初めての遠近で注意すること
『薄く軽くしたいので、高屈折率のレンズで』というお客様がおられます。
高屈折率のレンズは薄くて、軽いというイメージがあるのは当然と思います。
ただ、薄いのは間違いないですが、
軽さについては実際にその通りにはならない場合が多いです。
同じ度数でレンズの厚さが違う理由
同じ度数でもレンズの度数が違う理由は、屈折率の違いにあります。
屈折率は、空気中の光の伝播速度/物質中の光の伝播速度で、
光を曲げる力になります。
屈折率1ならメガネレンズとしての意味がなく、屈折率が大きくなるほど、
光を曲げる力が強くなることになります。
光を曲げる力が強いということは、その分、レンズが薄くなります。
メガネレンズの場合、屈折率1.5が標準で、屈折率1.76が最薄となります。
また、一般的に薄型レンズといわれるレンズは屈折率1.6です。
最近では、標準の1.5を使わず、1.6が多くなっているため、
屈折率1.6と言われたら、薄型レンズではあるけど、
標準のような扱いになってます。
ちなみに、薄レンズと薄型レンズは別物で、
薄レンズは様々な計算を簡単にするための理論上の概念で、
厚さ0mmのレンズの存在するはずのないレンズです。
薄いのにそこまで変わらない?
屈折率1.6と屈折率1.74を比べた場合、
薄くはなるものの、重さとしては大きくは変わらないと思います。
その理由としては、比重によるものです。
高屈折率のレンズの方が比重が重い場合が多くあります。
そのため、レンズの厚さや体積は小さくなっても、
全体の重さとしてはあまり変わらないという結果に。
プラスチックレンズの素材としては、あまり詳しくはないですが、
アイアス素材、アイノア素材、フェニックス素材など、
メーカーや種類によって素材が違うし、
屈折率やアッベ数、比重など、様々な点も異なります。
とにかく薄いのが良い?
薄ければ良いという方にとっては、高屈折率のレンズが良いと思います。
ただ、度数やPD、フレームによっては
費用をかけるだけ無駄ではないかなとも。
例えば、近視の場合、小さな玉形のフレームにレンズを入れれば、
その差は小さくなります。
加えて、度数が軽い場合、屈折率1.6でも、1.74でもあまり変わりません。
1㎜以上違うと結構違うように見えますけど、0.1mmくらいなら、
費用をかける必要があるのかなと。
ただ、遠視の場合は、中心が一番厚くなるので、大きめのフレームでも、
度数が強い場合は、屈折率1.67以上を入れる方が無難かもしれないです。
眼鏡店はどのくらいの厚さになるかわかってる?
大抵の場合、度数から見て、このくらいの屈折率のレンズで良いだろうと、
眼鏡店が提案してくれると思います。
ただ、これについては、正確にわかっているわけではなく、
感覚的に判断していると思います。
どうしても、屈折率による厚さの違いを知りたいということであれば、
眼鏡店に聞いてみると良いです。
実際に作った場合のシミュレーションはできるので、
少し時間はかかりますが、調べてくれるはずです。
ただ、経験による感覚的な判断で大体は間違っていないのと、
お客様を待たせるだけなので、
要望がない限りは、そこまでしないですけど、
どうしても厚さの点で迷っているのであれば。
まとめ
・屈折率が高くなっても重さはあまり変わらないことが多い
・屈折率が髙い方が薄くなるものの、度数などによっては変化が少ないことも
・屈折率による厚さの違いは、眼鏡店に言えば調べてもらえる
次回は、『特殊加工のヘルプ(スライス)加工』について