いい加減がいい

須田敏男

須田敏男

テーマ:生き方

 最近、「いい加減」の大切さを感じる事が、多くなりました。
もちろん、「適当」「ぞんざい」「無責任」という意味ではなく、「よい加減」という事です。
 「加減」とは、加えたり減らしたりすることなので、丁度よい具合に加えたり、減らしたりすることになります。
 自己主張が強いと相手は、引いてしまいます。逆に相手の主張ばかり聞いているとストレスが溜まります。

 相手の考えを受け入れながら自分の考えを主張します。

 考えることだけでなく、行動も同じです。
全体を眺めながら、自分の動きを決めます。

 これらは全て「いい加減」の結果だと思います。

「いい加減」は、自分の枠にこだわっているとできません。相手を意識しなければなりません。
 相手の中に入ってしまうことなく、両者が見える位置で、物事を進めることになります。

 これがなかなか難しいのです。

 相手を理解しなければ、相手の位置が定まりません。その後上で、両者が見える位置を決めるのですから、当然、立ち位置もはっきりしなくなります。

 先日、高齢者のスポーツ大会がありました。参加者、運営全て、高齢者です。
 競技に参加するために、集合場所に集まります。しかし、それぞれのチームがわかるように用意されたプラカードを持つ係の人が、私のチームにはいませんでした。
 待っているだけでは、困る人が増えると思い、プラカードを探して、持ちました。
 一緒に参加した妻からみると出しゃばった行為に見えたようです。
同様に、ルール説明でも言葉だけで説明されるので、私を含め、説明の内容がわからず困っている人が、多くいました。
 思わず、「見本をやって見せてよ。」と声を出してしまいました。

 なかなかうるさい参加者に見えたかもしれませんが、全体を眺め、足りないところは補う(加える)ことで、事が上手く回っていきました。

 これは、「加えた事」で上手く回った例です。

 逆に「減らす事」で上手く回った事は、
地域の取り組みに新たな提案をした時の事です。
 自分なりに精一杯考えたことなので、譲りたくない気持ちが強く出る事があります。
 ここは抑えて、謙虚に相手の考えを受け取る事になります。
この時、我慢ではなく、よりよいものに作り変えようととする気持ちが強い時には、相手の考えを取り入れる事ができます。
 
 「いい加減」になるためには、何が大事なのか、考えてみました。
実践からは、勇気、向上心や誠実さ、謙虚さなどが必要だと思いました。

 ハッと思いついたのは、儒教思想の中核をなす重要な概念である「仁義礼智信」です。

「仁」は人間らしい情け深さや他者を思いやる心
「義」は正義や道徳的な行い
「礼」は社会的な儀礼や作法
「智」は知恵や理性
「信」は信頼や誠実さ

全て「いい加減」に必要な内容を含んでいます。

 まさに「温故知新」そのものです。

自分の至らなさに気づく機会になりました。

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須田敏男(メンタルヘルスサポーター)

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 最新の脳科学をベースにした「NLP心理学」を生かし、家庭への支援から働く人への支援と支援の範囲を広げ、悩みを持つ人の相談活動や企業向けの研修などにも幅広く対応。

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