自分の考えに引き込む事の功罪
人と一緒に仕事をしていると、思い通りにならない事の一つや二つは、見つかるものです。
思い通りにしたいという願いが強ければ強いほどストレスが溜まります。
この時、思い通りにならない原因が自分の外にあると考えるか、自分の内にあると考えるかによって、かなり取り組みが変わってきます。
自分の外にあると考えると、自分を責める事がないため、楽になりますが、その分、外を変えるにはかなりのエネルギーが必要になります。
脳は、変化を嫌うため、変化を求められると、拒否反応が生まれます。
外を変えるということは、この変化を嫌う方々に立ち向かう事になると考える事ができますから、それなりの準備が必要になります。
反対にあってもへこたれずに立ち向かわなければなりません。となると、これに耐えるだけの忍耐力を持っていなければなりません。
また、時間がかかっても諦めずに前に進むだけの意思の強さも必要となります。
何も準備せず、ただ「思い通りにしてくれない対象だ。」と批判するだけでは何も変わりません。ストレスが溜まる一方です。
そして、愚痴を言って、ストレスを吐き出す事になってしまいます。
ストレス社会だと言われるのは、きっと思い通りにならない事が多い事が原因かもしれません。
逆に「何としても思い通りにするのだ。」と、力技を使って変えることも可能ですが、必ず反動があり、これはあまりお勧めできません。
パワハラなどと反応するのは、その現れです。
それではどうすれば、抵抗少なく、思い通りに事を進める事ができるのでしょう?
それには、思い通りにしたい仕事の抽象度を上げ、意識レベルを上げる事が役立ちます。
「私の願いは、あなたの願いでもある。」となれば、抵抗にあうことはありません。むしろ、相手を生かす事になるため、協力を得るチャンスにもなります。
これに役に立つ逸話を紹介します。
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世界中をまわっている旅人が、ある町外れの一本道を歩いていると、
1人の男が道の脇で難しい顔をしてレンガを積んでいた。
旅人はその男のそばに立ち止まって、
「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねた。
「何って、見ればわかるだろう。レンガ積みに決まっているだろ。
朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ。
あんた達にはわからないだろうけど、暑い日も寒い日も、
風の強い日も、日がな一日レンガ積みさ。
腰は痛くなるし、手はこのとおり」
男は自らのひび割れた汚れた両手を差し出して見せた。
「なんで、こんなことばかりしなければならないのか、
まったくついてないね。
もっと気楽にやっている奴らがいっぱいいるというのに・・・」
旅人は、その男に慰めの言葉を残して、歩き続けた。
もう少し歩くと、一生懸命レンガを積んでいる別の男に出会った。
先ほどの男のように、辛そうには見えなかった。
旅人は尋ねた。
「ここでいったい何をしているのですか?」
「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事でね」
「大変ですね」
旅人はいたわりの言葉をかけた。
「なんてことはないよ。この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるんだ。
ここでは、家族を養っていく仕事を見つけるのが大変なんだ。
俺なんて、ここでこうやって仕事があるから家族全員が食べていくことに困らない。
大変だなんていっていたら、バチがあたるよ」
旅人は、男に励ましの言葉を残して、あるき続けた。
また、もう少し歩くと、別の男が活き活きと楽しそうにレンガを積んでいるのに出くわした。
「ここでいったい何をしているのですか?」
旅人は興味深く尋ねた。
「ああ、俺たちのことかい?
俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ!」
「大変ですね」
旅人はいたわりの言葉をかけた。
「とんでもない。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ!
素晴らしいだろう!」
旅人は、その男にお礼の言葉を残して、また元気いっぱいに歩き続けた。
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3人のレンガ職人
(1)「自分に与えられた仕事」と考えている人
(2)「自分に役に立つ仕事」と考えている人
(3)「人のために役立つ価値ある仕事」と考えている人
3人のレンガ職人ですが、私たちの心の中は、この3人がいます。
この3人の中から、自分自身が選択した自分を表現しているだけです。
思い通りにならない仕事をもう一度、この視点から見直し、仕事に対する意識レベルをあげると、思い通りなる事があります。
「面倒だからしたくない。」と仕事をしたがらない人に、
「この仕事は、あなたが仕事をする上で、組織全体を理解するのに役立つ仕事です。今のあなたの立場から考えると、とても大事な仕事だと思います。やっていただけませんか。」
と伝えました。
心の中では、「仕方ないな。」と思っていたかもしれませんが、何とか仕事をしていただけました。
自身の仕事に対する見方考え方を変えると、かける言葉も変わります。