舞い込む仕事
子どもの家庭生活の時間を考えてみると、遊び、勉強、読書、仕事、入浴、食事などの要素で構成されています。
その一つ一つが、自らの意思で動いているか、それとも他者の指示で動いているかによって、かなりその後の生き方が変わってきます。
興味関心のある「遊び」については、主体的に自らの意思で動いている事が、多いように思いますが、その他の項目は、自分の意思というよりも指示されて動いている事が多いように思います。
これを意識レベルで考えてみると、日常生活は、「行動レベル」での会話が多く、どの要素もこのレベルの会話で済ませていることが多いように思います。
「遊ぼうよ。」
「ご飯だよ。」
「お風呂に入って!」
「この本、読もうか?」
「明日の準備はできた?」
「もう、寝なさい。」
「早く起きて!」
「学校に行く時間だよ。急いで!」
これらは全て「行動レベル」の言葉になり、意思よりも指示につながる言葉になります。
これらの言葉を繰り返し、子どもに声かけすることで、習慣として身につける事ができますが、自分の意思というよりは、子育てをする親の意思によるところが多くなります。
そして、それぞれの行動に、意味付けをすることで、親の意思を行動と共に伝えることにより、価値観を身につけていくことになります。
「生活リズムを身につけるために」
「健康を維持するために」
「けじめをつけるために」
「豊かな心を養うために」
「一緒に仲良く生活するために」
などと、その行動の裏にある親の思いを伝えることで、行動の意味付けをし、行動することになります。
例えば、
「みんなに迷惑をかけるといけないから、準備を早くしなさい。」
「早起きができるように、早く寝なさい。」
などと言い続けていると、子どもは、
「迷惑をかけないように早く準備する事が大事だ。」
「早起きのためには、早寝が大事だ。」
などと、意味付けをして行動することになります。
大事にしている価値観は、無意識のうちに言葉や行動になって子どもに伝わっています。
相手を思いやる言葉が多ければ、思いやりのある考え方が身についていきます。
時間に厳しい言葉がけが多ければ、時間厳守の考え方が身についていきます。
これらは全て親の願いが反映されています。
これが不明確であれば、
「親が、言うから。」「しないと叱られるから」などと親に責任を転嫁することになります。
ある意味、価値観を身につけることは、その後の行動に大きな影響を及ぼすことになり、子どもにとって、これを身につける事が役に立ちます。
例えば、
思いやりの大事さを伝える
・行動の意味を説明することができます。
「これは、相手の気持ちを考えたからだ。」
・自分や他者の行動を制限することができます。
「思いやりがあるから、できる(しない)。」
・他の場面に適応することができます。
「思いやりのある行動は、この場面でも使える。」
などと生きる知恵となって利用できます。
子どもが親の願い通りに動く事ができれば、親にはストレスが溜まることがありません。
だからと言って指示ばかりしていると、依存が強くなり、
「言われなければ、動けない。」「言われたことしかできない。」など、自ら考えて行動する事ができにくくなります。
意思をはっきりさせ、自ら考え、行動するためには、自分なりに、行動の意味づけができる事が必要になります。
「何のために、それをするの?」
という問いについて答えられなければ、応用することもできず、知恵を身につける事ができません。
「知らない。」
「だって親から言われているから。」
「しないと叱られるから。」 など
となるのは、行動の意味付けを自分なりにしていないからです。
行動の意味付けができていれば、
「今の行動は、その意味に合っている?」
「その意味がわかっているのであれば、この(別の)ばめんでも、できないのかな?」
「意味付けができているから、あの行動ができるんだね。」 など
と、問いかけたり、方向を助言したり、評価したりする事ができます。
これが、自立に大いに役立ちます。
さて、
お子さんは、
「何のために、それをするの?」
という問いにどんな回答をされるのでしょう?
一度、尋ねてみてください。