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眼鏡専門店や眼鏡作製技能士が測定に時間をかける理由

豊福祐史

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テーマ:葛藤のある眼鏡店の話

『視力検査にかかる時間はどれくらいですか?』と聞かれます。
視力検査にかかる時間は、その時にならないとわからない場合が多いので、
30分~1時間はかかると想定してもらう方が良いです。
もちろん、オートレフで簡単に測定するだけなら、1分程度です。

また、測定方法については、眼鏡店の方針によっても、測定者の技量や考えによっても違います。

測定時間と検査のパターン

私の場合、『こんなに細かく測定してもらったことがない』と言われます。

ただ、これに関しては、ポラテストなど以外の両眼視検査はしていないので、
『あー、オートレフだけの簡易的な測定しかされてこなかったのかな』
と思ってしまいます。

眼鏡作製技能士のほとんどが、個人のやり方にはなるけど、
大抵は、自分と同じようなやり方のはずです。
せいぜいポラテストや累進テストレンズの使用くらいまでしかしないので。
ポラテスト以外の調節力の測定などの両眼視機能検査まで実施しているなら、
細かく測定していると言っても良いとは思いますけど。

ただ、検査を詳しくすればするほど、店側も、お客様側も疲弊するので、
状況に応じてになるかなと。

思い浮かべられる大まかな検査パターンとして
①オートレフ(自動検眼機)のみ(+仮枠で視力のみ確認)
②オートレフ⇒ビジョンテスター or  仮枠による自覚検査
③オートレフ⇒ビジョンテスター⇒仮枠で視力のみ確認
④オートレフ⇒ビジョンテスター or 仮枠による自覚検査⇒両眼視機能検査
以上の、4パターンが考えられると思います。
※ピューピロメーターやミラー法、LLiなどは除いて。

時間としては
①1分~数分程度
②10分~1時間程度
③10分~1時間程度
④30分~数時間程度

①は他覚検査、②③④は他覚検査+自覚検査になります。

ちなみに、眼鏡店は眼科と違って、視力検査で費用がかかることはないはずです。
理由は診断ではなく、あくまでもメガネを作るための測定だからです。

なんでオートレフだけだと早い?

①のオートレフ(自動検眼機)がメインの場合、機械が勝手に測定してくれるので、
誰がやっても、技術や知識がなくても、使い方さえ知っていれば、1分くらいです。
後は、慣れているかどうかで多少短縮するくらいですけど、
仮にお客様自身に使ってもらっても、数分かからないです。

理由は、眼の瞳孔に合わせてボタンを押すだけなので、それが難しいと感じる人は少ないかなと。
これを他覚検査といって、詳しく調べるためには自覚検査が必須となります。

一番簡単なやり方ですが、機器を使うので、
正確に測定してもらえていると思われる方もいるみたいです。
眼鏡作製技能士で①の検査でメガネを作る人は少ないとは思いますけど。

昔は、レチノスコープや板レンズを使って測定し、それだけで10分程度かかってたと思いますが、
現在は専門学校の実習以外では、やっているところは少なくなってると思います。

これは他覚検査というもので、光の反射やデフォーカスなどによって測定されてます。
お客様によっては度数が大きく違ってでるなど、正確性に欠けるところがあるので、
その後で自覚検査が必要となります。

仮枠とレンズさえあれば、正確に測定できるのに、
合っているかどうかわからないオートレフを使う理由は、
大体の度数の目安がつくので、測定時間短縮につながるためです。

また、等価球面値も出てくるので、その球面度数(近視や遠視の度数)をいれれば、
乱視も消えます。
ただ、等価球面値は、度数が強くなるので、疲れやすくなったりします。
特別な理由がない場合は、店側にしか利点がないので、通常使わないと思います。

他覚検査の難しさ

自覚検査は誰でもできると思いますが、他覚検査になると、測定者の技量が試されます。

測定は基本的に、お客様からの回答をもとに、判断していきます。
『オートレフだけでは正確さに欠ける』『お客様の視界を主観的に見ることはできない』。
なので、お客様の回答で判断するしかなく、ここで邪魔になるのが、お互いの思い込みと勘違い。
メガネを買いに来てる方にはいないと思いますが、嘘をつかれると、測定は無理です。
もちろん、眼鏡店側は、思い込みや勘違いがないように、手法や聞き方を変えたり、
時間をかけて測定し、ミスがないように測定していきます。

眼鏡専門店では、度数が出にくかったり、病気の可能性があって
メガネを作るべきではないと判断するなど、
長い場合には1時間程度かけて測定する場合もあります。
自分が知っている眼鏡専門店で、休憩してもらいながら数時間かけて測定していたところも。
当店でも、場合によっては、日を改めて、時間帯を変えて再度来店してもらい、
測定結果を比較することも稀に。

②③の違いはほとんどなく、ビジョンテスターの方がレンズ交換が面倒ではなく、
最近ではパターン化されているとも聞きます。
パターン化されていると、経験が浅くても、大体の度数に合わせることはできます。
これも手順通り質問して、ボタンを押すだけなので。
もちろん、より正確に測定するとき、またはイレギュラーがあったときは
測定者の技量と知識、経験で手法を変える必要があります。

③でビジョンテスターの後に、仮枠で最終確認する理由は、
ビジョンテスターでは輻輳などの近見反応が出る可能性があるからと聞いています。

両眼視機能検査とは?

両眼視機能検査を細かく話すとややこしいですが、簡単に言うと、
両眼で見た時の視力検査になります。
距離感や立体感、片眼では問題なかったのに、両眼だと、『疲れる』『気分が悪い』
『モノが2重に見える』など、様々な問題が発生することがあります。

そのため、、ポラテスト、調節力の測定、斜位や斜視など、様々な測定・チェックを行います。
それによって、球面度数(近視・遠視)、円柱度数(乱視)、加入度(老眼)に加えて、
プリズムを入れるかどうかを検討したり、両眼バランスをとったりします。

視力検査を行っている最中に、違和感がある場合、必ず、眼科への受診を勧める必要があるので、
眼鏡店で細かく測定する必要がある場合は、稀ではないかなと個人的には思います。


もちろん、眼科を受診して病気などの問題がないと診断されれば、
生活しやすくするためのメガネを作るために、細かい両眼視機能検査は必要ですけど。

まとめ

・店の方針、測定者の技量や考え、お客様の状態によって測定時間は変わる
・簡易的には数分あれば測定できる
・細かく検査すればするほど、時間は長くなり、お客様の眼の状態、疲れ具合でも変化する
・嘘をつかれると絶対に測定できない
・お互いの思い込みや勘違いは大敵
・異常があるときは眼科へ
・眼科を受診して問題なく、加えて通常の測定ではメガネを合わせれない場合、両眼視検査も有効

次は、『ブルーライトカットの意味はあるの?』について

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豊福祐史(眼鏡小売店)

株式会社とらや眼鏡店 メガネのとらやG-room

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