製造現場に協働ロボットを導入する手順、導入効果とメリット、デメリットを検討する

濱田金男

濱田金男

テーマ:DX化で製造業は変わる!

加工や組立工程に協働ロボットを導入したいがどのような手順で進めて
いけば良いか?
また導入の効果、メリット、デメリットについて解説します。

 ★参考記事
   https://monozukuri-japan.seesaa.net/article/503472293.html


1.協働ロボットを導入する手順
(1)導入目的の明確化
まず、なぜ協働ロボットを導入したいのか、その目的を明確にすること
が重要です。人手不足解消、生産性向上、品質向上、安全性の向上など
具体的な目的を定めることで、その目的に合ったロボットを選定し、導
入効果を最大限に引き出すことができます。

(2)対象ワーク・作業の選定
次に、協働ロボットで代替可能な作業内容と、その作業に適したロボット
を選定します。協働ロボットは、単純作業や繰り返し作業を得意としてい
ますが、複雑な作業や繊細な作業には不向きです。

(3)導入レイアウトの検討
ロボットを設置する場所や、人とロボットの動線を考慮したレイアウト
を検討する必要があります。協働ロボットは人と共存できる設計になっ
ていますが、安全距離を確保し、人とロボットが干渉しないようにする
必要があります。

(4)導入費用の試算
ロボット本体価格だけでなく、システム構築費用、運用保守費用、教育
訓練費用などを含めた導入費用を算出する必要があります。

(5)社内体制・運用の検討
ロボット導入後には、運用管理体制や保守点検体制を整備する必要があり
ます。また、現場作業員への教育訓練も必要です。

(6)ロボットSIerなどの依頼先へ提案依頼書の提示
上記の手順を踏まえ、ロボットSIerなどの専門業者へ提案依頼書を提示
し、見積もりを取ります。

(7)依頼先の選定
提案内容や見積もりなどを比較検討し、最適な依頼先を選定します。

(8)システム構築・導入
選定した依頼先と協力して、システムを構築し、導入します。


(9)運用開始
ロボットの運用を開始し、必要に応じて調整を行います。

2.導入の効果・メリット・デメリット
協働ロボットを導入することで、以下のような効果・メリット、デメリ
ットがあります。
メリット
 ・人手不足の解消
 ・生産性の向上
 ・品質の向上
 ・安全性の向上
 ・労働環境の改善
 ・コスト削減
デメリット
 ・初期投資費用が高い
 ・導入に時間がかかる
 ・専門知識が必要
 ・メンテナンスが必要
 ・予期せぬトラブルが発生する可能性がある

3.費用対効果の検討
協働ロボットは単純作業や繰り返し作業を得意としており、複雑な作業
には不向きということは、作業の付加価値はあまり高いとは言えず、費
用対効果の点でメリットが得られないケースも多いと考えられます。
この問題をどのように解決すればいいか、考えてみます。

上記を踏まえ、以下の対策を講じることで、協働ロボットの費用対効果
を向上させることが可能です。
(1)複数台のロボットを連携させる
複数のロボットを連携させることで、より複雑な作業を自動化すること
ができます。例えば、ロボットアームとビジョンシステムを組み合わせ
ることで、部品の把持と検査を同時に行うことができます。

(2)周辺機器を活用する
ロボット本体以外にも、コンベアやグリッパーなどの周辺機器を活用す
ることで、作業の効率化を図ることができます。

(3)人とロボットの協働を強化する
ロボットが得意な単純作業と、人が得意な複雑な作業を分担することで
より付加価値の高い作業を実現することができます。

(4)データ分析を活用する
ロボットから取得したデータを分析することで、作業の改善点を見つけ
たり、予防保全を行うことができます。

(5)導入後のサポート体制を充実させる
ロボット導入後も、定期的なメンテナンスやトラブル対応を行うことで
ロボットを安定稼働させることができます。

(6)政府の補助金・助成金を活用する
ロボット導入には費用がかかりますが、政府から補助金や助成金が用意
されている場合があります。これらの制度を活用することで、導入のハ
ードルを下げることができます。

<具体的な事例>
以下は、協働ロボットを導入することで費用対効果を向上させた具体的な
事例です。

自動車部品メーカー
 ロボットアームとビジョンシステムを組み合わせることで、部品の検査
 作業を自動化し、検査漏れ率を低減するとともに、検査員の人件費を削
 減しました。

食品メーカー
 ロボットアームとグリッパーを活用することで、食品の包装作業を自動
 化し、作業時間を短縮するとともに、包装不良率を低減しました。

医薬品メーカー
 ロボットとクリーンルームを組み合わせることで、医薬品の製造工程を
 自動化し、生産性を向上するとともに、製品の品質を安定させました。

協働ロボットは、単純作業や繰り返し作業を得意としていますが、工夫
次第で複雑な作業にも対応することができます。また、周辺機器やデー
タ分析などを活用することで、さらに費用対効果を向上させることがで
きます。

 ★参考記事
   https://monozukuri-japan.seesaa.net/article/503472293.html

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濱田金男
専門家

濱田金男(企業経営コンサルタント)

合同会社高崎ものづくり技術研究所

大手電機メーカーで設計、製造、品質管理に長く携わり、中国工場立ち上げ、韓国での生産ライン効率化など海外支援実績も多数。新しい時代を見据えた工場改革、付加価値向上と人材育成で、ものづくりの現場をサポート

濱田金男プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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