子どもの心の傷とその影響②
カウンセリングオフィス トリフォリの高澤です。
今回のテーマは「不安対処」です。実はこれもシリーズで最近お伝えしてきた「逆説」がお役に立ちます。ということで今回も「逆説でうまくいく」のご紹介です。
不安の対処あるある
あなたは不安を感じたとき、どんな対処をされていますか?
何に対する不安であっても選ばれる対処法は
【回避】
がほとんどではないでしょうか。
違う言い方をすれば
【不安という感情を感じることを避ける努力】
と言っていいかもしれません。
たとえばある人の不安が
「私/子どもが嫌われたらどうしよう…」であれば
↓
●常に嫌われていないか警戒しつづける
●嫌ってそうな相手を避ける
●嫌われていると感じている部分を隠す
●嫌っている人を嫌う(攻撃する)
(これはこちらを嫌っている相手よりも優位に立とうとする変則処理ですね)
etc.
対処法だけ見ればバラバラですが、いずれも目的は
【不安という感情を感じるのを避けること】
という点で一致しています。
ちなみに不安という感情は
●まだ訪れていない未来を
●悲観的・否定的に予測する
ことによって湧いてくる感情です。
つまり不安はどんな類のものであっても
【認知(思考)】
によって引き起こされています。
その結果
私たちは不安を感じる可能性のある出来事や状況や人を避けることによって、なんとなくうまくいっているような気になりがちですが、実は気づかないうちに結構な副作用が生まれています。
●警戒し過ぎにより神経も身体もクタクタになる
●不安を注視しすぎるためかえって不安が強まる
●「怖いを避ける」が重視されるためリラックスや楽しむことが困難
●安心安全なものにまで脅威と感じて脅かされる
●思考で不安は無限に作りだされるため安らぎが訪れない
etc.
以前私は福岡で起きた西方沖地震を体験しましたが、その後しばらくは「また地震が来るんじゃないか」と警戒しすぎて、揺れてもいないのに揺れた気がしてビクビクなっていました。
不安を事前に回避しようとすればするほど過敏になり、わが身はいつもこういった状態にされされます。
しかし、起こってもいないことを悲観的に予測するだけでは実は問題ありません。
その予測(想像)を
【誤って事実と認識すること(鵜呑みにすること)】
によって抱えがたいほどの苦しみが生まれます。
現実では何も起こっていないにもかかわらず、未来を悲観的・否定的に予測し、それを「事実」と誤認する。その結果強い不安という感情が喚起され、それが警戒心・不信感をともなって【回避】という行動につながっていくわけです。
それはまるでVRで観た怖い映画を「現実」と勘違いして生きていくようなもの。それでは現実がたとえ安心できる場であっても、身も心も絶えることなく脅かされてしまうでしょう。
逆説でうまくいく
不安を引き起こすのは
●「否定的な未来予測を鵜呑みにすること」
であり、それを強化するものは
●「不安の回避」
でしたね。
ではこれもひっくりかえして正反対にしてみましょう。
今回は2つの逆説的なやり方があります。
まずは「否定的未来予測を鵜呑みにする」の正反対。
それは、、、
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★「思考」と「事実」を切り分ける
たとえばこんな感じです。
「私/うちの子は嫌われている!」
ではなくて
「私は『私/うちの子は嫌われている!』って思っている。そんな気がしている。そう感じている」
「今、ここ」で起こっていないことは、どんなに「絶対にそう!」と思うものであっても、それは「事実」ではなく「思考」です。この二者が切り分けられるとぐっと楽になります。
「そっかあ~。私は〇〇って気がしてるんだなぁ。そんな考えが頭の中にあるんだなぁ」って感じです。
ではもうひとつの逆説です。
不安を回避することで不安を引き寄せる悪循環があるのですから、その正反対はそのまんまで、、、
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★不安のなかに飛び込む
まずは、不安を生んでいる認知(思考:予測・想像・イメージ)を敢えてありありとイメージしてみる。そしてしばらくの間身体の反応を観察しつづける。すると徐々に不安は軽減し、落ち着いてくる。
慣れるまでは不快さ満点ですが、慣れてくると不安が軽減するだけでなく、不安が湧いてくること自体減ってきます。この方法は実行動を起こさなくていいので取っ掛かりやすいのではないかと思います。
さらに上を行きたい方は、不安につながっていることに実際に飛び込んでみる方法もあります。
たとえば
●「あのママ友は私が嫌いみたい」と思っているなら、敢えて自分から話しかけてみる。
●「どうせ馬鹿にされる」と思って意見を隠しているなら、敢えて意見を言ってみる。
●「きっと怒られる」と思って嘘を隠しているなら、敢えて正直に伝えてみる。
まあ、そうは言ってもこれは「言うは易く、行うは難し」でしょうね。しかしこの「不安に飛び込む」は意外と不安を和らげてくれることも多いですから、怖がりの人が頑張ってジェットコースターに乗るくらいの気持ちでチャレンジしてみてもいいのかもしれませんね。
注意点
最後に注意点だけ。
今回のテーマは「不安」であって「恐怖」ではありません。
ある状況ではなぜか瞬時に身体が固まり、思考停止に陥り、「怖い」でいっぱいになる。それは不安ではなく恐怖ですから、闇雲に飛び込むことは望ましくありません。
そういったケースでは、身体が落ち着く、いい感じになる、穏やかさを感じる、、、といったことに役立つことをやってみてください。ストレッチ、腹式呼吸、自然に触れる、、、。
安心安全増やしを最優先なさることをお勧めします。
(ちなみに不安傾向が強い方も、こういった安心安全を増やすことから取り組むことがおススメです)
どうか日々の暮らしと子育てにたくさんの安心安全がふえますように^^