レンズの中心がズレているメガネを使うと?
『手芸をするので、できるだけ近くを見たい』などの要望に対し、
累進レンズではなく、近く専用として単焦点レンズを勧める場合があります。
これに対し、『掛け替えないといけないのか?』という質問がありますが、
絶対ではなく、眼鏡店としては、快適と思われる方を提案しただけになります。
この手芸の場合、便利さは累進レンズ、快適さは単焦点レンズと思いますが、
長時間作業するなら、快適さを選ぶ方が良いと考えての提案となります。
加入度とは?
累進レンズはレンズ上部から下部にかけて、
累進帯長の範囲で度数が変化しています。
その遠くを見るポイントが遠用ポイント、
近くを見るポイントが近用ポイントとなります。
加入度とは、遠用ポイントと近用ポイントの度数差を指します。
厳密には違うと思いますが、
加入度は老眼の度数と思ってもらえたら、わかりやすいです。
この加入度を強く入れれば入れる程、
単純計算では、眼球運動だけで、近くが見えるということとなります。
加入度を強くいれれば、より近くが見えやすくなる?
加入度は強く入れれば良いというわけではないです。
眼の状態・度数・左右差・年齢・累進レンズに対する慣れなど、
個人差はかなりあると思います。
一般的に、注意する部分としては
・初めての累進レンズの場合、加入度2.00Dを超えない方が良い
・失った調節力の半分を目処に加入度を決める
・加入度に左右差があってはならない
・アイポイントに上下のズレがあってはならない
この部分は眼鏡作製技能士は共通して理解していると思います。
ただ、これらの項目の一部は、あくまでも定石のようなものなので、例外はあります。
加入度を強く入れすぎない理由
初めての累進レンズの場合、加入度2.00Dを超えない方が良い理由として、
『ユレ・歪み』があります。
単焦点レンズと異なり、累進レンズは累進帯長の範囲で度数が変化しているため、
単焦点レンズと比較すると、ユレ・歪みが大きくなります。
また、その累進帯長での度数差が大きければ大きい程、ユレ・歪みも大きくなります。
加入度2.00は、ADD2.00と表記します。
S-2.00 ADD2.00 累進帯長14mmの場合
14mmの範囲でS-2.00~S0.00の範囲で度数が変化していることになります。
対して、S-2.00は、どこを見ても、S-2.00の度数になります。
そのため、初めて累進レンズを使用する場合、
慣れるために加入度2.00Dを超えて入れないことになります。
加入度を強く入れたい場合
無理にでも加入度を強く入れる場合、
①慣れておく
②できるだけ設計グレードの高い累進レンズを選択する
などが良いと思います。
慣れておくというのは、累進レンズを若いうちから使っている人と、
高齢になってから使う人とでは、差が出てくるからです。
設計グレードについては、グレードが高い程、
ユレ・歪みなどを抑える設計が入っているため、
違和感などが緩和されることになります。
ただ、若いうちから累進レンズを使用すること、
グレードの高い設計の累進レンズを選択すること、
どちらも費用がかかってくるし、
初めての場合は不具合が起きる可能性が高いと思うので、
行きつけの眼鏡専門店にいる眼鏡作製技能士に
相談すると良いと思います。
まとめ
・初めて累進レンズを使用する場合、加入度2.00Dを超えて、強く入れすぎない
・基本的には失った調節力の半分の加入度が良いと言われている
・累進レンズに慣れている人と、慣れていない人では、違和感に差があると思われる
・設計グレードが良い累進レンズである程、ユレや歪みは少ないものの、
費用はそれ相応にかかってくる
次は、『年齢とともに失う調節力?』について