民法と相続税法における「相続の取扱い」の違い(相続の基礎知識5)
共同相続
相続人が一人しかいなければ、その一人が被相続人のすべての財産を承継します。
これを単独相続と言います。
これに対して、相続人が二人以上いる場合には、その相続人の相続分に応じて相続財産は分割されることになります。
その分割までの間は、相続財産は相続人全員の共有となり、この分割までの関係を共同相続といいます。
相続分
共同相続の場合に、それぞれの共同相続人の相続財産を承継する割合が相続分です。
相続分は、まず被相続人の遺言によって指定され、これが指定相続分です。
指定がないときには、法律の規定によって相続分が決まり、これを法定相続分といいます。
指定相続分
被相続人は、遺言によって相続分を指定し、指定することを第三者に委託することができます。
被相続人は、共同相続人のうち一部の者の相続分だけを指定することもできます。
この場合は、指定を受けていない相続人の相続分は法定相続分によります。
指定相続分は法定相続分に優先して適用されます。
法定相続分
遺言による相続分の指定がない場合には、民法で定めた相続分によることになります。
法定相続分は、相続人の構成によって以下のように規定されています。
⑴相続人が配偶者のみ
・配偶者がすべて相続
⑵配偶者がいない場合
・第1順位(子)、第2順位(直系尊属)、第3順位(兄弟姉妹)の順にしたがって、当該順位者がすべて相続
⑶配偶者と第1順位(子)が相続
・配偶者と子は各2分の1
・子が複数いる場合は、2分の1を均等分割
①実子と養子の相続分は均等
②嫡出子と嫡出でない子の相続分も均等
⑷配偶者と第2順位(直系尊属)が相続
・配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1
・直系尊属が複数いる場合は、3分の1を均等分割
⑸配偶者と第3順位(兄弟姉妹)が相続
・配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1
・兄弟姉妹が複数いる場合は、4分の1を均等分割
⑹代襲相続人の相続分
・代襲相続人は被代襲者の相続分をそのまま受け継ぐ
・代襲相続人が複数いる場合は、被代襲者の相続分を均等分割
⑺相続放棄があった場合
・相続放棄をした者は、はじめから相続人でなかったものとみなされます。
※相続税法上は、相続放棄した者も相続人の数に入れて相続税の総額を算出します。
共同相続人のなかに特別受益者がいたり、寄与分権利者がいるときは、相続分が修正されます。
次回は、特別受益と寄与分についてみていきましょう。