感情と結びついた思い込みが判断を誤る

須田敏男

須田敏男

テーマ:メンタルヘルス

 ネットサーフィンをしていた時に、Microsoftからの警告がありました。警告音もなり、
 「これは大変な事だ。ネットが使えなくなる。どうしよう。」
と、動揺しました。
 案内も電話先も表示され、電話をしましたが、あいにくつながりません。
 シャットダウンして再度立ち上げると、ネットにつながり、利用が可能でした。
 これは一体どういうことかと、警告音を切って冷静になって考えてみました。

 PC に問題が発生したように見せかけ、サポートを提供する名目で、ユーザーに支払いやコンピューターを遠隔操作するサポート詐欺かもしれないと思い、ネットで検索してみると、案の定、それでした。

 Microsoftからの電話先も示され、全く疑うことなく、指示に従って動いてしまったのは、何故かと考えてみると、
 一番影響を受けたのが、警告音でした。

 全く予想をしていない警告音が突然鳴り出すと、動揺し、冷静さを欠く事になります。
 音に反応し、感情が高ぶった時に、目に飛び込んでくる情報が画面上の偽Microsoftからの情報でした。
 これは、高ぶった感情に意味付けをすることに大変役に立つ立ちます。(感情と思考がつながった状態です。)
 その結果、何の疑いもなく、真実だと思い込んでしまったのでした。

 人間をよく理解した巧妙な手口だと感心してしまいました。

 この手の思い込み(思考)は、日常的に私たちが行っていて、人間関係を悪化させていることが時々あります。

例 
1 些細なことで口論になり、感情が高ぶった時に、「私のことを愛していないんだ。」という意味付け(思考)をして、離婚に発展する事があります。

2 とても関係がよかったにも関わらず、相手から冷たい扱いをされた時に「この人は、本当は、私を利用しているだけなんだ。」という意味付け(思考)をして、その後関係が悪くなる事があります。

3 大好きだったスターが、不祥事を起こしたため、「あの人は、偽善者だ。」と意味付け(思考)をして、嫌いになる事があります。



 1つの事実であっても、感情と思考が結びつくとあたかもそれが真実かのように動き始めます。
 まるで、パソコンのプログラムのように上書き保存されてしまいます。

 一旦そのプログラムが出来上がると、そのプログラムに合った情報を集めようと動き出します。
 脳は、安心安全のために働くため、潜在意識が、思い込みを確かなものにするため(私は間違っていないと断定すれば安心できるため)に情報を集めます。

1の場合、過去の出来事の中から「愛されていない。」と感じた出来事を思い出し、その時は、それほど気にしていなかった出来事であっても「やっぱり愛していないんだ。」と結論付ける出来事にしてしまいます。

2の場合も同様で、相手の行動を観察したり、思い出したりして、「人を利用している出来事はなかったか。」探します。そして、見つかると、「やっぱり、私の思った通りだ。」と結論付けてしまいます。

3の場合、不祥事を許さないと思っている人を身の回りに見つけたり、過去の出来事を掘り下げたりしながら、「嫌いになっても仕方がない。」と決めてしまいます。

 感情が高ぶっている時に結びつけた思考は、必ずしも真実ではありません。

 冷静に事実を見極め、自分の思考を疑ってみる事が必要になります。
(私の場合、警告音を切る事で、冷静さを取り戻す事ができました。)

 感情が高ぶっている時は、なかなか冷静にはなれません。

 でも、時間を置いたり、場を変えたりして、できるだけ早く冷静さを取り戻し、感情と思考が結びつくのを避ける必要があります。

 トラブルが発生した時は、まず、感情を鎮める事に集中する事が役に立ちます。

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須田敏男(メンタルヘルスサポーター)

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 最新の脳科学をベースにした「NLP心理学」を生かし、家庭への支援から働く人への支援と支援の範囲を広げ、悩みを持つ人の相談活動や企業向けの研修などにも幅広く対応。

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