防曇コートのレンズの特徴
累進レンズ=遠近レンズというイメージがある人が多くおられますが、
遠近・中近・近々といった分類があります。
大きな分類としては、遠近・中近・近々レンズのどれも
遠近レンズと言っても問題はないですが、
区別するため、全体を累進レンズとして細かく分類してます。
その違いを簡単に説明できればと。
累進レンズとは?
累進レンズとは、レンズ上部から下部にかけて、累進帯長の範囲で、
少しずつ度数が変化しているレンズになります。
レンズ上部が遠くを見るための遠用ポイント、
レンズ下部が近くを見るための近用ポイントとなります。
この遠用ポイントは、無限遠方と定められているわけではないので、
広義ではどの累進レンズも遠近レンズと言っても良いと思ってるし、
そう言ってしまうこともあります。
遠用ポイントと近用ポイントとの度数差を加入度(ADD)といいます。
近々レンズだけは少し違いますけど。
厳密には違うと思いますが、
加入度は老眼の度数と思ってもらえたら、わかりやすいです。
例えば、
S-1.00 ADD1.00の人に、累進帯長14mmの遠近レンズを使用した場合、
遠用ポイントでS-1.00、近用ポイントでS0.00、
その間に度数が変化していますが、
この度数変化はS-0.75、-0.50、-0.25と一律で変化しているのではなく、
設計により異なります。
累進レンズと明視域
明視域は、その人が焦点を合わせることができる範囲です。
例えば、
S-0.25Dで調節力10.25Dの人の場合、
4m~10cmが明視域。
S0.00Dで調節力0.50Dの人の場合、
無限遠方~2mが明視域。
個々人で感覚の違いはあれども、
明視域を超える範囲はぼやけてみることになります。
調節力0の場合、その度数の距離しか見えないこととなり、
その失われた調節力を補うものが累進レンズとなります。
遠近・中近・近々の違い
遠近・中近・近々レンズの違いは、遠用ポイントの違いになり、
結果として、明視域も異なります。
レンズメーカーHOYAの累進レンズを参考にすると、
『フィールド』『シティ』は遠近レンズ、
『ルーム』は中近レンズ、『デスク』は近々レンズとなります。
距離としては、
『フィールド』:景色から手元まで
『シティ』 :ビルくらいの距離から手元まで
『ルーム』 :テレビから手元まで
『デスク』 :パソコンから手元まで
を想定されており、その中でもさらに遠方重視・バランス重視などの設計もあります。
遠近レンズでも、遠用ポイントの度数を変更することで、
中近レンズなどのように使うことも可能ですが、
おそらく、それぞれに特有の設計があると思うので、
製作度数範囲外や価格面での都合があるとき以外は提案しないと思います。
まとめ
・目的とする見える範囲によって累進レンズの種類を選ぶ
・累進レンズの種類の違いは、その明視域の違い
・累進レンズ全体を遠近レンズと言っても良いとは個人的には思う
・同じメーカー、同じ遠近レンズであっても、設計などにより細かく違うことがある
累進レンズの場合、レンズメーカーからは、ミラー法を行うことが推奨されてます。
また、同じメーカー、同じ設計であっても、さらに分類があることもあるため、
気になる方は、購入される眼鏡店に聞いてみると良いと思います。
次は、『累進レンズで加入度を入れ過ぎるとどうなる?』について