遠視がやっかいな理由
乱視は乱れる視力と書きます。
そのためか、乱視は物がブレて見えることだと思われてる方が多くおられます。
意味の捉え方によっては、あながち間違いというわけではないですけど。
乱視とは?
乱視は『正乱視』と『不正乱視』があります。
一般的に、乱視は『正乱視』を指すことが多く、『不正乱視』を指すことは少ないと思います。
『正乱視』は縦軸と横軸の度数が違うため、見えている物が、その軸方向に歪んでいる状態です。
その縦軸と横軸の度数の差が乱視の度数となり、縦軸(または横軸)角度が乱視の軸度となります。
『C-1.00 AX140°』のような表記になります。
乱視はどういう風に見えるの?
乱視のテストレンズを使うとわかりやすいですが、それ以外の方法だと、
完全な球体で、透明度の高い、無色の水風船があるとイメージしてください。
何もない状態だと向こうがきれいにみえると思います。
これが乱視がない状態です。
この水風船を上から手で押さえてください。
そうすると、向こう側が横に伸びて見えると思います。
これが180°方向の『正乱視』の見え方になります。
透明度の高い完全球体の水風船は現実的に用意できないと思いますが、
実際の水風船でも近い状態は表現できるかも。
乱視が強いからメガネはできない?
結論から言うと、乱視が強くても、大抵の場合はメガネは作れます。
作れないとしたら、乱視度数がレンズの製作範囲外の場合と、不正乱視ですが、
製作範囲外の乱視度数の方はほとんど見たことがないです。
また、乱視が強いからメガネが合わないと思っている方や、
乱視がないと思われている方のメガネを見せてもらうと、過矯正の場合もあります。
過矯正により乱視を消すことは可能で、難しい言葉で言うと、近視や遠視、乱視の度数から
『等価球面値』を算出することで、『最小錯乱円』という位置に度数を合わせることで
乱視は消えたように見えます。
この方法は、一部の例外を除いて、お客様にとっては、ほとんどメリットがないように思います。
理由としては長期間使用すると疲れやすかったり、集中できなかったりするためです。
また、軽度の乱視の場合、乱視度数をいれると、むしろ歪んで見えると言われる方もおられます。
眼鏡店でヒアリングや自動測定機だけに頼らない測定を重視するのは、
お客様自身の感覚が重要であるためです。
そのため、人によっては測定が長くなることもあります。
不正乱視って?
『円錐角膜』など、角膜表面の形状で『正乱視』ではない『不正乱視』になっている方もおられます。
残念ながら、メガネで補正することは難しい場合が多いです。
ただ、ハードコンタクトで補正できることがあります。
ハードコンタクトは角膜表面とハードコンタクトの間に涙があるので、
ハードコンタクト表面が角膜表面の代わりになります。
装用時間や眼科医の指導を適正に受けるのであれば、コンタクトはかなり有効な手段と思います。
ただ、眼鏡店ではなく、眼科医の領域になるので、きちんと処方してもらう方が良いです。
まとめ
乱視のほとんどは『正乱視』。
『正乱視』はある方向に、伸びて見えること。
『正乱視』ならば、ほとんどの場合、眼鏡で補正できます。
次回は『眼鏡とコンタクト、それぞれのメリット・デメリットって何? 知っておくべきレンズの知識』について、コラムを書きたいと思います。