苛立ちは、どこから?

須田敏男

須田敏男

テーマ:生き方

 先日市民運動を行いました。今年から住民を各地区から動員をせず、住民の自主参加になり、人集めのために内容を工夫し、取り組みました。新しい取り組みと従来の取り組みを生かした市民運動会です。
 4年ぶりの開催のため、十分に引き継ぎがされていない事も明らかになりました。地区ごとに場所を割り振りをし、地区ごとに旗を立て、ブルーシートを敷くのですが、ブルーシートが敷かれていない地域がありました。座る場所もなく立って観戦する事になります。朝早くからきている子どもたちがその場に立っていました。かわいそうに思い、余分に持ってきたブルーシートを貸しました。
 市民運動が終わり、後始末が始まりました。そのブルーシートが敷かれたまま残っていて、誰も片付ける様子はありません。
 結局私自身で片付ける事になりました。

 この時に全く腹が立たない自分がいました。「多分誰も後始末しないだろうな。」と予想していたからです。
 「苛立ち」を感じるのは、「折角貸してあげたのに、後始末ぐらいしてよ。」という思いがある時です。
 貸し手と借り手の関係を作っているのは、貸し借りの関係がなければその気持ちが湧いてこないのです。

 一人で片付けていると、見かねて助けてくれる方が現れました。感謝の気持ちが湧いてきました。
 
 人との関係で、苛立ちを感じるのは、自分の中にある相手との関係性を作り出した「思い込み」がある時に生まれてくるのだろうと思いました。

 例えば、
 職場の上司との関係ならば、「上司ならば、このくらいのことは、気づいてよ。」と考えるのは、上司とはこんなつながりがあるはずだという自分の思い込みが作り出しています。


 夫婦の関係でも同様です。パートナーとの理想とする自分イメージに合わない時に苛立ちます。
 子育てでも、願う子どもの姿に合わないために苛立ちます。

 苛立ちの原因は自分の中にあります。

 相手の問題のように感じるのは、サングラスをかけて世界を見ているようなものだからです。
 当たり前と思う自分の中にある常識が、サングラスになります。

 この常識を外すと、残ったビニールシートを見ても苛立たなかったように見える世界が変わります。

 サングラスの色が透明なので、なかなか気づきにくいと思います。

 自分の常識が当てはまらない事に気づくには、相手をじっくり観察して理解することから始まります。
 自分との違いを感じた時に、自分の常識との違いが見えます。ただし、その時、自分の常識を通していると自分の常識に気づきません。
 両方を冷静に見た上で、次に相手を見る(相手を見ると苛立ちが湧き上がります。)のではなく、自分を見ると自分の常識に気付きます。
 「こういう時に私は苛立つんだ。」と観察できます。

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須田敏男(メンタルヘルスサポーター)

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 最新の脳科学をベースにした「NLP心理学」を生かし、家庭への支援から働く人への支援と支援の範囲を広げ、悩みを持つ人の相談活動や企業向けの研修などにも幅広く対応。

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