壁は必ず現れる?
ようやく挨拶標語の投票期間が終わりました。
子どもたちの人や地域への温かい思いのこもった素敵な標語がたくさんあり、優秀賞を選考するのは大変です。
この期間を通して、挨拶への意識が変わり、挨拶する子どもの姿が多くなったと言う声を聞くと、子どもたちみんなに優秀賞をあげたくなります。
学校の先生と子どもたちの挨拶が良くなった理由を考えていた時に、「挨拶の意味についてじっくりと考える事ができたからではないか。」と話されました。
日頃の生活では、「挨拶をしよう。」とか「挨拶ができていない。」と言うように、行動への言葉がけで会話が進む事が、多くあります。
話された理由は、よくわかります。
挨拶に限らず、食事でも、仕事でも、勉強でも同様です。
食事
「ご飯、できたよ。」「早く食べてよ。」「よく噛んで食べて。」
仕事
「頼んだよ。」「もうできたの。」「この仕事を先にして」
勉強
「早く勉強しなさい。」「困った事があったら、聞いて。」
このように行動への言葉かけが多いことがわかります。
私は、その事もあるだろうと思いましたが、誰もが行動の裏に必ず意味づけをしていると思います。
ただ、言葉に表す事で、無意識の中に潜んでいた思いが、意識化されたのではないかと思いました。
それも、標語となれば、マイナスのイメージではなく、プラスのイメージを連想するしかありません。
今まで挨拶をあまりしなかった子どもでも、「恥ずかしい。」「面倒だ。」と挨拶についてマイナスのイメージをもっていたかもしれません。それが、プラスのイメージを考える事で、選択肢がもてるようになり、「挨拶をする。」「挨拶をしない。」の2つの選択肢から、「挨拶をする」を選んだのではないかと思います。
日常生活を振り返ってみると、私たちは、選択肢を作らず、片寄った言葉を他人だけでなく、自分にもかけているように思います。
「勝ち負け」・・・・勝つ事を大事にし過ぎる
※勝つ時も負ける時もあるけれど、勝たなければならない。
「損、得」・・・・・得をする事にこだわる
※得する時も損する時もあるのに、損することを嫌がる。
「善、悪」・・・・・善でなければならない気持ちが強すぎる
※よい面も悪い面もあるのによい面だけを見せようとする。
「成功、失敗」・・・成功しなければならない気持ちが強すぎる
※成功する時も失敗する時もあるのに成功だけを話す。
「豊か、貧しさ」・・豊かさを求めすぎる
※豊かさも貧しさもあるのに、豊かさを見せたくなる
「美しさ、醜さ」・・・美しさを求めすぎる
※美しいさも醜さもあるのに、醜さを嫌い、隠し、美しさを見せたがる。
「今、ここ」だけを見れば、選択肢はありませんが、「たまたま、今はこの状態だ。でもそうでない時もある。」と両方を意識した上で、選択してみると少し視野を広げる事ができます。
例えば、
「失敗して辛い。」
・・・失敗することもある。失敗ばかりではない成功する時もある。
成功するためにこの失敗を生かそう。
「しまった。悪いことをしてしまった。」
・・・悪い面もあるけど、よい面もある。悪いことをしたと素直に認めて、謝ろう。
「やった。儲かった。」
・・・得をすることもあれば、損をすることもある。損をするときのために、この得をうまく生かそう。
「老いて、醜くなっていく。」
・・・醜くさもあるけれど美しさもある。醜さだけを見て、美しさを見ようとしていないだけだから、美しさを見つけよう。
「あの人は、厳しい人だ。」
・・・厳しい面もあるが、そうでない面もある。厳しさだけをみているだけだから、他の面も探してみよう。
辛い事や苦しい時は、視野が狭くなり、選択肢をもてない状況になっています。
そんな時こそ、選択肢を作り、見方や考え方を広げると気持ちが、楽になります。
私たちには多くの体験経験があり、豊かな見方や考え方ができる素地があります。
出来事を多面的に捉えることは、いつでもできます。
挨拶にもいろいろな意味があることを教えてくれた子どもたちのように、出来事の意味を1つではなく、複数の意味を見つけ、選択肢を作り、その中から選択する癖を身につけたいと思います。