第2回 ChatGPTの“正しい聞き方”で成果が変わる

「皐月さん、以前相談した件だけど……」
私は時々、ChatGPTにこんな話しかけ方をします。
ちなみに「皐月さん」とは、私がChatGPTにつけた名前です(笑)。
私は仕事でもプライベートでも、毎日のように生成AIを使っています。
仕事の相談。
コラムの作成。
新しいことへの挑戦。
英会話やプログラミングの学習。
さまざまな話をしてきました。
すると最近、こんなことを感じるようになりました。
「AIは、私のことをどこまで覚えているのだろう?」
以前話した内容を踏まえて答えてくれることもあれば、まったく覚えていないような回答が返ってくることもあります。
そこで今回は、生成AIの「記憶」について、少し考えてみたいと思います。
AIは本当に覚えているの?
例えば、私がChatGPTに、
「私は65歳です」
「生成AI活用アドバイザーとして活動しています」
「Pythonを勉強しています」
と伝えたとします。
その会話の中では、AIはこれらの情報を踏まえて回答してくれます。
しかし、新しいチャットを始めた場合はどうでしょうか。
実は、ここが少し複雑なのです。
生成AIには、大きく分けて二つの仕組みがあります。
一つは、現在の会話の内容を参照する仕組み。
もう一つは、過去の会話などから得た情報を、別の会話でも活用する仕組み。
ChatGPTでは、後者に「メモリ」と呼ばれる機能があります。
ただし、利用しているサービスや設定、機能によって仕組みは異なります。
そして、ここが重要なのですが、
AIは過去の会話を何でも、いつまでも、完璧に覚えているわけではありません。
人間の記憶とは少し違う
私たち人間は、過去の経験を記憶しています。
楽しかったこと。
悔しかったこと。
失敗したこと。
嬉しかったこと。
その経験には、感情や思い出が結びついています。
一方、AIの記憶は違います。
会話の内容や保存された情報をもとに、回答を作るための仕組みです。
人間のように、過去を懐かしんだり、思い出に感情を重ねたりしているわけではありません。
つまり、
「AIが覚えているように答えること」と「人間のように記憶していること」は違う。
私はこの違いを理解しておくことが大切だと思っています。
AIが自分のことを知っていると便利
では、AIに記憶機能は必要なのでしょうか。
私は非常に便利だと感じています。
例えば、毎回、
「私は65歳です」
「生成AI活用アドバイザーです」
「初心者にもわかりやすく説明してください」
と説明するのは大変です。
しかし、AIがこうした背景を参照できれば、最初から自分に合った回答を得やすくなります。
私の場合、Pythonについて質問するときも、単にプログラミングの知識を知りたいわけではありません。
生成AIとの連携。
仕組みの理解。
自分で何かを作ること。
そうした目的があります。
AIがその目的を踏まえてくれれば、学習の提案も変わってきます。
これが、AIの記憶を活用するメリットの一つです。
でも、覚えていないこともある
ここで注意したいことがあります。
以前話した内容だからといって、必ず覚えているとは限りません。
例えば、
「先月相談した企画の続きを考えて」
とお願いしたとします。
ところがAIが、その企画の内容を十分に参照できていなければ、的外れな回答になる可能性があります。
さらに困るのは、
覚えていないのに、覚えているかのような回答をしてしまうことがある。
という点です。
AIは過去の情報を取り違えたり、不足している部分を推測で補ったりすることがあります。
そのため、重要な仕事では、
「前に話したから大丈夫」
と思わないことが大切です。
私が大切にしたい三つのこと
私はAIの記憶機能を活用するうえで、三つのことが大切だと考えています。
1.重要な情報は確認する
AIが以前の話を踏まえて回答した場合でも、内容が正しいか確認する。
2.大切な情報は自分でも保存する
仕事の企画書、契約内容、学習記録などは、AIの記憶だけに頼らず、自分でも管理する。
3.覚えてほしくない情報は慎重に扱う
個人情報や機密情報を安易に入力しない。
AIの記憶機能やプライバシー設定を確認する。
この三つです。
便利だからこそ、使う側にも情報管理の意識が必要だと思います。
AIの記憶は自分で管理できる?
ChatGPTには、記憶に関する設定が用意されています。
例えば、設定画面の「パーソナライズ」では、メモリの利用について確認できます。
記憶機能を有効にするかどうかを設定できるほか、メモリの概要を確認し、修正を依頼できる場合もあります。
ただし、ここで注意したいのは、チャットの削除と記憶情報の管理は必ずしも同じではないということです。
また、機能や設定画面は変更されることがあります。
大切なのは、
「AIに何を覚えてもらうか」を自分で意識すること。
便利さだけでなく、プライバシーにも目を向けたいものです。
AIは優秀な相棒。でも万能ではない
私はChatGPTを「皐月さん」と呼んでいます。
Geminiには「如月くん」。
そしてCodexには「弥生さん」。
それぞれ名前をつけています(笑)。
こうして名前をつけると、不思議と親しみが湧いてきます。
仕事や学習でも、相談しやすくなります。
しかし、忘れてはいけないことがあります。
AIは人間ではありません。
そして、どれだけ親しみを感じても、万能な存在ではありません。
記憶を間違えることもある。
忘れることもある。
勘違いすることもある。
だからこそ、
AIに任せることと、人間が管理することを区別する。
これが大切なのではないでしょうか。
Today's English Phrase
"Do you remember?"
(覚えていますか?)
今回のテーマにぴったりの英語です。
例えば、
"Do you remember our last conversation?"
(前回の会話を覚えていますか?)
という使い方ができます。
ただし、AIが「覚えています」と答えた場合でも、その内容が正しいか確認することが大切です。
AIとの会話でも、
「覚えている?」と聞くだけでなく、「何を覚えている?」と確認する。
そんな習慣を持ちたいと思います。
最後に
生成AIは、私たちの仕事や生活を大きく変えつつあります。
そして、記憶機能によって、より自分に合った相談相手として活用できるようになっています。
これは本当に素晴らしいことです。
私自身、毎日AIと会話する中で、その便利さを感じています。
しかし、
AIが覚えているから大丈夫。
AIが知っているから大丈夫。
AIに任せておけば大丈夫。
そう考えるのは少し危険かもしれません。
AIは便利な相棒です。
でも、記憶も判断も、すべてを任せる相手ではありません。
AIには必要なことを覚えてもらう。
人間は大切なことを自分でも管理する。
そして、最後の判断は自分自身で行う。
これも私が提唱している、
「ヒューマンAIバランス」
の一つです。
AIとの付き合いが長くなればなるほど、大切になるのは、AIにどれだけ覚えてもらうかではなく、
AIの記憶を、どれだけ上手に活用できるか。
なのかもしれません。
次回は、
【第21回】AIはあなたに合わせすぎる? ―「褒めてくれるAI」の落とし穴
について考えてみたいと思います。
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