おかげさま、お互いさまを教えられていないニート、引きこもり者たち
解決を妨げている本当の主因は?
私共が長きにわたって家族会などで、啓蒙・啓発活動をしているのは、
大前提として、解決ができる問題が、誤った認識のために歪められ、事態が
深刻化し、あまりにも大きな代償を支払わされている現実があるからです。
また常時、相談窓口(無料)も開設しており、個々のご家庭の状況に合わせ、
何から始めるべきかを具体的にアドバイスしています。
ここでは他の相談機関と違い、本人が来訪できなくても問題はありません。
当協会のこれまでの支援実績からのアドバイスを行いますので、始めから
動けないことを前提としています。
しかし、当然ここでは限られた時間内だけのアドバイスですし、直接介入は
一切行えません。
一度きりの相談で終わってしまうケースもあります。
そういった親御さんの傾向としてあるのは、学校に戻すことに拘っていたり、
働かないわが子をただうとましく思っていたり、わが子の声を聞く姿勢が
不足していたりといったことです。
特に、「お子さんの状態をより理解するために、親御さんがカウンセリング
を受け、学習をしていくことが大切です」という促しに、
「なぜ親が受けるんですか? 問題なのはこの子ですよ!」と返す親御さんは、
間違いなく一度で終わります。
長くやっておりますと、こういったご家庭が数年後に
「なんとかならないでしょうか?」と困り顔で再訪されることがあるのです。
もちろん事態は、こじれにこじれた状態になってしまっています。
不登校の子が、ひきこもりとなり、病理性の無かったひきこもりの青年が、
医療保護入院の措置を取らざるを得なくなったケースもありました。
こういった問題は、ただただ認識、理解不足からなのです。
不登校やひきこもりに対しての当事者家族の理解が深まれば、ほとんどの
不登校、ひきこもりは早期に解決するでしょう。
一番は、解決の大きな妨げとなってしまっている「本人が動かない」
といった問題が、実は本当の障害要因ではないということに気づけるのです。
解決の主体者としての自覚
当協会では、家族問題の解決のための姿勢として、二つのことをあげています。
〈一切感謝〉と〈自己責任〉です。
要旨だけを述べますと、
〈一切感謝〉ができると現状を受容できます。
不足や不満だけを感じていれば、目をそらしがちになります。
現状をありのままに観察し、そこから与えられたものを感じ取ることが
できれば、自ずと感謝の気持ちが生じます。
不登校やひきこもりといったわが子のメッセージから与えられたもの(恵み)
を読み取ってください。
〈自己責任〉というのは、自分の後始末は自分ですることです。
それは他人に尻拭いをさせないことです。
ですから必ず義務が関係してきます。
親としての義務は、養育と教育があります。
「養育」によりわが子を安全にし、「教育」により安定を与えます。
そして二つがそろうことで、安心が得られるのです。
また、わが子に安全と安定と安心を与えることが親の義務とも言えます。
はたせなかった義務の後始末を他者やわが子にさせてしまっていないでしょうか。
母性がはたすべきこと、父性がはたすべきことがなおざりにされ、夫が妻を、
妻が夫を互いに責めあっていませんか?
互いが責めあうのではなく、自己反省し、許しあい、補いあえば、無益な
いさかいをすることもないのです。
自分の中で、自分の代でおさめておかなければならなかったものを、
わが子に引き継ぎ、持ち越してしまったものはありませんか?
自分が満たされず、埋め合わせが未だできないている心の隙間を、
わが子を思うままにすることで、埋めようとしていませんか?
愛すことよりも、わが子から愛されたいと思っていませんか?
それらはすべて、自己責任をはたしていないことです。
行動が伴ってこそ“本気”
「信念」と「決意」これは、行動を起こし、成果を出すために必要なことです。
「そんなことぐらい分かっている!」
よく聞く言葉です。
分かっているつもりでも、行動が伴っていなければ分かっていないのと
同じです。
本当にわが子に寄り添い、わが子の苦悩を除き、現状を改善しようと決意
(腹くくり)ができてこそ、様ざまな障害にもあきらめず、家族の絆の再生
をやり遂げるのです。
私たちは、これまでの支援実績から、ひきこもる当事者たちの声を翻訳して、
家族に伝えることができます。
そのことで、今わが家に何が起こっているのかを知ることが出来、何の責任
をはたすべきなのかが分かってきます。
もちろん、それからもとても困難な道のりが待っています。
しかし、「必ずこの子を助けられる」「解決してみせる」」という信念で
取り組めば、止まっていた針が動き出し、解決のために必要なピースが
揃い出し始めるのです。
そしてその結果、艱難辛苦を共に乗り越えた同士としての家族が、
より固い絆で結ばれるのです。