適切な対応ができるためには
目次
日常的に不登校の兆しに触れている先生方
ある地域の高等学校10数校の養護教諭、保健主事の方の
研修会にお招きを受けお話ししたことがあります。
この講演では、立場上かねてより不登校ぎみの生徒や、
なんらかの体調不良を訴えてくる生徒の心理的な面に
ふれる機会の多い先生方を対象にしていましたので、
不登校のきっかけになることを、耳にしたりすること
は多いだろうことは、想像しておりました。
不登校の子どもへの一般的なイメージ
実際には、先生方の中には、
次のような印象を持っている方も少なくありませんでした。
- 非常にデリケートで扱いにくい
- 精神的に弱い
- 現実から逃げている
- 暗い
- コミュニケーション能力が低い
つまり、不登校の子どもを「弱い存在」と見る見方です。
よく語られる不登校の“きっかけ”
不登校のきっかけはさまざまですが、
よく見られるものとしては次のようなものがあります。
- いじめ
- 学業の遅れ
- 学内の人間関係の問題
しかし、ここで先生方に考えていただいたのは、
「なぜその子はストレスに対してそれほど脆弱なのか」
という点でした。
現実同じような状況に遭遇しながら、
不登校になっていない生徒がいる中で、
なぜその子は学校へ行けなくなったのか。
中には「それぐらいのことで・・・」と、
つい言ってしまうほどの出来事をきっかけにして、
不登校が始まる子がいます。
「学校に行かない理由」と「学校に行けない原因」
とかくきっかけになった出来事が
原因にしたてられますが、実際には多くが違います。
私は常々、次の二つを明確に分けて考える
必要があるとお話ししています。
- 学校に行かない理由
- 学校に行けない原因
「行かない」と「行けない」はまったく別の状態
学校に行かない理由は、まさにきっかけであり、
原因ではないのです。
「行かない」というのは、そこに意志があります。
自分が行かないと決断しているのです。
しかし、「行けない」という状態は、
仮に行きたくても行くことが叶わない
何ものかがあるのです。
しかも、本人自身それを自覚できていない
ことすら少なくありません。
肥満の例に見る「理由」と「原因」の違い
例えば、体重が200キロ近くになり、
仕事どころか起き上がることもままならず、
生活が親頼みになってしまっている人がいるとします。
このとき、原因は「肥満」でしょうか。
肥満は確かに理由にはなります。
しかし、本当の原因は、
そこまで体重を増やしてしまった
それまでの食習慣にあります。
さらに言えば、その人の生き方にあり、
またそれを見てきた家族の在り方にも
問題が含まれている可能性があります。
ストレスの蓄積を示す「三百段の階段」と「跳び箱」
ストレスに対しての脆弱性は、例えるならば、
三百段の階段をダッシュさせられ、
頂上で十段の跳び箱を跳ばされるようなものです。
なんでもない通常の状態で、十段の跳び箱を
飛び越えるのを難なくできる人でも、
さすがに階段をダッシュさせられてからでは、
跳ぶことはできないでしょう。
つまり、頂上に用意されていた跳び箱がきっかけです。
本当の原因は“疲れ果てた状態”
ささいなきっかけを飛び越えられないのは、
それ以前にくたびれ果てた状態があったからです。
これこそが、学校に行けない本当の原因です。
では、その三百段の階段とは何だったのでしょうか。
それは、子どもたちの発達段階の過程で受けてきた
積み重なった精神的ダメージです。
そしてその多くは、親が知らず知らずの間に
与えてしまった家族トラウマでもあるのです。



