子どもの心はどんなふうに育つ?
こんにちは。カウンセリングオフィス トリフォリの高澤です。
今日はシリーズのつづきをお伝えする予定でしたが、あるネット記事を読んで思うところありましたので、一回お休みしてこのコラムをあげることにしました。
ある記事を読んで
最近のネットニュースではネット上の誹謗中傷についての記事が散見されますね。ある方は匿名の第三者たちから日々なされる辛らつな誹謗中傷により傷つき、命を絶つ選択をなさったという記事がありました。
なんて悲しいことでしょうか。ご本人はどれほど苦しかっただろうか。ご本人を大切に思う周りの方たちはどれほど傷ついただろうか。
そんなことを思ってとても胸が痛みました。
攻撃の連鎖
ネットの誹謗中傷に限らず、場にそぐわない怒り、過剰な怒り、それを伴った攻撃行動を見聞きすることは少なくありません。
家庭内で起こればDVや虐待。
学校で起こればいじめ。
職場で起こればハラスメント。
あちこちで戦争という悲劇が繰り返されています。更なる悲劇はそれが連鎖すること。攻撃された者はほかの誰かを攻撃することが少なくありません。
職場でパワハラや粗末な扱いを受けた人が妻に暴力を振るい、暴力を振るわれた妻が子どもを虐げ、虐げられた子どもが学校でクラスメイトをいじめ、いじめに遭った子が野良猫を傷つけ、傷つけられた野良猫が、、、。
止まない負の連鎖です。
なかにはそんな連鎖に加担しない人もいます。それが自分のタフさによって受け流せていればいいのですが、その中には「自分自身」をひどく傷つけている人が決して少なくないことを忘れてはいけません。
結局は誰かが傷ついてしまう「傷つきの連鎖」です。
時を超えた連鎖
攻撃の連鎖は先のように現在形で繰り広げられるものばかりではありません。時空を超えることもあるのです。
親から虐げられたり、軽く扱われたり、関心を寄せてもらえなかったり、条件付きでしか自分を見てもらえなかったり、ペットや人形みたいに「意志のない存在」扱いされたり。
そうやって傷ついた子どもたちは時に自滅的な意味づけを持ちます。
「じぶんはたいせつなにんげんじゃない」
「だれもじぶんをすきにならない」
「わるいことしてなくてもひどいことされる」
「じぶんはおかしい、ダメ」
その子たちもいずれ大人になり、親になります。
そしてある時こんなことが起こります。
●子どもがわがまま→「私を粗末にしている!」
●子どもが自己主張→「私を抑えつけてくる!」
●子どもが甘えてくる→「私に侵入してきた!」
●親の失敗を子どもが笑う→「私をバカにしている!」
子どもの行為はいずれも自然なもの。何も問題ありません。
しかし親の側の古傷が刺激されると、先のようなズレた意味づけをもち、時に激昂し、子どもへの暴言、暴力、無視や軽視といった行動につながることもあるのです。
まさに時空を超えた連鎖です。
これを【世代間連鎖】と呼びます。
気づいた世代でこれを終わらせなければ、また同じ悲劇が時空を超えて続いてしまうかもしれません。
連鎖を断つ最初の一歩
世代間連鎖を断つには何から始めたらいいでしょうか。私には正解はわかりませんが、どこかのタイミングで欠かせないと思っていることはあります。
それは
【「自分が」連鎖を終わらせると決めること】
過去の親を恨んでも、子ども時代の不遇を嘆いても、周りの無理解に腹を立てても、それでも負の連鎖を断ち切ることはできません。
「この不幸の連鎖は私の代で断ち切る!ここからは幸せを連鎖させていく!」
できるかできないかなんて考える必要はありません。「そうする!」と決めればOKということです。
無力の被害者ではない
ところで連鎖の痛みを抱えている人とは、「傷つけられたかわいそうな被害者」でしょうか。「ひどい親によって力を奪われた無力な人間」でしょうか。
わたしは全くそう思いません。
そんな弱々しい存在どころかその反対に
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★痛みの連鎖を”幸福の連鎖”にかえていく大役を任された人
私はそう捉えています。
「今、ここ」に生きる自分やわが子だけでなく、子々孫々にまで幸せのギフト贈ることができるキーパーソンなのですから。
今だけでなく、未来の世代までより良くできるという大いなる役割が回ってきたわけですから、そりゃあそれなりに大変ですよね。
だからこそ自分をいたわることが必要。
わかちあえる仲間が必要。
なのです。
自分をいたわりながら、周りのお力を借りながら、一緒にこの大役を担ってまいりましょう!