Mybestpro Members

豊福祐史プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

楽譜を見て演奏するためのメガネを作りたい

豊福祐史

豊福祐史

テーマ:葛藤のある眼鏡店の話

今回、『楽譜を見て演奏するためのメガネを作りたい』
という要望があったので、事例紹介を。

こういう具体的な要望は、経験にもなるので、ありがたいし、
なにより、メガネという商品よりも、
技術や知識の方を頼ってもらえてるのが、うれしくもあります。

今回の問題点

要望としては、トロンボーンの演奏のため。

仮に楽譜に対して、正面を見た場合、トロンボーンならイーゼルに当たってしまうので、
楽譜を斜めで見ないといけないという問題。

問題点として、斜めで凝視すること、これがやっかいだなと感じました。

通常の単焦点であれば、設計グレードが高いレンズを使用すれば問題はないと思います。
ただ、今回は、加入度が必要な年齢のため、累進レンズが必要となります。

設計グレードが高いことは必須ではあるものの、そこまで凝視する場合、
単純にそれだけでは不十分と思います。

そのため、そのときは完全矯正値だけ調べて、
後日、実際に楽譜とイーゼルを持ち込んでもらいました。

通常通りの度数のテストレンズを使った場合

通常通りの完全矯正値と加入度を加えた度数で、斜めから楽譜を見てもらった場合、
回答としては『見えることは見えるけど、見にくい』という回答でした。

基本的に、レンズには5収差あり、特に、累進レンズでは、
遠用ポイントと近用ポイントの間で度数変化しており、
レンズの左右方向や下斜め方は見にくくなるので、
当然と言えば当然の、想定通りの結果でした。

メガネを早急に作らず、確認して良かったと思います。

解消するための工夫

例えば、斜めに、見るだけなら、アイポイントを下にずらすという方法も考えられるものの、
それだでは、通常時に使用することが難しくなります。

そのため、通常の累進帯長のテストレンズを使用した後、
累進帯長が短累進のテストレンズおよび両面複合設計のテストレンズを比較。

結果として、短累進と両面複合設計のレンズなら、多少、解消されることを確認。

短累進のテストレンズを用い、完全矯正値から度数と加入度を調整し、
遠用視力を運転できる視力は残しつつ、楽譜を見ても違和感がないようにテスト。

その他、様々な確認を行い、最終的な設計グレードと、累進帯長、度数、加入度などを決定。

両面設計で解消した理由

想定される問題点を解消するためには、
レンズの設計について知っていないと難しいと思います。

今回、様々な工夫をして、テストレンズを試していきましたが、
そのように想定される理由はあります。

設計グレードの高いレンズを使用することで、横方向と下斜め方向のユレ・歪みを解消。
これは設計グレードが高い程、様々な設計が入っており、ユレ・歪みが少なくなるためです。
特に横方向と、下斜め方向、近用については解消されやすいと思います。
そのため、外面累進よりも内面累進、
できるなら両面親和設計や両面複合設計を候補のレンズとして検討しました。

また、individualレンズについては、今回、使わない方向で。
例えば、HOYAの最高級レンズ『極』なら、趣味に合わせてタイプを設定するため、
良いとは思いますが、価格的な点と、individualのように、かっちり合わせるよりも、
individualではない両面親和設計か、両面複合設計が良いかなと。

短累進・度数調整で解消した理由

短累進のレンズは、度数変化する範囲が狭くなります。
トロンボーンを演奏する際の目線を見ると、さほどの目線を下げていなかったため、
短累進レンズの方が有効と想定してました。

度数と加入度については、そもそも登壇までできれば良いということと、
楽譜までの焦点距離をもとに、算出してテストレンズで試しました。
短累進レンズを用いた場合、遠用と近用ポイントでは急激に度数変化するため、
その調整をしないと、違和感を解消しにくいと考えてのことで。

その他にも様々な確認をし、様々なことを考えましたが、
時間的にはそこまでかかっておらず、要望に沿えたので、良かったと思います。

ちなみに、下斜めを凝視するため、フレームはレンズ枠の大きいツーポイントを選んでます。

まとめ

こういった要望は、同じ要望のお客様に、同じ方法があてはまるわけではないことも多く、
眼やレンズのことを知っていて、はじめて様々な想定の下に、
合わせることができると思います。

フレームにしても、レンズにしても、安くても良い、高くても一緒という考え、
もしくはその逆の、安いと悪い、高いと良いという考えでは、
なかなか望まれる視界は得られない場合もあります。

要望される視界があるのであれば、時間を掛けてでも、
最適な視界を得られるメガネを作るため、
信頼できる眼鏡作製技能士に相談に乗ってもらい、
合わせてもらう方が良いと思います。

ただ、その人によって、眼の状態や予算の違いがあるので、
どこまでなら良いかという妥協点は必要と思います。

次は、『アフターフォローはフレームやレンズの価格に含まれている?』について

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

豊福祐史
専門家

豊福祐史(眼鏡小売店)

株式会社とらや眼鏡店 メガネのとらやG-room

顧客の要望や好み、ライフスタイルに合った納得の眼鏡をお勧めしています。仕入れでは、フレームのデザインはもちろん、細かい点までもチェック。視力測定や加工などは、国家資格の1級眼鏡作製技能士が対応します。

豊福祐史プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

一人一人に寄り添う眼鏡選びのプロ

豊福祐史プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼