童心がイノベーションを生む。Muku-studio様の「からくり」に学ぶものづくりの原点
パイプが繋ぐご縁を大切に。新卒入社してから株式会社MATSUMURAの4代目社長を務めています古川です。
先日、未就学児から小学生を対象にした職業体験イベント「こどもシゴト博2026in両毛」に、弊社として初めて出展する機会をいただきました。
その経験から、業種を問わず経営に通じる気づきがいくつかありましたので、今回はそれをお伝えしたいと思います。
「見せる」のではなく「体感させる」という発想
弊社は以前、小型の風力発電機を自社で設計・製造・販売していた経験があります。
今回はその発電機部分を活かし、子どもが自分の手でハンドルを回して発電する装置を製作しました。
ただ発電するだけでなく、その電気が次々と仕掛けを動かしていく構成にしています。
①ハンドルを回して発電する
②その電気でボールコンベアが作動し、ボールが運ばれて装置上部のレールに置かれ、転がり出す
③ボールがスイッチ①に触れると送風機が起動し、その風で発泡スチロールの球がふわりと浮く
④次のボールがスイッチ②に触れると、LEDパネルが点灯する
⑤最後のボールがスイッチ③に触れると、シャボン玉発生装置が作動し、シャボン玉が舞う
なぜここまで手の込んだ仕掛けにしたのか。
理由はシンプルで、「電気とは何か」を言葉で説明しても、子どもには伝わらないからです。
パネルに文字を書いて掲示することは簡単ですが、それでは記憶に残りません。
自分の手を動かした結果が、風になり、光になり、最後はシャボン玉になって空に舞う。
その一連の体験こそが、何よりの説明になると考えたのです。
これは製造業の現場にも通じる話だと思っています。
技術や品質の価値は、口頭でどれだけ説明しても、実際に手にとって使ってもらわなければ本当には伝わりません。
「体感してもらう」という発想は、BtoBの取引においても意外と見落とされがちな視点ではないでしょうか。
負荷を"あえて"見せる設計
もう一つ工夫したのは、ギミックが一つ動くごとに、ハンドルの手応えが重くなっていく仕掛けです。
何かを動かすためには、それだけの力とエネルギーが必要になる。
その当たり前の事実を、あえて負荷として体感してもらう狙いがありました。
普段、私たちは電気やものが「当たり前に動くこと」に慣れてしまい、その裏側にある仕組みやコストを意識することが少なくなっています。
これは経営にも当てはまることで、成果が生まれる裏側には必ず何らかの負荷やコストがかかっている、という事実を、社員自身にも改めて意識してもらう良い機会になりました。
「自分でやる」という言葉が教えてくれたこと
当日印象的だったのは、力の弱い小さなお子さんが、親御さんの手助けを断って「自分でやる!」とハンドルに向かう姿を何度も見かけたことです。
この姿は、人が育っていく過程そのものを表しているように感じました。
人は誰かに助けてもらうことよりも、自分の力で成し遂げることに、より大きな喜びと誇りを見出すものです。
これは子どもに限った話ではなく、社員育成においても同じことが言えると思います。
手取り足取り教えることは簡単ですが、本人が「自分でやり遂げた」と実感できる機会をどれだけ用意できるか。
そこに、人が育つかどうかの分かれ目があるのではないかと感じています。
初出展だからこそ見えた課題
正直に申し上げると、今回製作した装置には運営上の課題も残りました。開始早々に不具合が発生し、スタッフの人力で対応する場面もありました。
準備段階では問題が解決しきれず、当日お見せできなかった仕掛けもあります。
ただ、こうした課題が明確になったこと自体が、今回の大きな収穫だったとも思っています。
新しい挑戦をすれば、想定外は必ず起こる。
それを恐れて挑戦しないよりも、実際にやってみて課題を洗い出し、次に活かす方が、結果として組織の力になっていくはずです。
まとめ
子ども向けのイベントへの出展は、一見すると本業とは直接関係のない取り組みに見えるかもしれません。
しかし、「どう伝えれば相手に体感として伝わるか」「負荷やコストをどう見える化するか」「本人の達成感をどう引き出すか」といったテーマは、業種を問わず、経営や人材育成の本質に通じるものだと感じています。
地域の企業の皆様にも、こうした機会があれば、ぜひ一度挑戦してみることをお勧めします。
得られる気づきは、想像以上に大きいはずです。

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