道を開く力
自分で考えて、自分で決めた事を実行する事は、自立そのものと考え、私の教室では、勉強・遊び・読書・仕事の計画を自分で立てて、実行してもらっています。
この「自分で考える」について、深く考えなければならないと感じた出来事がありました。
「やりたくないからやらない。」・・・これって「自分で考えた事」?
私の教室で、計画の追加になりますが、マインドマップを「まとめの学習」として、組み込んでみました。
マインドマップの価値や描き方などを伝えて、やり始めたのですが、
描く内容が見つからず、苦労している姿が見受けられます。
「今日は、描けない。」と言う子もいますが、「描きたくない。」と思っている子が、「あの子が書かないのなら、私も書かない。」
と言うのです。
私は、「感情的に決めた事は、「自分で考えた事」ではない。」と考えています。
そこで、「描けないから描けない事」と「描きたくないから描かない」とは違う事を伝え、意思のあるなしの違いから説明しました。
私たちも「好きなようにすれば」とよく使う事があります。でも、この言葉の裏には、自分の意思で決めてほしいとの願いが隠されているように思います。
「思考」は、感情にも意思(意志)にも影響を受けます。
例えば、
犬に噛まれた経験があると噛まれた痛みが記憶に残り、「犬は危険な動物」となり、犬嫌いや犬恐怖症になる人がいます。
そういう人は、可愛い犬を飼うように勧められても、「犬は嫌いだ(怖い)から、犬は飼わない。」と答えるでしょう。
この場合、犬に噛まれた体験を元に「身体」を守るために、「思考」が「犬を嫌い(怖い)」と決めたと考える事ができます。
安心安全のために「思考」が働いた例になります。
例えば、
最近の短歌ブームの影響を受け、いろいろな人の短歌を読む中で、「自分の思いを短い言葉で表現できる事は、素晴らしい。」と感動し、「短歌を書いてみよう。」とする人がいます。
この場合、短歌を読む体験を通して、短歌の魅力に気づき、「思考」が、自分に取り入れる価値があると決めたと考える事ができます。
よりよいものを取り込むために「思考」が働いた例になります。
物事の色(好き嫌い、良し悪し)を決める働きをしている「思考」を上手くコントロールして、よりよい方向に導くのが、「意思(意志)」の役割になります。
感情は状況によって常に変化します。その感情に振り回される思考もあれば、よりよいものに惹かれる(よりよく生きたいと願う)思考もあります。
感情に振り回される思考は、視野が狭くなり、保守的になり、固定的になりがちです。
逆によりよく生きたいと願う思考は、視野が広くなり、革新的で、可能性も広がります。
この「思考」を上手く扱う意思(意志)が、自分の未来を築いてくれます。
マインドマップを「描きたくない」と言った子が、また描き始めました。揺れる心が、成長につながっているように感じました。