「ひきこもり」の捉え方をめぐる混乱

中光雅紀

中光雅紀

テーマ:解決のための視点


ひきこもりは「病気か?」その問い自体が、支援を間違わせている

子どもが動けない。

何年も部屋から出てこない。

この現実を前にして、多くの親や支援者が悩みます。



「これは病気なのか?」

「病院に連れて行くべきなのか?」



しかし、

この問いの立て方そのものが、

すでにズレている可能性があります。

ひきこもりをめぐる“3つの解釈”

ある支援者研修で、

「ひきこもり」の捉え方をめぐる混乱とし

て次の3つが挙げられていました。



①ひきこもりは「状態」であり、
 「病気」ではないという解釈



②「精神障害を背景としないひきこもりには
 精神医学的な問題がない」という解釈



③「社会的ひきこもり」は  
 おもに社会的要因を背景とする現象  
 であるという解釈




それぞれの解釈は、それこそ、

それぞれの解釈があてはまる「ひきこもり」がある

と認識していればいいことだと思います。

本当の問題は「どれが正しいか」ではない

問題は、どれが正しいかではありません。

それらを区別せずに混ぜてしまっていることです。



現場ではよく、こんな議論になります。

「病気なのか、違うのか」

「障害者なのか、そうでないのか」



そして気づけば、

当事者家族のみならず支援者までもが、

“0か100か”の思考に陥っていく。

これでは、思考停止と同じです。

決定的に違う2つのひきこもり

本来、ひきこもりは大きく2つに分けて考える必要があります。

① 病理(統合失調症・発達障害など)を背景にしたもの

② 明確な病理がなく起きているもの



この2つは、原因も、対応も、まったく違ってきます。

にもかかわらず、現場ではこれが混同されています。

ここに、支援の混乱の核心があります。

間違えると、結果は思わぬ方向へ

例えば「強迫性障害」という同じ症状でも、

* 病気が先で、ひきこもりになったのか

* ひきこもりが先で、症状が出たのか



どちらかによって意味合いも、対策も全く違ってきます。

同じ“湿疹”でも、

植物にかぶれたのか、内臓の病気なのかで

治療が違うのと同じです。

同じ強迫性障害だからと、一緒にはできません。

医療に任せるべき領域と、そうでない領域

病理が原因の場合、当たり前ですが基本は医療の領域です。

ここに素人判断で踏み込むべきではありません。

一方で、

すべてを医療に任せれば解決するわけでもありません。

ここを混同すると、

「とにかく病院へ」という短絡的な対応になります。



以前、やはり支援者研修で

おもしろいことがありました。

精神保健福祉行政主催のものでしたが、

講師の精神科医が開口一番、

「ひきこもりは、医者がしゃしゃり出る問題ではない」

と仰ったのです。



行政側は、どういう気持ちで

受け止めたでしょうか。

私は内心ほくそ笑んでおりましたが。

以降も、登壇するのはほとんど精神科医。

ひきこもり支援者研修なのですが、

精神障害の話ばかりでした。

現場で見えている“もう一つの現実”

私たちの支援現場では、

明らかに病理ではないケースがほとんどです。



長年ひきこもっていれば、

社会不安障害や対人恐怖といった診断が

出てしまうのでしょうが、

しかし実際には、

投薬といった一切の治療をせずとも

(もとより出来ませんが)、

社会参加が出来ています。



なぜか。

原因となるものを解消していくからです。

医療だけでは届かない領域がある

ここで一つ、見落とされがちな事実があります。

医療は、本人が来院して初めて成り立つということです。

つまり、

来院できない状態のひきこもりに関しては、

充分な把握ができていません。

ここに大きな認識の隔たりがあります。

本当の課題は“つなぐこと”

ひきこもりの本質は、「動けないこと」です。

だからこそ重要なのは、

* 日常で状態を見ている家族や支援者
* 専門的知見を持つ医療機関


この両者をどうつなぐかです。

ここが今、決定的に弱い。

なぜ誤解が広がるのか

現在の研修や講演の多くは、

医療分野からの発信が中心です。

その結果、

「ひきこもり=病気・障害」というイメージが

強くなりすぎている。

しかし実態は、そう単純ではなくもっと複雑です。

結論:問題を見間違えると、有害な救済に

「病気かどうか」を問う前に、整理すべきことがあります。

* これは病理が背景にあるのか

* それとも別の要因なのか

この見極めをせずに動けば、

支援は大幅に方向がズレ、良い結果は出ません。



ひきこもりの問題は、

“どう関わるか”の前に、

「どう捉えているか」でほぼ決まります。

ここを間違えたまま努力しても、

方向が違えば、かえって悪化してしまうのです。

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中光雅紀
専門家

中光雅紀(不登校・ひきこもり支援者(家族心理教育コンサルタント))

NPO法人地球家族エコロジー協会

トラウマの視点からひきこもりの原因を見える化していくアプローチを行い、そのもがきのプロセスから人間としての成長を果たし、ひきこもりから脱却。新しい自分に生まれ変わるような変化をサポートしていきます。

中光雅紀プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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