販売とは結局、人間相手の価値翻訳業だ

テーマ:営業・販売

私は長年、デジタル機器や家電製品、そして多種多様な商品やサービスの販売に携わってきました。どんなに技術が進化し、オンライン化が進もうと、変わらないことがあります。
それは、販売の相手が「人間」であるということです。

お客様が商品を購入するまでには、必ず心の中で問いがあります。
「本当にこれが必要なのか?」
「買った後に後悔しないか?」
「これで私の暮らしや問題は変わるのか?」
この問いに正面から向き合い、商品やサービスの価値を翻訳して伝えることこそ、販売の真の役割だと私は考えています。

販売は価値の翻訳
お客様にとって、商品の仕様やスペック、メーカーのこだわりは、しばしば「難しい言葉」で語られています。
私たち販売員がそのまま伝えても、お客様の心には届きません。だからこそ必要なのが、「翻訳」という作業です。

たとえば、
・スマートフォンの防水性能 → 「うっかり水をこぼしても安心」
・ 最新の空気清浄機のPM2.5除去能力 → 「お子さんの健康を守ります」
・ 高速なCPU搭載パソコン → 「動画編集がサクサクでき、時間の節約になる」

こうした翻訳は、単なる説明ではなく、お客様一人ひとりの状況に合わせた価値の言い換えです。

人間相手の販売に求められる三つの力
1.価値を理解し、咀嚼する力
まず、売り手自身がその商品やサービスの本質を理解していなければ、翻訳はできません。
「この機能はなぜ必要なのか?」「どんな人にとって価値があるのか?」
深く考えることが出発点です。

2.お客様の世界を理解する力
お客様の暮らし、悩み、期待を理解せずに、価値は届けられません。
「どんな場面で使うのか?」
「何に困っているのか?」
「どうなったら嬉しいのか?」
質問し、耳を傾け、想像することが求められます。

3.共感をつくる力
最終的にお客様が納得して購入を決めるのは、共感が生まれたときです。
「あなたのことをわかってくれている」
「私のために選んでくれた」
そう感じてもらうことが、販売員としての信頼を生み、成約につながります。

具体例:翻訳の実践
たとえば、家電量販店で高性能の掃除ロボットを販売する場合。

× ダメな伝え方:
「最新モデルで吸引力が2倍。Wi-Fi対応でスマホ連携可能です。」

 良い伝え方:
「ペットの毛が気になるお客様には特に好評です。留守中も自動でお掃除してくれるので、帰宅したら床がスッキリ。掃除の時間が浮いた分、ご家族とゆっくり過ごせます。」

ここには技術的な情報は最小限に抑え、
**「お客様が手に入れる未来の姿」**を翻訳して伝えています。

購入後までが販売の仕事
販売は「売ったら終わり」ではありません。
お客様が商品を使い、満足し、
・「やっぱりこれを選んで良かった」
・「またこの人から買いたい」
と思ってくれるまでが、本当のゴールです。

そのために、購入後のフォロー、使い方のアドバイス、困ったときの相談相手になることも、翻訳者としての大事な役割です。

最後に:あなたは翻訳者です
もしあなたが販売の現場で迷ったり、壁にぶつかったりしたとき、思い出してほしい言葉があります。

「私は価値を翻訳する人だ。」

難しい専門用語を噛み砕き、お客様が自分の未来に結びつけられるように伝える。
そこに心を込めることで、お客様はあなたの言葉を信じ、商品を選び、そしてまた会いに来てくれます。

販売とは人間相手の仕事です。商品やサービスを通じて、お客様の暮らしを少しでも良くするお手伝いをする――その喜びと誇りを、どうか忘れないでください。

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佐々木康仁
専門家

佐々木康仁(ITコンサルタント)

株式会社CNCコンサルティング

対面と非対面を組み合わせた独自のマーケティング手法、ChatGPTを活用するための基礎的な講習、小学校などでのICT教育支援を事業の柱とする。数々の職業を経験し“現場感覚”でサポートできるのが強み。

佐々木康仁プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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