前提を考える

須田敏男

須田敏男

テーマ:メンタルヘルス

 「生きることの秘訣は『十分』を知ることだ。」という深草元政(1623~1668)言葉について考えてみました。

 私たちは、「足りない」、「不自由だ」、「不完全だ」と思っているから様々な努力をしています。
 課題を作って解決するのもそのためです。

 既にに十分に備わっていると思えば、その努力をしないと思います。
努力をしなければ、進歩はあり得ません。
 
 このように思いながらも、なぜか、この「十分を知る」と言う言葉に惹かれます。

 足りないからではなく、十分足りているから挑戦できるのだと考えてみると、見える世界が変わってくるように思いました。

 例えば、マズローの欲求5階層説
マズローの欲求5段階説とは、人間の欲求を5つの段階に分類し、階層的に説明する心理学理論です。最も低い段階から順に、生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求があります。ある欲求が満たされることで、次の欲求が現れるという法則です。

 生理的欲求が満たされるから安全欲求と言う次の欲求が現れると言うことです。
 前提となる欲求が満たされていると考えれば、前提は「十分」になります。

 何か不十分さを感じた時に、その前提となる十分さに気付けば、余計な力を入れずに努力できるのではないかと思いました。

 例えば、

・食べ物の好き嫌いをする自分がいる
 前提 食べるものがある。選べるだけの食べる物に囲まれている。 など

 ここに焦点を当てれば、好き嫌いが言えること自体贅沢な事に思えます。

・人の好き嫌いをする自分がいる
 前提 関わる人がいる。選べるだけの人に囲まれている。など

 関わる人がいる事に有り難さを感じます。

・上司からの厳しい要求がある
 前提 上司がいる 要求を受ける自分がいる 厳しさを求める状況がある
    など
 この職場で働かせてもらっている事に感謝の気持ちが湧き上がります。

・もっとお金を稼ぎたい自分がいる
 前提 稼げる身体がある 稼げる能力がある 稼げる場や時間がある
    など
 これまで稼げた自分や状況に有り難さを感じます。

・もっと旅行をしたい自分がいる
 前提 旅行できる身体がある 旅行をした体験がある 
    旅行費用を捻出できる知恵がある  など

  これまで旅行ができた自分や旅行できた状況に感謝したくなります。

 このように前提を考えると、「十分」整っている事が見えてきます。

 欲張りすぎていないか、感謝を忘れていないか、立ち止まる事ができます。
 視野を広げる事になりそうです。

 比較するわけではありませんが、震災で思い通りの生活ができない人々がいます。戦争に巻き込まれて命の危険にさらされている人々がいます。
 その事を考えると、かなり贅沢な生活をしている自分に気づく事にもなりました。

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須田敏男(メンタルヘルスサポーター)

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 最新の脳科学をベースにした「NLP心理学」を生かし、家庭への支援から働く人への支援と支援の範囲を広げ、悩みを持つ人の相談活動や企業向けの研修などにも幅広く対応。

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