意思の強さ
会議の議事録など話し合った事を記録に残しておくことは、よくあります。
その場にいた人々は、話し合いに参加しているので、話し合った時の場の雰囲気や話し手の表情などもわかっているため、言葉に表されていないことも十分理解した上で、記録を読む事になり、記録を正確に読み取る事ができます。
しかし、その場にいない人にとっては、書かれた内容を自分なりに解釈し、理解するため、正確な読み取りではありません。
書かれた言葉を誤解したり、当然わかっているものとして書き落とされた内容を読み取れなかったりすることで、対応を誤る事があります。
実際、私の身の回りでも、参加しなければならない活動に参加しなかったり、全員に配布すべき物が、一部の人にしか配られなかったりする出来事がありました。
誤った解釈も起こりうる事を前提に活動に取り組めば、問題は起きませんが、思いとズレていると感じる事で、トラブルが起きる事にもなりかねません。
元々言葉は、事実を抽象化したものですから、事実を省略したり、歪曲したりしたものですから、事実とはかなり異なります。
いくらきめ細かく記録したとしても、事実をそのまま表現することはできません。
私たちは、言葉から受けるイメージを元に、そのイメージに合った行動を自分で想像して、実際に行動する事になります。
例えば、
「ご飯だよ。」と呼ばれた時、
私たちは、ご飯の準備ができたから、食卓まで足を運び、食事をとるというイメージが湧き、相手の願いに合った行動をする事になります。
書き言葉ではありませんが、「ご飯だよ。」と短い言葉から受け取るイメージを理解して行動しています。
共通となる前提の理解があれば、このような短い言葉でも正しく行動する事ができます。
SNSを利用した書き込みなどは、背景や思いを知る事ができないために、自分なりに背景を想像したり、相手の思いを想像しながら、書き言葉を読み取るため、事実とはかなり異なっています。
簡単に伝えられる便利さはありますが、正確さに欠く事を前提に読み取らないとトラブルの原因にもなります。
ですから、SNSなどを利用する時には、言葉だけでは、相手の真意は、計り知れない事をわかった上でうまく利用する必要があります。
甘い言葉や美味しい言葉に乗ってしまうのは、相手の意図ではなく、受け取った言葉を使って、イメージを膨らませ、そのイメージに合った行動をする事になります。
「私のことを心から心配してくれているんだ。」
「これならば、お金が入ってきそうだ。」
「この対応をすれば、孫 は救われそうだ。」
イメージができると、そのイメージに合った感情が湧き上がります。そして、その感情に合った行動をするのが、私たち人間です。
オレオレ詐欺に遭うのも、このような人間の脳の働きを上手く騙し手に使われた結果だと思います。
言葉は、私たちの感情や行動に大きな影響を与えます。
そして、相手とは異なる自分の世界の中で全てが起きています。
言葉を受け取る自分の中で全てが起きています。
日本語をつかっているから、皆同じように理解するはずだと思うのは、全くの思い込みです。一人ひとり異なる解釈をしています。
同じ解釈をすることは難しいと考えた方がよいかもしれません。
発せられたり、書かれたりした言葉だけに頼ることはとても危険です。
表現された言葉を疑いながら、言葉の真意を探る努力をし続け、事実を正確に理解する努力を欠くことはできません。