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コラム

「子どもを叩いてしまう…」

2017年5月9日

テーマ:子育て

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

相談には行ったけど

これはあるおかあさんの事例です。

子どものことは大好きだけど、
ときどきカッとなってひどい
言葉を投げつけてしまったり、
叩いてしまったり。

このままではいけないと保健師に相談。
そこで言われた言葉は、そのままでは
子どもに悪い影響が出るということを
事細かく指導する内容。
あとは、怒らないようにしましょうとか、
やさしくかかわりましょうとか。

それができないからの悩みなのに、
かえって母親失格の烙印を押された
ような思いがしてかえって落胆。

それでもあきらめずに保健相談を
受けているドクターにも相談。
返ってきた返事はやはり同じもの。

「ちゃんとしましょう」

その結果誤ってこう思いこんでしまった。

「私は何かおかしいんじゃないか」
「母親として根本的に何か欠けてるの?」
「私がいなくなったほうが子どもは幸せかもしれない…」

子どもを思うからこその苦しみなのに、
相談したことでかえって追い詰められて
しまったケースです。

何が問題なのか

子どもに暴言を吐く、叩くといった行為は、
分類上は間違いなく虐待です。

そこにフォーカスが当たってしまうと、
「問題」=「虐待行為」
と位置付けられます。

こう見なされてしまえば、周りがすることは
「説教や非難をして虐待行為をやめさせる」
になりがちです。
正しさに囚われたアプローチです。

ですが、それがやめられなくて苦しいのは
ほかの誰よりもそのおかあさん自身。
この関わりをつづけるほど追い詰めるだけです。

そこフォーカスをこう変えてみます。
「問題」=「虐待という行為を維持している要因」
そうなると、違う公式が導き出されます。
それは
「問題」=「感情調整スキル不足と表現法の未熟さ」

こうなれば、具体的に何に取り組めばいいか分かります。
それ以上に、おかあさんに希望が生まれます。

「それを解決すれば、
『子どもとこんな風に接したい!』
が実現するんだ!」

問題の本質

ところでこのケースのように、
手が出てしまうほどに感情調整が
困難になるには、次のようなことが
影響しているケースは少なくありません。

それはその親自身が…
・健康的な愛着をもらい損ねてきた
↓だから
・健康的な感情の扱い方や表現の仕方を学んでいない
(もらっていない)
↓だから
・自分の本当の感情をうまく掴めない
・表現もうまくできない
↓だから
・感情の扱い方が子どものやり方、つまり
 ゼロ(ひたすらガマンしたり抑え込んだり)
 か
 100(感情や衝動のままに吐き出す)
 になりやすい
↓だから
・わが子にマイナス感情を感じた時にも同じ反応になりやすい

つまり…
・ある程度までひたすらガマン

・ピークを迎えると爆発(手をあげる、暴言を吐くという衝動任せの反応)

したがって本質的な解決は、
この流れのやり直しです。

①親自身の愛着を育て直す
②健康的な感情の扱い方や表現法を身につける
③それを子どもに与えていく

その結果、子どもの愛着が育っていくのです。

子どもがほんとうにほしいもの

子どもへの関わり方のノウハウさえわかれば
行動を変えられる人や、周りに十分なサポート
資源があって力を容易に借りられる人にとっては、
こういった話は無用なのかもしれません。

しかし現実には、
「子どもを叩きたくない!
ほんとうは優しくしたい!
だからいろいろやってきたけど、どうにもならない…。
私なんていなくなったほうがいい…」
とひとりで苦悩している親もいるのです。

叩くという行為だけを見て、そんな人たちを
「ひどい親」「毒親」と片付けるのは簡単です。

もちろん、命に関わるようなときは、
何をさておいてもそれを守ることが最優先です。

しかし部外者たちが言うその「ひどい親」は、
当事者である子どもたちにとっては
「かけがえのない大切な親」
なのです。

命だけでなく、子どもの「こころ」も何にも
変えがたいほど大切だと思うんです。
だからこそ、その子どもたちのこころを守るために、
まず親御さんが救われなけらばならない。
私はそう信じています。

こんなやり方は遠回りに見えるかもしれません。
でもそれこそが、子どもが何より望んでいること
ではないでしょうか。

子どもたちがただ一途に求めているものは
「ひどい扱いをされたくない!」
ではありません。

「そのまんまのぼくを、わたしを、
あいしてほしい!たいせつにしてほしい!」

それだけなのですから。

この記事を書いたプロ

高澤信也

「子育て力」をはぐくむカウンセリングのプロ

高澤信也(カウンセリングオフィス トリフォリ)

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