普通の販売員になる方法 その11【いいね!が増えると 欲しいいね!になる。】
私は長年、デジタル機器や家電製品、そして多種多様な商品やサービスの販売に携わってきました。どんなに技術が進化し、オンライン化が進もうと、変わらないことがあります。
それは、販売の相手が「人間」であるということです。
お客様が商品を購入するまでには、必ず心の中で問いがあります。
「本当にこれが必要なのか?」
「買った後に後悔しないか?」
「これで私の暮らしや問題は変わるのか?」
この問いに正面から向き合い、商品やサービスの価値を翻訳して伝えることこそ、販売の真の役割だと私は考えています。
販売は価値の翻訳
お客様にとって、商品の仕様やスペック、メーカーのこだわりは、しばしば「難しい言葉」で語られています。
私たち販売員がそのまま伝えても、お客様の心には届きません。だからこそ必要なのが、「翻訳」という作業です。
たとえば、
・スマートフォンの防水性能 → 「うっかり水をこぼしても安心」
・ 最新の空気清浄機のPM2.5除去能力 → 「お子さんの健康を守ります」
・ 高速なCPU搭載パソコン → 「動画編集がサクサクでき、時間の節約になる」
こうした翻訳は、単なる説明ではなく、お客様一人ひとりの状況に合わせた価値の言い換えです。
人間相手の販売に求められる三つの力
1.価値を理解し、咀嚼する力
まず、売り手自身がその商品やサービスの本質を理解していなければ、翻訳はできません。
「この機能はなぜ必要なのか?」「どんな人にとって価値があるのか?」
深く考えることが出発点です。
2.お客様の世界を理解する力
お客様の暮らし、悩み、期待を理解せずに、価値は届けられません。
「どんな場面で使うのか?」
「何に困っているのか?」
「どうなったら嬉しいのか?」
質問し、耳を傾け、想像することが求められます。
3.共感をつくる力
最終的にお客様が納得して購入を決めるのは、共感が生まれたときです。
「あなたのことをわかってくれている」
「私のために選んでくれた」
そう感じてもらうことが、販売員としての信頼を生み、成約につながります。
具体例:翻訳の実践
たとえば、家電量販店で高性能の掃除ロボットを販売する場合。
× ダメな伝え方:
「最新モデルで吸引力が2倍。Wi-Fi対応でスマホ連携可能です。」
〇 良い伝え方:
「ペットの毛が気になるお客様には特に好評です。留守中も自動でお掃除してくれるので、帰宅したら床がスッキリ。掃除の時間が浮いた分、ご家族とゆっくり過ごせます。」
ここには技術的な情報は最小限に抑え、
**「お客様が手に入れる未来の姿」**を翻訳して伝えています。
購入後までが販売の仕事
販売は「売ったら終わり」ではありません。
お客様が商品を使い、満足し、
・「やっぱりこれを選んで良かった」
・「またこの人から買いたい」
と思ってくれるまでが、本当のゴールです。
そのために、購入後のフォロー、使い方のアドバイス、困ったときの相談相手になることも、翻訳者としての大事な役割です。
最後に:あなたは翻訳者です
もしあなたが販売の現場で迷ったり、壁にぶつかったりしたとき、思い出してほしい言葉があります。
「私は価値を翻訳する人だ。」
難しい専門用語を噛み砕き、お客様が自分の未来に結びつけられるように伝える。
そこに心を込めることで、お客様はあなたの言葉を信じ、商品を選び、そしてまた会いに来てくれます。
販売とは人間相手の仕事です。商品やサービスを通じて、お客様の暮らしを少しでも良くするお手伝いをする――その喜びと誇りを、どうか忘れないでください。