子どものビジョントレーニングに使える玩具
2023年、一般社団法人ビジョントレーニング普及協会より、
プロフェッショナルビジョントレーナーの資格いただきました。
それに伴い、小さいお子様がいる方を中心に、『ビジョントレーニングとはなんですか?』と
質問されることがあります。
今回は、そのビジョントレーニングについて。
ビジョントレーニング=視力回復トレーニングではない?
日本でビジョントレーニングの認知度は低いため、
ビジョントレーニングと、視力回復トレーニングが同一と思っている方が多くおられました。
私もこの業界に戻ってきたばかりの頃、知り合いの眼科医や視能訓練士、眼鏡士、メーカーに、
『視力回復トレーニングは効果があるのか?』『視力は回復するものなのか?』
と期待を込めて聞いて回った時期がありました。
大抵の方は『一時的にはね』『条件次第ではね』という感じで、苦笑いされてたので、
当時の自分は『?』という感じはありました。
その後、眼鏡士で学んだ知識と照らし合わせて、視力が回復する理由がわかったので、
皆が言っていた理由がわかり、ビジョントレーニングの目的が視力回復なら、
積極的に取り組む必要はないかなと思っていました。
確かに、仮性近視の場合、ビジョントレーニングを行うことで、視力が上がることがあります。
眼は眼筋を緊張させることで、近くのものを見ることができます。
それが緊張して固まってしまうと、元に戻らないため、視力が落ちることになります。
それをトレーニング(マッサージ?)により、緊張を緩めてあげれば、視力は回復するということです。
ただ、通常の近視は、軸性近視や屈折性近視で、眼筋でどうにかなるものではないです。
ビジョントレーニングとは?
私はビジョントレーニングは『見る力を育てる』だけでなく、
『感覚統合を図るトレーニング』と解釈してます。
感覚統合は様々な感覚を整理して、まとめることです。
感覚には『三感(視覚・聴覚・触覚)』以外に、『前庭覚』『固有受容覚』があります。
前庭覚は傾きや揺れなど、固有受容覚は動きや力加減などの感覚です。
これらの感覚が頭で整理されることで、理解したり、行動することができます。
メインになるのはこの5つの感覚で、嗅覚・味覚は重視していないです。
ただ、匂いは寝てても感じられるし、
赤ちゃんが口を使って物を認知している(味覚?触覚?)ので、
嗅覚や味覚にもアプローチできたら面白いかなと、個人的には思ってます。
本来、感覚統合は日常生活や遊びによって養われますが、
これができていないと、運動や勉強だけでなく、
コミュニケーションや情緒にも影響します。
子どものためのトレーニングに思えますが、
実際には大人でも感覚統合できていない方も多くおられます。
最近では、スポーツ選手などもビジョントレーニングを練習に取り入れています。
ビジョントレーナーの役目は?
個々のビジョントレーニングは、自身で簡単にできるものが多くあります。
ただ、やみくもにビジョントレーニングを行うだけでは効果が出ないことも多くあります。
理由は様々なので、ビジョントレーナーは眼やトレーニング方法だけでなく、
発達や原始反射など、様々なことを学び、
その都度、組み立てながら、トレーニングを進めます。
ビジョントレーングはどんな人に必要?
ビジョントレーニングはほとんどの人がやった方が良いとは思います。
ただ、大人でも子供でも
・イライラする人
・情緒不安定な人
・勉強苦手な人
・運動苦手な人
・集中できない人
・読み飛ばしする人
などの問題や課題がある人は、一度、試しても良いと思います。
それに加えて、スポーツをする人で成績を上げたい人も取り組めば役立つと思います。
ビジョントレーニングは斜視や斜位、老眼に効果ある?
ビジョントレーニングは、斜視や斜位、老眼に効果があるのかと聞かれれば、
科学的なデータをもとに検証した論文を読んだわけでも、
眼科医でもないので、わからないというのが答えです。
眼筋を動かすトレーニングもあるため、多少効果はあると思いますが、
そういう話になると、トレーニングではなく、治療に該当すると思うので、
米国認定オプトメトリストや視能訓練士の方に聞いた方が良いんじゃないかなと。
まとめ
・ビジョントレーニングと視力回復トレーニングは違う
・ビジョントレーニングは感覚の土台を作り、感覚統合を行う
・現役アスリートでもビジョントレーニングに取り組んでいる人は多い
・様々な基礎になるトレーニングなので、やって損することはないと思います
・視力、老眼、斜視、斜位への効果は、あってほしいなとは思う
次は、『園児や児童にビジョントレーニングをやって気づいたこと』について