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眼鏡店ではあまり病院を指定しない?

豊福祐史

豊福祐史

テーマ:葛藤のある眼鏡店の話

眼鏡専門店では、お客様の眼や視力などに異常がある可能性がわかった場合、
メガネを作らず、眼科へ行くことを勧めると思います。

眼鏡専門店では、メガネに関する光学など以外に、解剖学や病理学、
薬理学などを学ぶ人がいるのは、お客様の眼の異常を察知するためです。

もちろん、医師免許があるわけではないため、診断はできないし、
推測が間違っていることもあります。

なので、どういう異常かを言わずに、『まずは眼科に行ってください』と勧めます。

その際に聞かれることが、『どこの眼科が良いですか?』という質問です。

眼鏡店では眼科を紹介しない?

正直にいうと、『眼科は●●へ行ってください』とは紹介しにくいです。

理由としては、『癒着している?』『手数料などもらってる?』『つながっている?』など、
マイナスで捉えられかねないからです。

実際に、そういうことを言われて困ったこともありました。

また、『教えてもらったけど、対応が悪かった』など言われることも。

もちろん、処方箋についての確認など、必要なことでは連絡します。

でも、紹介などについては避けたいと思っている眼鏡店もあるのではないかなと。

ただ、それだと、あまりにも不親切なので、
近くにある病院をいくつか教えることや、お客様から聞いた良い印象などはお伝えします。

眼科でも眼鏡店を指定しない?

眼鏡店を指定しない眼科が多いと聞きます。

そして、眼科の先生が眼鏡店を指定しないことを、
不親切と思われているお客様もたまに見受けられます。

これについては、眼科から『この店で作るように』
『こういうのを確認しなさい』などを言われると、
特定の眼鏡店への誘導になるため、病院内にある眼鏡店に対してでさえも、
職業倫理上、あまりやらないと思います。

もちろん、眼鏡店と同様、『ここが評判良いときいてます』
くらいのことは教えてくれるかもしれないです。

薬でもそうですが、多少の緩和はありますけど、医薬分業という言葉があるとおり、
独立性を保つため、病院が薬局を指定することはないです。
仮に、指定するような場合、独立性が失われ、
癒着によって薬局から病院へ口出しにくくなります。

眼鏡店も同じで、独立性がなければ、癒着によって病院からの何らかの指示で、
必要な説明も何もできなくなります。
では、病院側からの指示を眼鏡店が全て無視してメガネを作ることができるかと言えば、
それはないです。

病院側の求めるメガネを正確に作るために、処方箋があります。
メガネの処方箋も、薬の処方箋と同等に扱うことで、
お客様の利益を損なわないようにしています。

そのため、処方箋を使用する場合は、
眼科から処方箋を発行⇒眼鏡店で確認
⇒問題があれば眼鏡店またはお客様から眼科へ確認
⇒メガネ作製⇒病院でメガネをチェック

という流れになります。

『作ったメガネは病院に持っていくべきですか?』と聞かれますが、
多くの眼鏡店では持っていってくださいと答えると思います。

クアラルンプール原則?

クアラルンプール原則というビジネス倫理規定があります。
自分もあまり詳しくなく、知らなかったのですが、知り合いの医師の方に教えてもらいました。

調べてみると、2011年に制定された企業と医療関係者の倫理規定みたいです。

書いてある内容は、独立性や誠実性など、当たり前のことと思いますが、
その中で、医療関係者が独立性を保つための規定が見受けられます。

逆を言えば、医療関係者が企業に対して、指示することもできないということです。
眼鏡店の場合、病院側が処方箋以外のことを指定したり、
眼鏡店側が『自店への誘因』を目的にお願いすることもできないことになると思います。

そういうところで、病院と眼鏡店が癒着することは難しいということになります。

そのため、処方箋以外で、眼に関すること以外に指示することはないです。

なので、病院や眼鏡店が冷たくしているわけではなく、
お客様の利益を守るために、一定の距離を保っているわけです。

そういう倫理規定を無視した場合

眼科には眼科の、眼鏡店には眼鏡店の、職業倫理上、守るべきものがあります。

昔なら、『このブランドのフレームを』『レンズの保証があるかを確認』など、
眼に関すること以外の指示、眼鏡店の書かれた封筒や
クーポン券の同封などもあったみたいですが、
それは侵害行為になるか、特定の眼鏡店への誘導になるため、やらなくなってきたと思います。

例えば、量販品ならあまり問題はないですが、ハイブランドの場合、
契約店のみがそれを取り扱えるため、その眼鏡店はかなり数が絞られます。
そうすると、かなりの誘導行為になります。

フレームやレンズについては、価格だけでなく、品質なども大きく幅があります。
最近では、『より設計の良いレンズを使った方が良いです』と
アドバイスされる眼科の先生方も増えてきたと聞きます。
眼鏡店にとっては、レンズが価格だけではないということを、
言ってもらえていることは大変有り難く、
先生方もあくまでも体験談として言ってもらってるようです。

もちろん、レンズ設計は良いに越したことはないですが、
むやみに設計グレードが高いレンズというだけを求めるなら、
人によっては求めている品質と価格のバランスが合わないことがあります。

また、レンズ保証や安ければ良いという風潮もまだ残っています。
メーカーが見え方保証してくれるハイエンドクラスならまだしも、
高価格帯のレンズなどは、自社責任以外の保証が難しいものが多くなるため、
レンズ保証が必須ということなら、必然的に安価なレンズが主流となり、
よりよい視界を求める人には不利になります。

まとめ

・眼科や眼鏡店からお互いに紹介しあうことはあまりないと思います
・評判などの世間話程度なら、教えることはある
・職業倫理上、お互いの仕事に干渉することは言わない
 特に眼鏡店では、医師法があるため、診断は絶対にしない
・ただし、眼鏡作製技能士は眼科と連携する義務があるため、
 処方箋など、必要なことでは確認のため連絡することはある

職業倫理については法的な拘束力がないため、無視しようと思えば無視できると思います。
でも、それを行うことは企業の利益であって、お客様の利益にはならないです。

眼科でも、眼鏡店でも、紹介しないことには理由があるので、
この点については、ご了承してもらいたいです。

次回は、『遠近レンズは度数がわからない?』について

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豊福祐史
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豊福祐史(眼鏡小売店)

株式会社とらや眼鏡店 メガネのとらやG-room

顧客の要望や好み、ライフスタイルに合った納得の眼鏡をお勧めしています。仕入れでは、フレームのデザインはもちろん、細かい点までもチェック。視力測定や加工などは、国家資格の1級眼鏡作製技能士が対応します。

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