メガネを作る時は必ず測定した方が良い?
『ブルーライトカットのレンズだと、パソコンとか、スマホで疲れにくくなりますよね?』
と聞かれます。
なので、ブルーライトカットの意味と、そのカット率がレンズによって違うこと、
医師や研究者によって見解が違うことを説明した上で、自分たち眼鏡店には、
正確にはわからないという旨を伝えてきました。
そうしてたところ、2023年8月に、短期的なブルーライトカットは効果がないという
国際研究結果が発表されました。
正確には、『支持しない』ということみたいですけど。
今回は、そのブルーライトカットについて。
ブルーライトカットレンズについて
ブルーライトカットレンズは『眼の疲れを軽減する』『眼へのダメージを軽減する』
ということで、販売されています。
可視光線の青色光より低い部分をカットされています。
可視光を色でわけると、赤橙黄緑青藍紫となり、
そのうちの青藍紫の波長をカットすることになります。
そのため、最大までブルーライトをカットすると、当然、色がつきます。
また、透明のものでも、レンズが青色に反射しており、この反射を嫌がる人もいます。
カット率も様々で、レンズメーカーのHOYAを参考にすると
①BUコート(ヴィーナスガードコートラピス)
②CC420(クリアカット)
③レイガード435
④BUコート+CC420
⑤BUコート+レイガード435
の5パターンでが考えられます。
①~③だと③のレイガード435、④⑤だと⑤のBUコート+レイガード435が、
最もブルーライトのカット率が高いです。
420や435というのは、光の波長(nm)の数値です。
国際研究結果について
『短期的なブルーライトカットは効果がない』という国際研究結果が発表されたと、
情報をいただきました。
メルボルン大学の准教授ローラ・ダウナー先生の研究結果のようです。
当然、論文には興味があるし、ネットの情報だけだと信憑性が低いので、
具体的なデータや考察があるかなと思って、論文を探したけど、見つけられませんでした。
それで、仕方なく、その研究者の方のメルボルン大学のホームページの
ジャーナル(?)を見させていただきました。
見たところ、データはなく、アブストラクト(要旨)みたな感じかなと。
興味があって、英語のわかる方は是非、そちらを。
ジャーナルの内容について
英語苦手なので、概要間違ってたら申し訳ないですが、
6ヶ国619名を対象に、『短期的』と書いてあったのは、
1時間から1週間程度の期間での評価だからのようです。
ブルーライトカットを入れたメガネと入れていないメガネを使っての対照実験みたいです。
その期間で評価した結果、眼精疲労に差がなく、また、視力や睡眠の質の低下などは不明で、
長期的な健康被害についても結論をだせないとありました。
まとめると、『眼精疲労などの短期的な効果については意味がない可能性が高い』
『長期的な健康被害についてはわからない』。
なので、ブルーライトカットレンズがパソコンやスマホなどによる疲れを軽減する
ことを支持しないという結論だったみたいです。
ブルーライトカットに効果があると言ってこなかった理由
自分はブルーライトカットについて、『疲れにくくなるから使いましょう』
ということは言わず、ブルーライトやカットレンズの説明をして、
気になるなら入れても良いという感じで、お客様に判断してもらってました。
理由は3つあります。
その理由の一つは、やはり医師や研究者によって見解が違うこと。
確かに、ブルーライトは眼の奥まで入り込み、年齢とともに、眼病につながる
可能性はあると思います。
だけど、それが疲れの軽減につながる理由が良くわかりませんでした。
調べても、意見が分かれており、正直、何が正しいのかがわからないくらい。
もう一つは、そんなに眼に悪いなら、なんで外ではブルーライトカットのことを
言わないのかという点。
光は距離に対して指数関数的に減退するため、確かにパソコンやスマホの距離は近いと思います。
でも、照度で考えると、せいぜい部屋は300~400ルクス程度の光に対して、
外の太陽光は10万ルクス以上になることも(本当は輝度で考えるべきですが)。
なので、そんなに眼に悪いならパソコンやスマホを使う人よりも、
外で働く人の方が必要じゃないかなと。
最後の一つは、疲れの軽減なら、焦点距離をあわせた方が良いのではないかと。
アシストレンズもそのために存在してるので、
ブルーライトカットばかり言っている意味がよくわからないなと。
結論としてブルーライトカットはどうしたらよい?
結論としては、お客様の判断になるかと思います。
ブルーライトカットの効果を信じている方もいるし、長期的な効果があるかもしれない。
逆に効果がないかもしれない。
当然、眼鏡店が『疲れの軽減』『眼病予防』など、
効果があるように言ったり、不安をあおることを言うべきではないとも思ってます。
自分たちにできることは、レンズメーカーなどからの情報をもとに、
眼鏡店として、最新の情報を提示することしかできないと思います。
まとめ
・ブルーライトカットの短期的な効果はないという国際的な見解がある
・長期的な効果などについてはわからない
・眼鏡店は効果を謳ったり、不安をあおったりせず、レンズメーカーなどの最新情報を提示すべき
・説明した上で、最終的に判断するのはお客様
次は、『初めての遠近で注意すること』について