどうする?」と聞くのもおすすめです。
習い事に通わせたほうがいいですか?
習い事は、考える場を増やす方法のひとつです。ただ、土台になるのは毎日の会話です。
まずは家庭で「聞き返す」「決めてもらう」「ふり返る」を続けてみてください。そのうえで、子どもが興味を持ったものを選ぶのが安心です。
まとめ
子どもの自分で考える力は、特別な教材がなくても、毎日の会話で育てられます。
答えをすぐに渡さない。小さなことを決めてもらう。考えた過程を聞く。世界の研究や学校の取り組みも、同じ方向を向いています。


