あそびは、悪?
いよいよ柿の収穫が終わりに近づいてきました。
ご近所に就学前のお子様がいますが、まだ柿取り体験をしていただいていない事に気づき、幼稚園バスを待っている姿を見つけ、
「幼稚園から帰ったら、柿取りやる?」
と尋ねました。
「やりたい!」
との声を上げて喜んでくれました。
午後4時半頃に、父の介護を終えて帰って来ると、既に家から出て、道路でお母さんと一緒に待っていてくれました。
畑に着くまで、上の子は、ウキウキしながら、切れ間がないほどいろいろ話しかけてきました。
下の子にとって柿取りは初めての体験です。少し緊張気味で、お母さんのそばにくっついていました。
幼い頃の体験は、生きていく上で必要な原体験になることが多くあります。
常に安心安全のために働く脳は、五感を通して様々な情報を得ています。
この柿取りを初めて体験した下の子にとってどんな体験なのだろうと考えてみました。
・草だらけの畑に入る
・枝にぶら下がっている柿を見る
・蜘蛛の糸にひかかった兄を見る
・柿取り専用のハサミを扱い見る
・高い所の柿を取る時に初めて知らない人に抱っこされる
・柿を取り、さまざまな大きさの柿の重さや手触り、色、形に触れる
・手を添えて柿取りを手伝ってくれる母の手の温もりを感じる
・母の私への対応や言葉掛けを見たり聞いたりする
まだまだたくさんあると思います。
彼と初めて一緒に柿取りをする私が、安全な人かどうかを見分ける大切な機会である事は言うまでもありません。
母親の私への対応を見たり、私に抱っこされたり、声を聞いたりしながら、安全な人物と判断すれば、彼の世界が広がっていきます。
柿取りを終えて、一足早く自宅に帰る母親を追いかける事なく、私と一緒に歩く姿から考えると、安全な人になったようです。
どうされたのかなと思いながら、母親の後ろ姿を目で追いかけると、玄関に置いてあったみかんを取りに行かれた事がわかりました。
「いい体験をさせて頂いてありがとうございます。」
と、お礼され、そのみかんをくださいました。
この母親の姿もきっと彼にも映っていることと思います。
彼にとって、柿取りの体験は、家庭とは異なる外の世界とつながる大切な体験になったように思いました。
「素敵なお母さんに育てられているなあ。」と、感じながら、彼の幸せな生活のお手伝いができた事に喜びを感じるひと時でした。
その後、
葉が全て落ち、数個の柿がぶら下がっている寂しそうな柿の木を前に立ち、
「今年も、いい体験をさせてくれてありがとう。」
と、木に感謝しました。
来年は、もう少し大きな柿にするからね・・・・・。