レンズカラーの種類
レンズを1種類または取り扱っている種類を全部ではなく、
数種類に絞って提案する眼鏡専門店は多いと思います。
いろんな知り合いから、『レンズ入れ替えだけだと、いくらかかる?』とよく聞かれます。
それに対して『種類が多くてピンキリありますよ』と答えると、
『大体どれくらいのレンズが普通?』と聞き返され、結構困ります。
普通のレンズって何?
『普通のレンズ』と聞いて、どう思われるでしょうか?
一般の人なら、無色透明のレンズが普通と思うでしょうが、
ほとんどが無色透明のレンズです。
この『普通』という言葉が結構曲者と思っていて、
その人にとっての『普通』がわからないと答えようがないです。
例えば、『専門店クラスの普通』『とにかく安いレンズの普通』
『平均値くらいの設計の普通』など。
最終的には『取り扱ってないのも含めれば、1組1000円以下くらいから、
10万円以上まであるから、自分に合ったレンズを選んでもらった方が良いですよ』
という回答で落ち着くことが多い。
絞って提案しなければ何種類くらい?
これは答えようがないかも。
以前は、常備レンズを置くとどれくらいの枚数になるか書いたことがあるけど、
レンズの種類も同じくらいになります。
例えば、素材・設計・コートで区別してみます。
素材は『1.74(1.76)』『1.67』『1.6』『1.5』の4種類
設計は知らないものも多いので、大体1000種類くらいとします
(遠近レンズの設計集に載っているのだけでも700種くらいあり、載ってないのもあるので)。
コートはHOYAで『GU(BU、WU)コート』『SFTコート』『VSコート』の3種類
(偏光・調光・防曇などは除いて。他社も似たようなものかと)。
そうすると、1社で単純計算しても、
素材4×設計1000×コート3=12,000種類あることになります。
実際には、レンズメーカーもたくさんあるので、12,000×レンズメーカー数になるかと。
12,000種類のレンズから、『どれが良いですか?』と聞かれても、
正直、金額の違いくらいしかピンとこないと思います。
眼鏡店はどうやって提案するレンズを絞るのか?
各眼鏡店は、取引しているレンズメーカーの全ては取り扱わず、
その中で厳選して取り扱っていると思います。
そのうえで、一番簡単な方法は、フレームとセットにするなど、
メインのレンズ設計を1種類だけ販売する方法もあります。
そうすれば素材とコートだけ選ぶだけなので、店側もお客様もわかりやすいため、
メリットは大きと思います。
ただ、これだと、その人に合わない場合も。
私個人のやり方としては、『高くても良いか、安い方が良いか?』で判断は変わりますが、
まず『度数がどれくらいか?』『どれくらいの薄さがほしいか?』などで素材を絞ります。
次に『傷にどれくらい強い方が良いか』『どういう環境で使用するか?』『仕事は?』
『付与機能として何を望んでいるのか?』などでコートを絞ります。
最後に『度数はどれくらいか?』『乱視の強さは?』『プリズムなどは必要か?』
『年齢は?』『仕事は?』『ユレ・歪みが極力少ないのを望んでいるか?』
『過去に使用していたレンズのグレードはどのくらいか?』などで、設計を絞ります。
こういう手順で、1~6種類を目途に絞り込んで、提案しています。
万人におすすめのレンズは?
万人におすすめのレンズは、わかりません。
価格は気にせず、とにかく良いものが良ければ、
素材は1.74、設計はインディヴィジュアルクラス、
コートは最高ランク(HOYAならGUクラス、東海光学ならUSCなど)のものが良いです。
その人の眼の状態を度外視して、価格が安いもので良ければ、
素材は1.5、設計は球面(場合によっては非球面の一番安いもの)、
コートはハードコートが良いです。
グレードが低い設計と、インディヴィジュアルクラスの設計を比較して、
劇的に変わる方もおられれば、あまり変化が見られないという方もおられます。
あまり変化がない方には、レンズの効果と価格の費用対効果が合わないので、自分は良くないと思います。
もちろんグレードが低いものよりは、見え方は良いだろうけど。
レンズ提案で大事なことは?
お客様の予算と、眼の状態、今後のことを踏まえて
最適なレンズを提案することが大事じゃないかなと思います。
そのためには、視力測定やヒアリング、信頼関係が大事になってくるかと。
眼鏡技術者協会が、有資格者にネット・通販を禁止してきたかは、
この点ではないかと思います。
まとめ
万人に合うレンズというのはないです。
お客様には予算があり、望んでいる見え方があります。
全ての条件を満たすことは難しいですけど、
その中で一番最適なものを絞り込むのは重要なことではないかと思います。
次は『単眼視?両眼視?』について