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強度・軽度近視における度数1段階の意味

豊福祐史

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テーマ:知っておくべきレンズの話

近視でも遠視でも、軽度と強度では度数1段階の差は同じです。

ただ、同じ1段階の度数を入れた場合、
軽度と強度では焦点距離としては意味が変わってきます。

※通常、眼の度数をいう場合は、混乱するのでレンズの度数で表す場合がほとんどです。
今回はあえて、本来の眼の度数と、レンズの度数を分けてます。
そのため、近視の場合は眼は+、レンズは-で表されてます。

度数の1段階とは?

度数は目でもレンズでも『D(ディオプター)』という単位で表し、
通常、レンズは0.25Dで変化します。

そのため、人によって0.25Dを1段階ということがあります。

高設計レンズでは0.01D単位で作れるものもありますが、
こちらは、0.01D単位で測定できるビジョンテスターと、
それを測定する技量と知識がある上で、近見反応に注意し、
メガネになった際の誤差を修正できれば可能です。

ちなみに、ビジョンテスターを使っても、仮枠を使った検査を行うのは、
この近見反応を危惧して、再確認のために行います。

そのため、オートレフ(自動他覚検査)⇒ビジョンテスター⇒仮枠
という流れで検査することが一般的となります。

メガネで視力補正する仕組み

遠用メガネは、正視状態に近づけるためにレンズを入れます。

例えば、近視+3.00Dに、レンズ-3.00Dのメガネを使用すると、
打ち消し合って、正視±0Dとなり、焦点距離は無限遠方となります。

これがメガネで視力を出すための仕組みであるため、
近視+3.00Dに、レンズー2.75Dのメガネを使用すると、
近視+0.25Dとなり、焦点距離は4mとなります。

1段階違うだけで、無限遠方から4mまで焦点距離が落ちます。
焦点距離が落ちると言うことは、正視と比べて視力が悪いと言うことです。

また、視力測定のためには基本的に5m先の視力表を使用します。

5m先の視力表を見るためには、±0~+0.2Dの度数が必要となり、
レンズ度数は0.25Dが1段階となっているため、
視力測定の際は、5m以上を無限遠方として使用しています。

軽度と強度における0.25Dの差

軽度(例:+1.00D)と強度(例:+10.00D)を比較し、同じ1段階0.25Dずつ入れた場合、
焦点距離に差が出てきます。

それぞれに、-0.25D~-1.00Dの4段階のレンズを入れた場合、

残った近視の度数が
・軽度(+1.00D) が+0.75D、+0.50D、+0.25D、±0D
・強度(+10.00D)が+9.75D、+9.50D、+9.25D、+9.00D
となります。

これを焦点距離に換算すると、
・軽度(+1.00D) が1.33m、 2m、  4m、  無限遠方
・強度(+10.00D)が10.3cm、10.5cm、10.8cm、11.1cm
となります。

強度(+10.00D)の場合、-7Dのレンズを入れて、ようやく33cmと、
本を見るのにちょうど良い度数となります。

正視±0Dの方が1段階度数が進むと無限遠方から4mに、
近視+0.25Dの人が1段階進むと4mから2mまでしか見えなくなります。

逆に、強度の方は1段階進んだところで、焦点距離はあまり変わりません。

つまり、軽度の人は1段階度数が進むだけで、
視力が急に落ちることがあります。

完全矯正値から見た1段階の差

完全矯正値は、その人の度数がちょうど正視±0Dとなる数値です。
この状態から、-0.25D強くすると過矯正、+0.25Dすると焦点距離が短くなります。

完全矯正値から見た場合は、軽度でも強度でも1段階に差はないと思います。
ただ、軽度の人にメガネを作製した場合、
強度よりも1段階の誤差が大きいのかもと思うことはあります。

仮枠で視力測定した際は問題なくても、メガネになった際に、
度数が強いと感じる方もおられます。

そういう方は、体感的に軽度の方が多いように感じます。

ただ、これはデータを取っているわけでも、
統計解析したわけでもないので、ただそう感じるだけです。

まとめ

補正できなかった近視によって、度数1段階の意味が変わってきます。

これが正視状態に合わせたメガネから見る場合は、
1段階に差はありません。

ただ、軽度の人は1段階度数が進むだけで圧倒的に視力が落ちることがあるので、
そういう意味では差があると言えると思います。

次は、『レンズは印字通りに加工すると失敗する?』について

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専門家

豊福祐史(眼鏡小売店)

株式会社とらや眼鏡店 メガネのとらやG-room

顧客の要望や好み、ライフスタイルに合った納得の眼鏡をお勧めしています。仕入れでは、フレームのデザインはもちろん、細かい点までもチェック。視力測定や加工などは、国家資格の1級眼鏡作製技能士が対応します。

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