壁を乗り越える
駐車場の柱に落書きを発見しました。
怒りが湧いてきましたが、それと同時に、書かれた様子から判断すると子どもが描いたものだと判断できたので、その子の気持ちが気になりました。
描く時の気持ちを考えたり、描く様子をイメージしたりしているうちに、怒りは収まってきました。
石を使って描ける面白さに夢中になり描いていたのだろう。知らない人名も書かれていたので、その人物にきっと何らかの思いがあったのだろうと想像しました。
内に秘めてストレスを溜めるのではなく、表現して吐き出すことができ、よかったと思いました。
ただ、消そうとしたけれど、消すことができず、「悪いことをした。」と思いつつも、素直に話すことができず、黙っていたのだろうとと思いました。
そこで、翌日、預かりの子どもたちに落書きを見せて、落書きされた側の気持ちやこのまま放置しておくことの心配を話しました。誰がやったのか訊ねると「描いたのは自分だ。」と素直に話してくれました。
次の日に子どもたちが、帰って来る前にペンキを塗り、修理しておきました。ただし、マスキングテープで止めた新聞紙は、そのままです。
帰って来た子どもたちに、綺麗になった柱を見せ、落書きをした子に新聞紙の後始末をお願いしました。「私もやる。」と言ってくれる子もいて、結局みんなで後始末をする事になりました。
この出来事から、自分の心の動きを探ってみました。
そして、気づいたことがありました。
感情は、事実に反応することがわかりました。そして、その感情に合った行動を取ることもできますが、視点を変えることで、別の感情を湧きあがらせることができる事もわかりました。
今回の場合は、最初に湧き上がった怒りの感情に合った行動は、「怒りをぶつける。」「落書きをした子どもを叱る。」などになります。
そして、視点を変えることは、子どもの気持ちを考えたり、行動を想像したりすることになります。
私たちは、出来事にすぐに反応して行動してしまう事があります。でも、思考を使って、自分から子どもへと視点を変える事で、感情を切り替える事ができました。
正に感情のコントロールができた瞬間だったと気づくことができました。
感情のコントロールがなかなかできないと思っていましたが、感情に焦点を当てていたためにコントロールが難しく感じていたのかもしれません。
感情ではなく、何を考えるかという思考に焦点を当てると、感情を変える事ができる事が分かれば、いろいろ応用する事がわかります。
例えば、辛い事でも、辛さを感じる出来事を別の視点から眺める事ができれば、辛さを和らげる事ができる事になります。
そう言えば、既に体験していた事を思い出しました。
母の死
死を悲しむのではなく、母から学んだ事に焦点を当てることで、「母は、私の心の中で私と共に生きている。」と感じることができ、悲しみを乗り越える事ができました。
悲しみよりも感謝の気持ちが湧き上がってきました。
人間ってすごい存在だと実感しました。