明視域とは?
眼やメガネに関することで、必ず出てくるのは『度数?それは視力でいうとどれくらいですか?』という質問です。
今までコラム書いてて、視力と度数がわからないという質問もいただいたので。
一般的な関係値は言えますど、視力が曖昧で、個人差もあるので、結構、困る質問ではあります。
自分も眼鏡店の子どもとして生まれなければ、度数=視力くらいの認識だったんじゃないかと。
というわけで、今更ですが、今回は度数と視力について。
視力って何?
視力を難しく言うと、『二点間の最小距離を視角~』みたいになるので、言葉に慣れてないとわかりにくいです。
簡潔にわかりやすく言うと、モノを認識できる力のことです。
一般的に視力検査は『最小分離域(二つの線が離れているかどうか)』を使う場合が多く、
『C(ランドルト環)』の切れ目がわかるかどうかで判断されます。
健康診断などで行う『上』『下』『右』『左』とかで答えてる検査です。
他にも『最小可読域』『最小視認域』『副尺視力』があります。
それぞれ、読めるか、小さくてもわかるか、ズレているのがわかるか、という検査です。
当店は、『最小可読域』を使う場合が多いです。
検査される人の思い込み、勘違い、誤魔化しなどを、8方向の『C』より、
50音(発音しない言葉を含めて)の『ひらがな』の方が確率的に見抜きやすいので。
視力が同じ人同士なら、見え方も同じ?
視力1.2といっても、はっきり明確にわかっている人もいれば、ぼやけて何となくわかる人もいます。
また、5問中3問わかれば、その視力があると判断されるため、個人差はかなりあります。
極端な話、眼を瞑った状態で、5問中3問あたれば、その視力があると判断されることもあります。
なので、思い込みや勘違いも多く、少しでもよく見せようと、検査中に嘘をつく方も稀に。
思い込みや勘違い、嘘などは、大体は看破されるんですが、問題はないです。
ただ、意図的な嘘だけは、無駄に時間がかかる、間違える可能性が出てくるなど、
検査する側もお客様も、お互いにメリットがなさすぎるので、やめた方が良いかと。
メガネを作るための検査なので。
度数は?
度数は眼の焦点距離がどこになっているかを表すものと思っていただいたら良いかなと。
『D(ディオプター)』という単位で表し、焦点距離とDの関係式があるので、
どちらかがわかれば、暗算でも簡単に計算できます。
基本的には、近視ならマイナスレンズ(ーD)、遠視ならプラスレンズ(+D)を使って、
正視(0D)になるようにメガネを作ります。
もちろん、見たい焦点距離・作業距離がある場合、老眼鏡などの場合は、それに合わせて計算します。
度数を焦点距離に変換するとどうなる?
コンタクトレンズを使っている人なら、処方箋で自分の度数(D)を見たことはあるはずですが、
単純に焦点距離やDといっても、意味がわからないと思うので、いくつか例を挙げます。
正視 0D=無限遠方
近視 -1D=1m ー2D=50cm ー3D=33.3㎝ ー10D=10cm
※遠視は近視と逆になり、焦点距離という意味では無限遠方の向こうが見えていると思ったら良いです。
本来は眼前・眼後という言い方にですが、わかりにくくなるので。
近視の方はメガネやコンタクトの度数から、裸眼で見えるおおよその距離がわかります。
もちろん、最大視力までしか見えないので、同じ度数でも視力に個人差はあります。
視力と度数の関係は?
視力検査は、近視用・遠視用・老眼用のどれでも、まずは遠く(5m)を見る状態を検査します。
5m以上を無限遠方とするため、眼鏡専門店が視力表を5mの位置に設置する理由はこれになります。
スペースの問題で、距離が取れない場合は計算して設定しますが、近い位置で検査すると多少の誤差はでるかと。
5mの距離の様々な視力表を使って、最大視力が出る度数を探していきます。
その人に合わない度数だと、見えにくくなります。
たまにお客様の要望で『もっとはっきりと見たいから度数を強くして』と言われます。
度数を強くすると、逆に視力が悪くなったり、疲れやすくなり、メリットはほとんどないです。
度数を強くしたから視力が上がるのではなく、その人の度数に合ってるから視力が出るということです。
唯一のメリットとしては、乱視が消えるということくらい。
これも疲れやすいことと引き換えにして、
レンズを削るときに手間が減る、在庫レンズで対応できるといった
眼鏡店側にしかメリットで、お客様にはメリットはないです。
もちろん、そうせざるを得ない例外な場合もありますけど。
わかりにくくなったので、まとめると
裸眼視力=なにもしない状態の本来の視力
矯正視力=その人の補正した場合の最大視力
度数=最大視力を出す、または最適な焦点距離に合わせるためのもの
という感じになります。
既製老眼鏡の+1D、+3Dって何?
既製老眼鏡は遠視と同じく、プラスレンズを使用するため、
+1D、+3Dという表記になります。
ただし、遠視や近視とは別に加入度と言って、調節力を補うための度数として区別さえれます。
10歳では調節力が12Dあったのに対し、40歳では3D、60歳だと1Dまで落ち込みます。
そうすると、遠くから8㎝まで見えたものが、
40歳は33cmまで、60歳だと1mまでしか見えなくなります。
この調節力を補うためのメガネが老眼鏡や遠近レンズで、
+1D、+3Dはどれくらい手前に焦点を持ってくるかということとなります。
ただし、既製老眼鏡は平均的に作成されており、度数も左右同じに作られてます。
人によって、左右の度数が違うし、乱視もあり、瞳孔間距離も違う。
そのため、間に合わせには良いけど、常時使用するものとしては不適となります。
まとめ
・度数と視力は意味が違う
・ぼやけてても、その視標が見えれば、その視力があると判断される
・度数は最大視力を出すため
・既製老眼間に合わせで使うもの
次は『メガネは買う時、それとも買った後の方が大事?』について