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コラム

従業員規模が小さい会社ほど要注意!

2016年7月21日

コラムカテゴリ:ビジネス

7月7日に厚生労働省から「パワーハラスメント対策導入マニュアル」が発表されました。
従業員規模が小さい会社ほど「パワハラ対策が進んでいない」という課題を挙げ、企業全体として経営トップから意識改革を図ることが必要と警告を鳴らしています。

過去3年間に
1.従業員からパワハラに該当する相談を受けたことがあると回答した企業は32.0%。
2.パワハラを受けたことがあると回答した従業員は、25.3%。

3割の企業、従業員が何らかのパワハラに該当する内容を上げています。
パワハラの定義が難しいとも言われていますが、
職場のパワハラは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」とされていますので、業務の範囲を超えて、人格を傷つけるような行為は気をつけましょう。

こういう話をすると
「すべてパワハラと言われ、指導もできない」
「後輩や部下に気を使いすぎて、疲れる」
「部下を叱れない上司が増えている」
などの声も聞こえてきますが、業務の範囲なら問題ありません。

例えば、「何やってるんだ!しっかりと書類を確認してからお客様に提出しろ」、「業務と関係ない話ばかりするな。そういうのは休み時間にしろ!」、会議中寝ている社員に対して「寝ているならこの部屋から出ていけ!」と言ったことはパワハラに該当しますか?
答えはNOです。

こういった場合相手の捉え方にもよりますが、強い口調で言ったことが相手に精神的にダメージを与えたとしても、業務の範囲内です。職場のパワハラ対策は、上司の適正な指導を妨げるものではなく、各職場で、何が業務の適正な範囲で、何がそうでないのか、範囲を明確にする取組みを行うことによって、適正な指導をサポートするものです。
仮に上記に加えて、「だからお前は使えないんだ!」と言った場合はレッドカードが出されるでしょう。

パワハラの行為類型として6つの項目がありますので、ぜひ参考にしてください。
1.暴行・傷害などの「身体的な攻撃」
2.脅迫・侮辱・ひどい暴言などの「精神的な攻撃」
3.隔離・無視・仲間外しなどの「人間関係からの切り離し」
4.不可能なことへの強要、仕事の妨害などの「過大な要求」
5.仕事を与えない、業務上の合理性がなく程度の低い仕事などの「過小な要求」
6.私的なことに過度に立ち入る「個の侵害」
   
ちなみに経営者によるパワハラ(東京地裁判決平成27年1月15日)も判例で出ていますので会社を上げた取り組みをぜひご検討ください。
会社を上げた取り組みの方法としては「パワハラ研修会」が有力です。

【概要】
職業紹介等の事業を業とするA社に雇用されていたB社員が、A社の代表取締役から執拗にパワーハラスメントを受けたとして、A社及び社長に対し、不法行為等に基づく損害賠償請求。
【判決内容】
A社社長のB社員に対する「まじでむかつく、おまえ」、「本当に、いなくなってほしい」などチャットにおける一連の発言及び、違法な業務命令に基づいたり、多額の損害賠償義務があることを自認させて心理的負荷を加えることを主たる目的とした合計6通の始末書の作成指示が不法行為を構成するものとして、A社社長は不法行為(民法709 条)により、A社は使用者責任(民法715 条)により、連帯して50万円の損害(慰謝料)を賠償するように判示。


【編集後記】
今年の夏の甲子園 福井県代表はどこの高校に??
毎年夏の楽しみの一つとなりました。

この記事を書いたプロ

北出慎吾

社会保険労務士として企業の成長に寄り添う人事労務のプロ

北出慎吾(北出経営労務事務所)

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